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ナンパの誤解が解けた
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大学構内のカフェテリアでご飯を食べていると、
「あの、さ」
優が言いづらそうに声をかけてきた。
袖を掴まれ、しゃがむよう促されたのでそうする。
「この前、ナンパしてたじゃん? 僕も一緒に行きたい」
俺の頭の中はハテナマークでいっぱいになった。
ミクさんを優の彼女だと誤解した時に分かった。
俺は優に彼女ができたら、どういうわけか悲しく思うのだ。
理由に関して心当たりが無いわけではない。
しかし、恋愛感情という友人を無くしかねない結論は考えないことにした。
「え、なんで一緒に……」
どうにか断ろう。
わざわざ目の前で、優が他の人と仲睦まじげにするのを見たくはない。
ましてや、その手引きをするなんて。
「ナンパ慣れてるんでしょ、教えてよ。僕にしてきたみたいに」
「慣れてません!!!」
思わず声を張り上げて否定すると、優はきょとんとした顔をしていた。
声を潜め、こう続ける。
「初めてナンパしに行ったらお前だったの」
そう言うと優は、
「なぁ~んだ。そうなんだ」
と言いながらニヤニヤと笑い始めた。
「で、そんなに光貴が好きな雰囲気だったの? 僕の女装は」
ニヤリと笑いながら辱められるが、事実、彼の女装は好みだった。
なので反論もできずモゴモゴしていると、優は楽しげに続ける。
「そんな僕に一目惚れして? ナンパしに行っちゃったってこと? 君の幼馴染の僕と知らずに?」
「うっ、うるさいな。いいだろ別に!」
気恥ずかしさを隠すように語気を強めるも、優は悪戯っ子のような笑みを浮かべたまま。
「あはは。別に僕はいいけど」
『なにが?』と思ってしまったが、ナンパされた事を許す、以上の意味はないだろうな。
思いついてしまったそれ以上の意味は、ただの俺の願望なんだろう。
どうあがいても、あの日から、いやそれより前も含めて。
ずっと、優のことを__
「あの、さ」
優が言いづらそうに声をかけてきた。
袖を掴まれ、しゃがむよう促されたのでそうする。
「この前、ナンパしてたじゃん? 僕も一緒に行きたい」
俺の頭の中はハテナマークでいっぱいになった。
ミクさんを優の彼女だと誤解した時に分かった。
俺は優に彼女ができたら、どういうわけか悲しく思うのだ。
理由に関して心当たりが無いわけではない。
しかし、恋愛感情という友人を無くしかねない結論は考えないことにした。
「え、なんで一緒に……」
どうにか断ろう。
わざわざ目の前で、優が他の人と仲睦まじげにするのを見たくはない。
ましてや、その手引きをするなんて。
「ナンパ慣れてるんでしょ、教えてよ。僕にしてきたみたいに」
「慣れてません!!!」
思わず声を張り上げて否定すると、優はきょとんとした顔をしていた。
声を潜め、こう続ける。
「初めてナンパしに行ったらお前だったの」
そう言うと優は、
「なぁ~んだ。そうなんだ」
と言いながらニヤニヤと笑い始めた。
「で、そんなに光貴が好きな雰囲気だったの? 僕の女装は」
ニヤリと笑いながら辱められるが、事実、彼の女装は好みだった。
なので反論もできずモゴモゴしていると、優は楽しげに続ける。
「そんな僕に一目惚れして? ナンパしに行っちゃったってこと? 君の幼馴染の僕と知らずに?」
「うっ、うるさいな。いいだろ別に!」
気恥ずかしさを隠すように語気を強めるも、優は悪戯っ子のような笑みを浮かべたまま。
「あはは。別に僕はいいけど」
『なにが?』と思ってしまったが、ナンパされた事を許す、以上の意味はないだろうな。
思いついてしまったそれ以上の意味は、ただの俺の願望なんだろう。
どうあがいても、あの日から、いやそれより前も含めて。
ずっと、優のことを__
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