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第2章

6.『味噌』と『醤油』の改良は思ったより難解っぽいかも

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 偶然『味噌』が出来たのを発見してから3ヶ月が経過した。

 季節は秋となって実りの季節を迎えていた。
 エクレアも先日、誕生日を迎えて⑨歳児へと成長。
 ただし、月日が流れても劇的な変化がでたわけではない。

「う~ん、『味噌』と『醤油』の改良は思ったより難解っぽいかも」

 エクレアは夏に仕込んで新たに出来上がった『味噌』と『醤油』の試作品を目の前にして呻いていた。

 一方は『味噌』と『醤油』になってるが、味も香りも足りない。
 もう一方は味も香りも十分だが、その分毒性も強くなっている。
 どれくらいの毒性の強さかは感覚だよりだが……まぁ常人だと一口で泡拭いてぶっ倒れるぐらいと予測しておこう。

 本当にそうなるか適当なモルモットで試したい気持ちはなくもないが、あいにく使い捨てにしていいような者はいない。
 夏のあの日で騒動を起こした3人組、ランプ(11歳)トンビ(10歳)ローイン(⑨歳)に『試食してくれない?』っとにっこり笑ってお願いしたら喜び勇んで食してくれそうだけど、“試”食が“死”食に変化する最後の晩餐になること待ったなし。
 エクレアもさすがに3ヶ月前のあの騒動の酬いを死で払わせるつもりはない。即座に却下。
 3人にはこの試作品の中で安全が確保できてるものを振るまう事にして、あからさまな失敗作の方は食しても全く心が痛まないロリコンのHE☆N☆TA☆I☆に飲ませようっと心に決める。
 ただまぁ、そういった奴等はエクレアがどうにかする前になにかやらかして他から肉体言語でのOHANASHIで矯正される。

 現に『可愛らしくて愛想良い女の子の薬師が村の外の森のぽつんと一軒家に一人で暮らしてる』なんて噂を聞きつけ、下心丸出しでアトリエに近づく不良冒険者は常連たちの手で事前に排除されているのだ。
 その中にはランプ達3人組も含まれており、場合によってはまだ成人もしてない子供に叩きのめされるという、とてつもない屈辱を味あわされているらしい。

 まぁ仮に排除や屈辱を運よく回避したとしても、次のエクレアは“地獄”を味あわさせる。
 エクレアは常連や友人として良好な仲となったランプ達には優しいが、ロリコンのHE☆N☆TA☆I☆相手には容赦しない。
 全く躊躇なく危険な試作品を口の中にねじりこんでの人体実験を執行する。
 昔のエクレアではまず考えられないような残虐行為を平然と行う。
 エクレアへ手を出そうとした瞬間、すでに終わりなのだ。


「いや、だからなんで私は“試”食を“死”食にかえるような危険物を人に振る舞おうなんて考えてるの???」


 エクレア自身、幼気な少年を弄ぶ小悪魔系の自覚はあっても、悪魔そのものにまでなる気はない。
 人で実験台、ましてや使い捨てのモルモット扱いなんてするはずがない…………と思う。

 ……タブン。




「う~ん、気になるけどこの件は保留として、次の案件をどうするべきかなっと。具体的に私自身の保持魔力を増やす案件だけど」


 結果をメモ、師匠の研究ノートに新たなページを刻んでふぅっと一息つき、『味噌』や『醤油』の製法を研究したノートとはまた別の本を手に取る。
『味噌』と『醤油』を試作していく中でわかったが、この二つはポーションに近い性質がある。
 いわばポーションを精製する錬金術で作らなければいけないのだ。
 二つを完成させるにはエクレア自身の魔力を錬金術の使用が可能なまでに底上げさせる必要性があるわけで……
 どうやって上げるか考えてたら、ふと脳裏にある方法を思いついた。

 調べたところ、理論上可能ではあっても本来なら禁呪の類で忌諱されるべきもの。
 多数のモルモットの命が前提。数多くの試作と犠牲者の山を積み重ねた上でようやく使い物になるかどうかわからない成功例がでる、禁断の秘術として封印された論理的に完全アウトな代物。

 決して手を出してはいけないが………

「……うん、私だけで考えても仕方ない。これは完全に魔術とか錬金術の部類に入るし、専門家の意見聞こうかな」

 エクレアは薬師だ。薬の知識は豊富だが魔術系統は疎い。魔力が低いからそっちの技術を生かせられないのだ。

 ただし、なんらかの方法を用いて魔力を増やす事ができたなら、錬金術に手をだせる。
『味噌』と『醤油』だけでなく、錬金術で今まで作れなかったモノが作れるようになる。


 収入大幅アップだ。


 次に求めるものは所持魔力の増大。
 論理的にアウトにならない方法を探ってみよう。




 そう決心したエクレアは専門家の元へと向かう事とした。

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