13 / 98
第2章
4.師匠みてる?私やらかしちゃった!!
しおりを挟む
エクレアが奴隷落ちしたらどうなるのか……
みたいような、みたくないような……
そんな電波を拾いながら涼んでいたエクレアだが、ふと思い出した事があった。
調合もとい調理中、豚の餌にもならない失敗作となった味噌のなりそこないの事を思いだしたのだ。
あれは本当の豚の餌にしてしまおうっと思って豚……野生の猪が瘴気を浴びて魔獣となった魔猪……が出没してた付近にばら撒いたのだ。
食ったら毒で倒れるように、毒草や毒キノコとか、毒物となり果てた薬のなりそこないとか、そういった危ないものを大量に混ぜ込んでばらまいたのだ。
下手すれば周囲を汚染させて大惨事を生み出しそうだけど、この世界はそういったものは自然が浄化してくれる。
よほどおかしなものを混ぜ込まなければ大丈夫っと本当に軽い気持ち。
遊び心で仕込んだのだが………
結論からいうと……
想像の斜め上をいく結果を呼んだ。
……………………
「えっと……ここ確か一週間前になりそこないをばら撒いたとこ……だよね?」
エクレアが茫然とみつめる現場では、泡吹いてビクンビクンと痙攣してる魔猪が転がっていた。
これだけでもアレだが、魔猪の周囲には同様の被害者。魔鳥さんとか魔狼さんとか魔熊さんとか様々な魔獣達が寝転がっていたのだ。
そのうちの半分はすでに絶命して身体が腐敗してたりもするが……
まぁとにかく、現場は一言で表せばメシマズの最高峰。ダークマターを食べた者達の末路といった光景ともいうべき地獄…いや、万魔殿が広がっていたわけだ。
それだけでもう衝撃的だけど、今はどうでもいい。
どうでもよくはないけど、それ以上に気になるものがあった。
元なりそこないで現在ダークマターなヘドロが放つ匂い…いや、香り。
この世界では嗅いだことがない未知な香りながらも、前世では日常的に嗅ぎなれた香り……
どんな香りかと問われたら、もうあれの言葉しかない。
言い表すしかないあれ……
『味噌』の香りだ。
ダークマターと化したなりそこないから放たれるのは『味噌』の香りなのだ。
「ま、まさか…ね」
しゃがみ込んで人差し指の先に少しだけすくいとる。
鼻に近づければ確かに『味噌』の香りがする。
なめてみた。
……
…………
………………
「うぐっ!!!!?」
瞬間身体中の力が抜ける。
足腰が立たなくなり、前のめりに……ダークマターの海に倒れかけるも、根性で重心を後ろに向けてぶっ倒れた。
解毒作用で体力ごそっと持ってかれたようだ。
「うん、私じゃなかったら死んでたね。これ」
でもこれでわかった。
「……『味噌』だ……『味噌』の味だ」
この世界で『味噌』が出来なかった理由……
『味噌』=『毒』だからだ。
ダークマターから放つ臭気からみて毒ガスも発生中なんだろう。
毒物を食用にするような酔狂な輩はまずいない。
味噌=食用の発想がなければ猶更食べてみようとも思わない。
だから誰も気付かない。
この世界で『味噌』を作るための、最後のピース。
それが『毒』だったのだ。
「道すじができた……『味噌』は出来るんだ……毒物だから食用にさせるには課題が多数あるんだろうけど扉は開かれた……」
そう、これはスタート地点。
今の『味噌』は問題ありすぎる。
解決のためにはさらなる試行錯誤が必要だろうけど、入口は開かれたならいつかは完成する。
「あははははははははははっはははっははっはははははh!!!!!師匠みてる?私やらかしちゃった!!偶然で師匠が5年以上も求めてた『味噌』を偶然で作っちゃったよ!!!!!!!!」
エクレアは笑った。
前世の記憶や知識ではない、ほんの遊び心で加えた暴挙が………
賢者がどれだけ知恵を廻らせても開かなかった真実の扉を、愚者の暴挙が解き放った。
もう笑うしかない。
仰向け状態で両手を地面に大きく投げ出しながら、空を……師匠がいるかもしれない空に向かって笑った。
瞳“深淵”を宿した濁った瞳で、果てしなく広がる青い青い空を見上げながら笑った。
みたいような、みたくないような……
そんな電波を拾いながら涼んでいたエクレアだが、ふと思い出した事があった。
調合もとい調理中、豚の餌にもならない失敗作となった味噌のなりそこないの事を思いだしたのだ。
あれは本当の豚の餌にしてしまおうっと思って豚……野生の猪が瘴気を浴びて魔獣となった魔猪……が出没してた付近にばら撒いたのだ。
食ったら毒で倒れるように、毒草や毒キノコとか、毒物となり果てた薬のなりそこないとか、そういった危ないものを大量に混ぜ込んでばらまいたのだ。
下手すれば周囲を汚染させて大惨事を生み出しそうだけど、この世界はそういったものは自然が浄化してくれる。
よほどおかしなものを混ぜ込まなければ大丈夫っと本当に軽い気持ち。
遊び心で仕込んだのだが………
結論からいうと……
想像の斜め上をいく結果を呼んだ。
……………………
「えっと……ここ確か一週間前になりそこないをばら撒いたとこ……だよね?」
エクレアが茫然とみつめる現場では、泡吹いてビクンビクンと痙攣してる魔猪が転がっていた。
これだけでもアレだが、魔猪の周囲には同様の被害者。魔鳥さんとか魔狼さんとか魔熊さんとか様々な魔獣達が寝転がっていたのだ。
そのうちの半分はすでに絶命して身体が腐敗してたりもするが……
まぁとにかく、現場は一言で表せばメシマズの最高峰。ダークマターを食べた者達の末路といった光景ともいうべき地獄…いや、万魔殿が広がっていたわけだ。
それだけでもう衝撃的だけど、今はどうでもいい。
どうでもよくはないけど、それ以上に気になるものがあった。
元なりそこないで現在ダークマターなヘドロが放つ匂い…いや、香り。
この世界では嗅いだことがない未知な香りながらも、前世では日常的に嗅ぎなれた香り……
どんな香りかと問われたら、もうあれの言葉しかない。
言い表すしかないあれ……
『味噌』の香りだ。
ダークマターと化したなりそこないから放たれるのは『味噌』の香りなのだ。
「ま、まさか…ね」
しゃがみ込んで人差し指の先に少しだけすくいとる。
鼻に近づければ確かに『味噌』の香りがする。
なめてみた。
……
…………
………………
「うぐっ!!!!?」
瞬間身体中の力が抜ける。
足腰が立たなくなり、前のめりに……ダークマターの海に倒れかけるも、根性で重心を後ろに向けてぶっ倒れた。
解毒作用で体力ごそっと持ってかれたようだ。
「うん、私じゃなかったら死んでたね。これ」
でもこれでわかった。
「……『味噌』だ……『味噌』の味だ」
この世界で『味噌』が出来なかった理由……
『味噌』=『毒』だからだ。
ダークマターから放つ臭気からみて毒ガスも発生中なんだろう。
毒物を食用にするような酔狂な輩はまずいない。
味噌=食用の発想がなければ猶更食べてみようとも思わない。
だから誰も気付かない。
この世界で『味噌』を作るための、最後のピース。
それが『毒』だったのだ。
「道すじができた……『味噌』は出来るんだ……毒物だから食用にさせるには課題が多数あるんだろうけど扉は開かれた……」
そう、これはスタート地点。
今の『味噌』は問題ありすぎる。
解決のためにはさらなる試行錯誤が必要だろうけど、入口は開かれたならいつかは完成する。
「あははははははははははっはははっははっはははははh!!!!!師匠みてる?私やらかしちゃった!!偶然で師匠が5年以上も求めてた『味噌』を偶然で作っちゃったよ!!!!!!!!」
エクレアは笑った。
前世の記憶や知識ではない、ほんの遊び心で加えた暴挙が………
賢者がどれだけ知恵を廻らせても開かなかった真実の扉を、愚者の暴挙が解き放った。
もう笑うしかない。
仰向け状態で両手を地面に大きく投げ出しながら、空を……師匠がいるかもしれない空に向かって笑った。
瞳“深淵”を宿した濁った瞳で、果てしなく広がる青い青い空を見上げながら笑った。
0
お気に入りに追加
38
あなたにおすすめの小説
がんばれ宮廷楽師! ~ラヴェルさんの場合~
やみなべ
ファンタジー
シレジア国の宮廷楽師としての日々を過ごす元吟遊詩人のラヴェルさんよんじゅっさい。
若かりし頃は、頼りない、情けない、弱っちいと、ヒーローという言葉とは縁遠い人物であるも今はシレジア国のクレイル王から絶大な信頼を寄せる側近となっていた。
そんな頼り?となる彼に、王からある仕事を依頼された。
その時はまたいつもの戯れともいうべき悪い癖が出たのかと思って蓋を開けてみれば……
国どころか世界そのものが破滅になりかねないピンチを救えという、一介の宮廷楽師に依頼するようなものでなかった。
様々な理由で断る選択肢がなかったラヴェルさんは泣く泣くこの依頼を引き受ける事となる。
果たしてラヴェルさんは無事に依頼を遂行して世界を救う英雄となれるのか、はたまた……
※ このお話は『がんばれ吟遊詩人! ~ラヴェル君の場合~』と『いつかサクラの木の下で…… -乙女ゲームお花畑ヒロインざまぁ劇の裏側、ハッピーエンドに隠されたバッドエンドの物語-』とのクロスオーバー作品です。
時間軸としては『いつサク』の最終話から数日後で、エクレアの前世の知人が自分を題材にした本を出版した事を知り、抗議するため出向いた……っという経緯であり、『ラヴェル君』の本編から約20年経過。
向こうの本編にはないあるエピソードを経由されたパラレルの世界となってますが、世界観と登場人物は『ラヴェル君』の世界とほぼ同じなので、もし彼等の活躍をもっと知りたいならぜひとも本家も読んでやってくださいまし。
URL
http://blue.zero.jp/zbf34605/bard/bardf.html
ちなみにラヴェル君の作者曰く、このお話でのラヴェルさんとお兄ちゃんの扱いは全く問題ないとか……
(言い換えればラヴェル君は本家でもこんな扱われ方なのである……_(:3 」∠)_)
小さなことから〜露出〜えみ〜
サイコロ
恋愛
私の露出…
毎日更新していこうと思います
よろしくおねがいします
感想等お待ちしております
取り入れて欲しい内容なども
書いてくださいね
よりみなさんにお近く
考えやすく
元おっさんの俺、公爵家嫡男に転生~普通にしてるだけなのに、次々と問題が降りかかってくる~
おとら@ 書籍発売中
ファンタジー
アルカディア王国の公爵家嫡男であるアレク(十六歳)はある日突然、前触れもなく前世の記憶を蘇らせる。
どうやら、それまでの自分はグータラ生活を送っていて、ろくでもない評判のようだ。
そんな中、アラフォー社畜だった前世の記憶が蘇り混乱しつつも、今の生活に慣れようとするが……。
その行動は以前とは違く見え、色々と勘違いをされる羽目に。
その結果、様々な女性に迫られることになる。
元婚約者にしてツンデレ王女、専属メイドのお調子者エルフ、決闘を仕掛けてくるクーデレ竜人姫、世話をすることなったドジっ子犬耳娘など……。
「ハーレムは嫌だァァァァ! どうしてこうなった!?」
今日も、そんな彼の悲鳴が響き渡る。
求職令嬢は恋愛禁止な竜騎士団に、子竜守メイドとして採用されました。
待鳥園子
恋愛
グレンジャー伯爵令嬢ウェンディは父が友人に裏切られ、社交界デビューを目前にして無一文になってしまった。
父は異国へと一人出稼ぎに行ってしまい、行く宛てのない姉を心配する弟を安心させるために、以前邸で働いていた竜騎士を頼ることに。
彼が働くアレイスター竜騎士団は『恋愛禁止』という厳格な規則があり、そのため若い女性は働いていない。しかし、ウェンディは竜力を持つ貴族の血を引く女性にしかなれないという『子竜守』として特別に採用されることになり……。
子竜守として働くことになった没落貴族令嬢が、不器用だけどとても優しい団長と恋愛禁止な竜騎士団で働くために秘密の契約結婚をすることなってしまう、ほのぼの子竜育てありな可愛い恋物語。
【1/21取り下げ予定】悲しみは続いても、また明日会えるから
gacchi
恋愛
愛人が身ごもったからと伯爵家を追い出されたお母様と私マリエル。お母様が幼馴染の辺境伯と再婚することになり、同じ年の弟ギルバードができた。それなりに仲良く暮らしていたけれど、倒れたお母様のために薬草を取りに行き、魔狼に襲われて死んでしまった。目を開けたら、なぜか五歳の侯爵令嬢リディアーヌになっていた。あの時、ギルバードは無事だったのだろうか。心配しながら連絡することもできず、時は流れ十五歳になったリディアーヌは学園に入学することに。そこには変わってしまったギルバードがいた。電子書籍化のため1/21取り下げ予定です。
【完結】幼馴染にフラれて異世界ハーレム風呂で優しく癒されてますが、好感度アップに未練タラタラなのが役立ってるとは気付かず、世界を救いました。
三矢さくら
ファンタジー
【本編完結】⭐︎気分どん底スタート、あとはアガるだけの異世界純情ハーレム&バトルファンタジー⭐︎
長年思い続けた幼馴染にフラれたショックで目の前が全部真っ白になったと思ったら、これ異世界召喚ですか!?
しかも、フラれたばかりのダダ凹みなのに、まさかのハーレム展開。まったくそんな気分じゃないのに、それが『シキタリ』と言われては断りにくい。毎日混浴ですか。そうですか。赤面しますよ。
ただ、召喚されたお城は、落城寸前の風前の灯火。伝説の『マレビト』として召喚された俺、百海勇吾(18)は、城主代行を任されて、城に襲い掛かる謎のバケモノたちに立ち向かうことに。
といっても、発現するらしいチートは使えないし、お城に唯一いた呪術師の第4王女様は召喚の呪術の影響で、眠りっ放し。
とにかく、俺を取り囲んでる女子たちと、お城の皆さんの気持ちをまとめて闘うしかない!
フラれたばかりで、そんな気分じゃないんだけどなぁ!
【完結】もったいないですわ!乙女ゲームの世界に転生した悪役令嬢は、今日も生徒会活動に勤しむ~経済を回してる?それってただの無駄遣いですわ!~
鬼ヶ咲あちたん
恋愛
内容も知らない乙女ゲームの世界に転生してしまった悪役令嬢は、ヒロインや攻略対象者たちを放って今日も生徒会活動に勤しむ。もったいないおばけは日本人の心! まだ使える物を捨ててしまうなんて、もったいないですわ! 悪役令嬢が取り組む『もったいない革命』に、だんだん生徒会役員たちは巻き込まれていく。「このゲームのヒロインは私なのよ!?」荒れるヒロインから一方的に恨まれる悪役令嬢はどうなってしまうのか?
ユーザ登録のメリット
- 毎日¥0対象作品が毎日1話無料!
- お気に入り登録で最新話を見逃さない!
- しおり機能で小説の続きが読みやすい!
1~3分で完了!
無料でユーザ登録する
すでにユーザの方はログイン
閉じる