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第三章 冥府の大樹林編
第58話 見物人を共犯者にしよう! ①
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ウルトラCな解決策を閃いた俺は、いつものように【冥府の大樹林】へと向かう。
ついてくるのはいつもの通り、マリー、ソフィア、騎士たち、そしてウィンダム侯爵だ。
向かう途中、騎士たちは顔を合わせて何かを話し合っていた。
「おい、本当に今日もやるのか?」
「毎日毎日あんな魔術を放つなんて、信じられねぇよ」
「話は聞いていたけれど……想像以上にとんでもない方だったんだな、レンフォード伯爵は」
彼らの表情や話し声からは、驚愕や恐怖といった感情がありありと漏れ出ている。
ふふ、それもそのはず。大樹林は貴重な資源がある地であり、彼らはそれを集めることで国に貢献する俺をサポートしに来ていた。
にもかかわらず、俺はそんな彼らの期待を裏切り森を破壊し続けている。
それをただ見守ることしかできず、文句の一つも言えない日々に鬱憤が溜まっているのだろう。
いいだろう。
そこまで嫌がるようなら、奴らの思いを尊重してやろうではないか。
その後、大樹林に辿り着いた俺はおもむろにこう宣言した。
「俺が大樹林に魔術を放つのは、ここで打ち止めとする!」
「「「なっ!」」」
俺の言葉を聞き、驚愕の声を上げるソフィアや騎士たち。
その目からは、まるで信じられないといった感情が伝わってくる。
ようやく俺が森林の破壊を止めることに歓喜してるのだろう。
だが、甘い。
このままだとせっかく下げた俺の評価が再浮上してしまう。
そのような選択を俺が取るはずがないことを示してやらねば。
想定していない事態にどよめく騎士たち。
そいつらに向け、俺は威風堂々と告げる。
「ああ、言葉が足らなかったか。今のはあくまで、俺が魔術を放つのを辞めると言ったんだ。大樹林の破壊自体を止める気はない」
そう伝えると、どよめきは一層強くなる。
「ど、どういうことだ?」
「それじゃいったい、誰が代わりに……」
彼らはまだ何を言われたのか理解していないらしい。
すると、そのタイミングでウィンダム侯爵が一歩前に出てくる。
「し、しかし、レンフォード卿。貴方を除き、この中に一人でそのようなことができる人物はいないと思うのですが……」
「ふっ、甘いな」
「……えっ?」
ウィンダム侯爵はさすがに俺の意図を見抜けたようだが……まだ甘い。
その程度の言い分で俺から逃げ切れると本当に考えているのだろうか?
国王の懐刀とも称されし人物の割には詰めが甘い。
仕方ない。
俺は下々のため、丁寧に説明してやることにする。
「一人で足りぬのなら数を増やせばいい。ただそれだけの単純なことだ」
「っ、それはまさか……」
目を見開くウィンダム侯爵。
俺は彼から視線を外すと、残りの騎士どもを見渡す。
このまま見物人のまま終われると思ったか?
ぬるい、ぬるすぎる。
ここにいる人物が誰なのか、しかと教えてやらなければ。
俺は油断しているコイツらにとって、これ以上なく残酷な計画を告げる。
「これからお前たちに、俺の魔術の真髄を教えよう。当然、簡単に習得できるようなものではないが……ここにいる全員が力を合わせれば、その一端くらいは再現できるはずだ。ここからはお前たち自身の手で、この森を焼き尽くしてもらう!」
そう。これはただサポートのためにやってきた騎士どもを矢面に立たせ、名実ともに主犯者へと仕上げる史上最悪の作戦。
こいつらに自らの手で、王命に逆らってもらうのだ!
まさにパーフェクトアイディア!
動揺する騎士どもを見た俺は、勝利を確信するのだった。
――――――――――――――――――――
【大切なお願い】
本日より新作
『ゲーム世界の1000年後に転生した俺は、最強ギフト【無の紋章】と原作知識で無双する』
を投稿させていただきました。
大変面白い出来になっているので、ぜひご一読いただけると幸いです!
ついてくるのはいつもの通り、マリー、ソフィア、騎士たち、そしてウィンダム侯爵だ。
向かう途中、騎士たちは顔を合わせて何かを話し合っていた。
「おい、本当に今日もやるのか?」
「毎日毎日あんな魔術を放つなんて、信じられねぇよ」
「話は聞いていたけれど……想像以上にとんでもない方だったんだな、レンフォード伯爵は」
彼らの表情や話し声からは、驚愕や恐怖といった感情がありありと漏れ出ている。
ふふ、それもそのはず。大樹林は貴重な資源がある地であり、彼らはそれを集めることで国に貢献する俺をサポートしに来ていた。
にもかかわらず、俺はそんな彼らの期待を裏切り森を破壊し続けている。
それをただ見守ることしかできず、文句の一つも言えない日々に鬱憤が溜まっているのだろう。
いいだろう。
そこまで嫌がるようなら、奴らの思いを尊重してやろうではないか。
その後、大樹林に辿り着いた俺はおもむろにこう宣言した。
「俺が大樹林に魔術を放つのは、ここで打ち止めとする!」
「「「なっ!」」」
俺の言葉を聞き、驚愕の声を上げるソフィアや騎士たち。
その目からは、まるで信じられないといった感情が伝わってくる。
ようやく俺が森林の破壊を止めることに歓喜してるのだろう。
だが、甘い。
このままだとせっかく下げた俺の評価が再浮上してしまう。
そのような選択を俺が取るはずがないことを示してやらねば。
想定していない事態にどよめく騎士たち。
そいつらに向け、俺は威風堂々と告げる。
「ああ、言葉が足らなかったか。今のはあくまで、俺が魔術を放つのを辞めると言ったんだ。大樹林の破壊自体を止める気はない」
そう伝えると、どよめきは一層強くなる。
「ど、どういうことだ?」
「それじゃいったい、誰が代わりに……」
彼らはまだ何を言われたのか理解していないらしい。
すると、そのタイミングでウィンダム侯爵が一歩前に出てくる。
「し、しかし、レンフォード卿。貴方を除き、この中に一人でそのようなことができる人物はいないと思うのですが……」
「ふっ、甘いな」
「……えっ?」
ウィンダム侯爵はさすがに俺の意図を見抜けたようだが……まだ甘い。
その程度の言い分で俺から逃げ切れると本当に考えているのだろうか?
国王の懐刀とも称されし人物の割には詰めが甘い。
仕方ない。
俺は下々のため、丁寧に説明してやることにする。
「一人で足りぬのなら数を増やせばいい。ただそれだけの単純なことだ」
「っ、それはまさか……」
目を見開くウィンダム侯爵。
俺は彼から視線を外すと、残りの騎士どもを見渡す。
このまま見物人のまま終われると思ったか?
ぬるい、ぬるすぎる。
ここにいる人物が誰なのか、しかと教えてやらなければ。
俺は油断しているコイツらにとって、これ以上なく残酷な計画を告げる。
「これからお前たちに、俺の魔術の真髄を教えよう。当然、簡単に習得できるようなものではないが……ここにいる全員が力を合わせれば、その一端くらいは再現できるはずだ。ここからはお前たち自身の手で、この森を焼き尽くしてもらう!」
そう。これはただサポートのためにやってきた騎士どもを矢面に立たせ、名実ともに主犯者へと仕上げる史上最悪の作戦。
こいつらに自らの手で、王命に逆らってもらうのだ!
まさにパーフェクトアイディア!
動揺する騎士どもを見た俺は、勝利を確信するのだった。
――――――――――――――――――――
【大切なお願い】
本日より新作
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大変面白い出来になっているので、ぜひご一読いただけると幸いです!
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