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初ナンパしてみた。
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大学進学し、先輩に唆されナンパをしようと空きの時間に繁華街に赴いた。
どこか守ってあげたくなるような、おどおどした感じが可愛いパーカー姿の女の子を見つけ、
「君かわいいね、道に迷ってるの? 教えてあげようか?」
と声をかけてみた。
このセリフは先輩の受け売りであるが、実際、ミディアムヘアがよく似合う可愛い女の子だった。
女の子が上目遣いで俺を見上げる。
困惑の様相だった。
「……光貴。お前、ナンパしてんの……?」
可愛いと思った女の子は、小学生から大学生までずっっと同じ学校の、知り合いの男、優だった。
「な、なななんでお前ここにいんだよ?」
「……この時間、講義取ってないし、遊びに来た……。光貴こそ、何してんの……?」
優は身長が俺より15cmほど低いが、気が強く、むしろいじめられたりしていた俺を守ってくれていた。
そんな優にナンパしているところを見られたのだ。
俺は顔が真っ赤になったのを覚えている。
「俺は、その……。あ、遊びだ! 遊び!」
「可愛いなって思ったけど! 優だって気づいてたから!! からかったの!」
「……ふ~ん」
目を逸らし、頬を赤らめているようだった。
流石のこいつも、知り合いに女装バレしたのが恥ずかしかったんだろうか。
「優はその、誰かと一緒にきたのか?」
「みきはおうちで待ってる……」
みきって誰だよ!?と思ったが、どうやら女の子の名前らしい。
俺は驚く。こいつに彼女なんてできるわけないと思っていたが、まさか。
「ちなみに、どんな子?」
「えっと……気が強くて。たまに喧嘩もするけど、仲良いよ」
優が嬉しそうに彼女のことを話しているのを見て、なぜか悔しいし、悲しかった
悔しがっている自分に対する疑問が広がっていく。
ただ、友達に彼女がいたと分かっただけじゃないか。
まるで、好きな子に、恋人がいたときのような……。
いやいやまさか、優を恋愛対象で見るわけがない。
最初の印象、あまりに可愛い女装の影響で勘違いしているんだ。
勘違いした頭をどうにか落ち着けるのに必死で、優との会話はおざなりになった。
結局、どうやって大学に戻ったかあまり分からないほど優のことで悩んでいた。
どこか守ってあげたくなるような、おどおどした感じが可愛いパーカー姿の女の子を見つけ、
「君かわいいね、道に迷ってるの? 教えてあげようか?」
と声をかけてみた。
このセリフは先輩の受け売りであるが、実際、ミディアムヘアがよく似合う可愛い女の子だった。
女の子が上目遣いで俺を見上げる。
困惑の様相だった。
「……光貴。お前、ナンパしてんの……?」
可愛いと思った女の子は、小学生から大学生までずっっと同じ学校の、知り合いの男、優だった。
「な、なななんでお前ここにいんだよ?」
「……この時間、講義取ってないし、遊びに来た……。光貴こそ、何してんの……?」
優は身長が俺より15cmほど低いが、気が強く、むしろいじめられたりしていた俺を守ってくれていた。
そんな優にナンパしているところを見られたのだ。
俺は顔が真っ赤になったのを覚えている。
「俺は、その……。あ、遊びだ! 遊び!」
「可愛いなって思ったけど! 優だって気づいてたから!! からかったの!」
「……ふ~ん」
目を逸らし、頬を赤らめているようだった。
流石のこいつも、知り合いに女装バレしたのが恥ずかしかったんだろうか。
「優はその、誰かと一緒にきたのか?」
「みきはおうちで待ってる……」
みきって誰だよ!?と思ったが、どうやら女の子の名前らしい。
俺は驚く。こいつに彼女なんてできるわけないと思っていたが、まさか。
「ちなみに、どんな子?」
「えっと……気が強くて。たまに喧嘩もするけど、仲良いよ」
優が嬉しそうに彼女のことを話しているのを見て、なぜか悔しいし、悲しかった
悔しがっている自分に対する疑問が広がっていく。
ただ、友達に彼女がいたと分かっただけじゃないか。
まるで、好きな子に、恋人がいたときのような……。
いやいやまさか、優を恋愛対象で見るわけがない。
最初の印象、あまりに可愛い女装の影響で勘違いしているんだ。
勘違いした頭をどうにか落ち着けるのに必死で、優との会話はおざなりになった。
結局、どうやって大学に戻ったかあまり分からないほど優のことで悩んでいた。
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