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優の妹のオンライン家庭教師_2

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後ろで優がアルバム見返しながら「卒アルの写真って実質ブロマイドでは?」とか言ってる

一度気づいてしまうと、後ろの優から目が離せない。

……あいつ、家でも女装するんだな。

前見た時とは違って、夏っぽい薄着だった。
白いシャツに白い膝上丈のスカート。

ミクさんと数学の話をしているうちに、一度優は画角から消えた。

ミクさんに問題のPDFを送り、彼女に取り組ませる。
その時、優はでかめの長方形の物体を持ってソファーに戻ってきていた。

よく見ると、優が手に持っているのは高校の卒業アルバムだった。

そういや全然見返してないな、と思っていると、優の声がした。
注意して聞くと、かろうじて何を言っているかが分かる。

「やっぱ良いな、アルバムって。大学もあるかな」

そんな懐古的な感情を抱くんだな、と思った。
俺の中で、優は過去よりも今、今よりも未来のために生きている感じがしていたからだ。

「光貴だ~」

俺の顔があるページを開いたらしい。
楽しげな声で俺の名前を呼んだのが聞こえた。

「アルバムってさぁ」
「実質ブロマイドだよね」

何を言っているのか分からない。

いやいや、俺の代に有名な芸能人とかいないぞ。
知っている限りでは。

そう思っていると、
「光貴の顔良いわぁー」
「運動部だったからちょっと日焼けしてるのも尚よい」
などと褒めそやす。

こいつ、俺の顔写真を「ブロマイド」って言ったってことか……?

優はソファーから降りると、歌のようなものを歌いながら踊り始めた。
恋愛ソングというよりも電波系というか、歌詞がほぼ全部「好き」で構成されている。

困惑していると、優はカメラに近づいてきた。

「ねぇ、なにして……」

ビデオ通話である事に気がついたのだろう。
優は赤面して、そそくさと画面外に消えて行った。


これ、もしかして脈有り……?

そういう考えを抱きつつ、
「先生、問題解き終えましたよ」
と言うミクさんの声を聞き、家庭教師としてしっかり仕事をしようと気を引き締めた。


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