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光貴と勉強会_2 ※優視点
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僕は図書館で光貴を待っていた。
三限が終わるなり走って図書館に行き、光貴と一緒に座れる席を確保していた。
数学の教科書とノートを広げて、勉強して待つ。
が、その間、実際は全く集中できなかった。
光貴が来るまで、どんな話をしようか、どんな表情をしようか、どんな態度をとろうか、と考えていた。
やがて光貴が現れた。
「ごめん、遅くなってしまった。ちょっと、混んでたんだよ」
光貴は息を切らして言った。
「大丈夫だよ。ここに席あるから」
僕は光貴の方を向いて、隣の席を示した。
光貴は机の端に荷物を置いて座った。
瞬間、光貴の匂いがふわっと香る。
甘くて爽やかな香りだった。
思いがけず、鼻から勢いよく吸い込むようにしてしまった。
「どうした? 風邪でも引いたか?」
光貴が心配そうに聞く。
「いや、大丈夫。ちょっと鼻が詰まってるだけ」
僕は嘘をついた。
まさか光貴の匂いを味わうために吸い込んだ、だなんて言えないから。
「そうか。早く治るといいね」
光貴は優しく言ってくれた。
そして二人で数学の勉強を始めた。
光貴は、僕の分からないところを丁寧に教えてくれた。
僕は光貴の声に耳を傾けて、時々質問したり感想を言ったりした。
けれど、本当は数学よりも光貴のことが気になっていた。
光貴の声、ペンを持つ手。
汚れないように捲り上げた袖から見える腕、その血管。
一層、ますます、余計に惹かれてしまった。
図書館で勉強する時間はあっという間に過ぎてしまった。
「もうこんな時間だ。帰ろうか」
光貴が時計を見て言った。
「うん。ありがとう。おかげで分かったよ」
僕は光貴に礼を言った。
そして荷物をまとめて、図書館から出た。
外はすでに暗くなっていた。
三限が終わるなり走って図書館に行き、光貴と一緒に座れる席を確保していた。
数学の教科書とノートを広げて、勉強して待つ。
が、その間、実際は全く集中できなかった。
光貴が来るまで、どんな話をしようか、どんな表情をしようか、どんな態度をとろうか、と考えていた。
やがて光貴が現れた。
「ごめん、遅くなってしまった。ちょっと、混んでたんだよ」
光貴は息を切らして言った。
「大丈夫だよ。ここに席あるから」
僕は光貴の方を向いて、隣の席を示した。
光貴は机の端に荷物を置いて座った。
瞬間、光貴の匂いがふわっと香る。
甘くて爽やかな香りだった。
思いがけず、鼻から勢いよく吸い込むようにしてしまった。
「どうした? 風邪でも引いたか?」
光貴が心配そうに聞く。
「いや、大丈夫。ちょっと鼻が詰まってるだけ」
僕は嘘をついた。
まさか光貴の匂いを味わうために吸い込んだ、だなんて言えないから。
「そうか。早く治るといいね」
光貴は優しく言ってくれた。
そして二人で数学の勉強を始めた。
光貴は、僕の分からないところを丁寧に教えてくれた。
僕は光貴の声に耳を傾けて、時々質問したり感想を言ったりした。
けれど、本当は数学よりも光貴のことが気になっていた。
光貴の声、ペンを持つ手。
汚れないように捲り上げた袖から見える腕、その血管。
一層、ますます、余計に惹かれてしまった。
図書館で勉強する時間はあっという間に過ぎてしまった。
「もうこんな時間だ。帰ろうか」
光貴が時計を見て言った。
「うん。ありがとう。おかげで分かったよ」
僕は光貴に礼を言った。
そして荷物をまとめて、図書館から出た。
外はすでに暗くなっていた。
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