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第一章 モブ悪役転生編
第15話 生涯をかけてお仕えするべき主【ローラ視点】
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クラウスから『一か月間の強制休暇、および一切の訓練・戦闘禁止』が命じられてから一か月が経過した。
その間、本当にローラたちは一度として訓練や戦闘を行うことはなかった。
疲労や怪我から回復できたという恩恵はあったものの、運動不足や暴飲暴食によって多くの団員がぷくぷくと太り、戦闘の勘まで失っている始末。
ここから元の状態に立て直すまで、はたしてどれだけの時間が必要になるだろうか。
「やはり、領主様の命令に意味があったとはとても思えん……」
絶望に頭を抱えるローラ。
そんな時、顔色を変えた一人の団員がローラのもとにやってくる。
「団長、大変です!」
「どうした?」
慌てようからして魔物の群れでも現れたのだろうか。
だとしたらまずい。今の状態の自分たちでは、どれだけ戦えるか分からない。
そう不安を抱くローラ。
しかし次に団員の口から飛び出してきたのは、その最悪の想定すらも軽々と飛び越えたものだった。
「それが……町になんと、魔王軍幹部を名乗る男が現れました!」
「何だと!?」
魔王軍幹部。
その情報が正しければ、間違いなくイージス・バードやギガホーン・ボア(覚醒進化個体)以上の強者。
状況は一刻を争う。
ローラは剣を握りバッと立ち上がると、音声拡散魔術を用いて駐屯地全体に指示を送った。
「騎士団総員、今すぐ準備を整えて町に向かうぞ!」
不幸中の幸いか、本日が休暇期間最終日の翌日だったこともあり駐屯地には全団員が集結していた。
もちろん魔王軍幹部に対して、騎士団一つでは敵わない可能性の方が高いだろう。
それでも、剣を振るい国を守るのが自分たちの使命。ここで逃げるわけにはいかない。
ローラは覚悟を決め、魔王軍幹部のもとへ向かうのだった。
◇◇◇
すぐに町に向かったローラだったが、意外にもまだ被害はほとんど出ていなかった。
ただ残念ながら、敵襲が来たという情報は本当のようだった。
頭に角を生やした白髪の男が町を見下ろすように空高く飛んでおり、気味の悪い笑みを浮かべながらローラたちを見下ろす。
ローラは剣を男に向け、力強く叫んだ。
「私はレンフォード騎士団団長、ローラ・エンブレス! 貴様は何者だ!」
「これはこれは、ご丁寧な自己紹介をどうもありがとうございます。それではこちらも改めまして。私の名はフレクト、魔王軍幹部の一人でございます」
(くっ! この禍々しいオーラ、間違いなく本物だ! それにフレクトだと!?)
その名には聞き覚えがあった。
ソルスティア王国の各地に度々現れ、そこに暮らす強者を次々と殺している実力者だと聞いている。
しかし名前以外の素性は謎に包まれており、どんな能力を持っているかすら判明していない厄介な敵だ。
そんな輩が、まさかレンフォード領にやってくるとは。
強力な魔術の使い手という噂のクラウスに救援を頼もうにも、本日クラウスは町の外に出ているという話だ。
ローラたちだけで、この強敵から町を守る必要がある。
ローラは唇を噛み締めながらも、少しでも情報を入手するべく言葉を返す。
「フレクト! 貴様はなぜこの領地にやってきた!」
「いえいえ、何でもこの領地に封印されていたはずの邪神が倒されたという話を聞きましてね。我が主の復活が迫る中、不穏分子は早めに片づけておいた方がよろしいでしょう?」
「……貴様一人で、私たちに勝てるとでも言うつもりか?」
「ええ、もちろんでございます。それではそろそろお披露目といきましょうか」
フレクトはそう言いながら、両手をローラたちに向ける。
攻撃を仕掛けてくる合図だ。
「攻撃が来るぞ! 総員、防御態勢を取れ!」
「「「はっ!」」」
その対応を見て、フレクトはさらに笑みを深める。
「クフフ、哀れですね。その程度で私の魔術を防げると考えているとは」
「どういう意味だ?」
「私の魔術は普通の魔術ではありません。そのような防御、一切意味がないのです」
フレクトの両手に禍々しい漆黒の魔力が集う。
「この魔術の効果はたった一つ。それは対象者がこの一か月間に受けた痛みを同時に蘇らせるというもの。痛みというのは魔物に与えられた傷から、ただの筋肉痛にまで及びます。それら一つ一つは大したことがない痛みだったとしても、一か月分に膨れ上がった苦しみは、並大抵の者に耐えられるものではありません」
「なっ……!」
ローラは衝撃に目を見開いた。
確かに激しい訓練をした後は、立ち上がることすらままならない程の筋肉痛に襲われることがある。
魔物に与えられた傷の痛みにもなれば、言うまでもないだろう。
それらの痛みを一か月分合わせたものが与えられるなど、考えるだけでも恐ろしい。
対象が実力者であれば実力者であるほど、その効果は膨れ上がるだろう。
フレクトがこれまで数々の強敵を倒してきた理由がよく分かった。
(くそっ、どうする!?)
撤退しようにも、それを許してくる相手ではない。
フレクトは漆黒の魔力を騎士団全員に浴びせるよう解き放った。
「さあ、自らの痛みを思い出しなさい――【蘇りし苦痛】!」
その魔力を浴びて、誰もが苦痛を覚悟し目をつむる。
しかし――
「あ、あれ……? 何も起きないぞ?」
「でまかせだったのか⁉︎」
「うっ、腰痛が……!」
――どういうわけか、ほとんどの団員たちが苦しむことはなかった。
この結果に混乱しているのはローラたちだけでなく、フレクト本人もだった。
「なっ!? 【蘇りし苦痛】が効いていない!? ありえません! それともまさか貴方たちはこの一か月間、何の痛みも味わっていないとでも言うのですか!?」
フレクトの叫びを聞き、ローラはようやく状況を理解した。
(そうか! 私たちはこの一か月間、戦闘も訓練もしておらず痛みからはほど遠い生活を送っていた。そのために奴の魔術が効果を発揮しなかったのだ!)
確信とともに笑みを浮かべるローラ。
今なら十分、フレクトを倒せる可能性がある。
問題があるとすれば、自分たちが万全の状態ではないということだが……
急いで策を考えるローラ。
しかし、意外にもフレクトはすぐに落ち着きを取り戻した。
「仕方ありません、奥の手を使いましょう。まさか、このような辺境の地で初めてこの魔術を使うことになるとは思いませんでしたよ」
「まだ隠し玉があるというのか!?」
「ええ、これこそ正真正銘最後の切り札。痛みを蘇らせることで無力化するのではなく、敵から生命力を奪うことで無力化する禁術です」
そう言ってフレクトは、純白の魔力を再びローラたちに解き放つ。
「【生命力吸収】!」
「――ッ!」
(体からエネルギーそのものが奪われるような感覚! 私は魔力耐性でなんとか抵抗できているが、他の団員たちはまとめてやられてしまうに違いない――)
危機感を抱きながら周囲を見渡すローラ。
しかしそこにあったのは、彼女が予想していたのとはまったく異なる光景だった。
団員たちは気力を奪われて倒れるどころか、先ほどまでと比べて気力に満ちた万全の状態になっていた。
「うおぉ! 何だこれ、重かった体が一気に軽くなったぞ!」
「体の奥底から力が湧いてくる!」
「うっ、腰痛が……」
その光景を見たフレクトが驚愕の声を上げる。
「あ、あああ有り得ません! 【蘇りし苦痛】に続いて【生命力吸収】まで防がれるなど! まさか、この状況を想定して準備していたとでも言うのですか!?」
ローラは遅れて理解する。
フレクトが使用した魔術は生命力を奪うというもの。
なら、対象者の生命力が有り余っていたとしたらどうなる?
答えは簡単、過剰分だけが吸収され、逆に万全の状態に整えられることだろう。
団員たちはこの一か月間、暴飲暴食を繰り返すも戦闘で発散することはできなかったため、エネルギー(カロリー)がその身に蓄えられていた。
そのため、フレクトの魔術によってダイエットに成功してしまったのだ!
(まさか……これを全て、領主様は初めから想定していたというのか!?)
偶然ではとても片づけられない出来事の連続に、ローラの体はぶるりと震えた。
クラウスは一か月前の段階からフレクトが攻め込んでくるという情報を入手すると共に、その能力すら見抜いていたに違いない。
そしてクラウスの命令の裏には、初めからフレクトの【蘇りし苦痛】と【生命力吸収】を無効化する意図があったのだ。
(なんてお方なのだ、私たちの主は! それなのに命令に意味がないなどと文句を言ってしまうとは……愚かなのは私の方だった!)
いずれにせよ、状況は整った。
ローラはフレクトに剣を向け、団員たちに指示を出す。
「総員、突撃!」
「「「はっ!!!」」」
「ま、待ってください! 私はこんなところでやられるわけには――」
その後、騎士団総出で仕掛けることにより、なんとも呆気なくフレクトの確保に成功した。
フレクトの強みはその特殊性だったようで、戦闘能力自体は大したことがなかったのだ。
魔王軍幹部を捕らえ、歓喜する団員たち。
しかしそれは全てクラウスの策があってのことだと、この場にいる全員が理解していた。
「さあ皆、この勝利を領主様に知らせるまで、決して気を抜くんじゃないぞ!」
「「「はい!」」」
ローラの言葉に対し、力強く頷く団員たち。
ローラは空を見上げ、ここにはいないクラウスに思いをはせる。
(貴方様は間違いなく偉大なる領主であると同時に、稀代の策略家……私が生涯をかけてお仕えすべきお方です!)
それから数時間後、町に帰ってきたクラウスに今回の一件を報告する。
報告を聞いたクラウスはなぜか涙を流していたが、それはローラたちが彼の期待に応えたことを心から喜んでくれているからだと、ローラは確信するのだった。
その間、本当にローラたちは一度として訓練や戦闘を行うことはなかった。
疲労や怪我から回復できたという恩恵はあったものの、運動不足や暴飲暴食によって多くの団員がぷくぷくと太り、戦闘の勘まで失っている始末。
ここから元の状態に立て直すまで、はたしてどれだけの時間が必要になるだろうか。
「やはり、領主様の命令に意味があったとはとても思えん……」
絶望に頭を抱えるローラ。
そんな時、顔色を変えた一人の団員がローラのもとにやってくる。
「団長、大変です!」
「どうした?」
慌てようからして魔物の群れでも現れたのだろうか。
だとしたらまずい。今の状態の自分たちでは、どれだけ戦えるか分からない。
そう不安を抱くローラ。
しかし次に団員の口から飛び出してきたのは、その最悪の想定すらも軽々と飛び越えたものだった。
「それが……町になんと、魔王軍幹部を名乗る男が現れました!」
「何だと!?」
魔王軍幹部。
その情報が正しければ、間違いなくイージス・バードやギガホーン・ボア(覚醒進化個体)以上の強者。
状況は一刻を争う。
ローラは剣を握りバッと立ち上がると、音声拡散魔術を用いて駐屯地全体に指示を送った。
「騎士団総員、今すぐ準備を整えて町に向かうぞ!」
不幸中の幸いか、本日が休暇期間最終日の翌日だったこともあり駐屯地には全団員が集結していた。
もちろん魔王軍幹部に対して、騎士団一つでは敵わない可能性の方が高いだろう。
それでも、剣を振るい国を守るのが自分たちの使命。ここで逃げるわけにはいかない。
ローラは覚悟を決め、魔王軍幹部のもとへ向かうのだった。
◇◇◇
すぐに町に向かったローラだったが、意外にもまだ被害はほとんど出ていなかった。
ただ残念ながら、敵襲が来たという情報は本当のようだった。
頭に角を生やした白髪の男が町を見下ろすように空高く飛んでおり、気味の悪い笑みを浮かべながらローラたちを見下ろす。
ローラは剣を男に向け、力強く叫んだ。
「私はレンフォード騎士団団長、ローラ・エンブレス! 貴様は何者だ!」
「これはこれは、ご丁寧な自己紹介をどうもありがとうございます。それではこちらも改めまして。私の名はフレクト、魔王軍幹部の一人でございます」
(くっ! この禍々しいオーラ、間違いなく本物だ! それにフレクトだと!?)
その名には聞き覚えがあった。
ソルスティア王国の各地に度々現れ、そこに暮らす強者を次々と殺している実力者だと聞いている。
しかし名前以外の素性は謎に包まれており、どんな能力を持っているかすら判明していない厄介な敵だ。
そんな輩が、まさかレンフォード領にやってくるとは。
強力な魔術の使い手という噂のクラウスに救援を頼もうにも、本日クラウスは町の外に出ているという話だ。
ローラたちだけで、この強敵から町を守る必要がある。
ローラは唇を噛み締めながらも、少しでも情報を入手するべく言葉を返す。
「フレクト! 貴様はなぜこの領地にやってきた!」
「いえいえ、何でもこの領地に封印されていたはずの邪神が倒されたという話を聞きましてね。我が主の復活が迫る中、不穏分子は早めに片づけておいた方がよろしいでしょう?」
「……貴様一人で、私たちに勝てるとでも言うつもりか?」
「ええ、もちろんでございます。それではそろそろお披露目といきましょうか」
フレクトはそう言いながら、両手をローラたちに向ける。
攻撃を仕掛けてくる合図だ。
「攻撃が来るぞ! 総員、防御態勢を取れ!」
「「「はっ!」」」
その対応を見て、フレクトはさらに笑みを深める。
「クフフ、哀れですね。その程度で私の魔術を防げると考えているとは」
「どういう意味だ?」
「私の魔術は普通の魔術ではありません。そのような防御、一切意味がないのです」
フレクトの両手に禍々しい漆黒の魔力が集う。
「この魔術の効果はたった一つ。それは対象者がこの一か月間に受けた痛みを同時に蘇らせるというもの。痛みというのは魔物に与えられた傷から、ただの筋肉痛にまで及びます。それら一つ一つは大したことがない痛みだったとしても、一か月分に膨れ上がった苦しみは、並大抵の者に耐えられるものではありません」
「なっ……!」
ローラは衝撃に目を見開いた。
確かに激しい訓練をした後は、立ち上がることすらままならない程の筋肉痛に襲われることがある。
魔物に与えられた傷の痛みにもなれば、言うまでもないだろう。
それらの痛みを一か月分合わせたものが与えられるなど、考えるだけでも恐ろしい。
対象が実力者であれば実力者であるほど、その効果は膨れ上がるだろう。
フレクトがこれまで数々の強敵を倒してきた理由がよく分かった。
(くそっ、どうする!?)
撤退しようにも、それを許してくる相手ではない。
フレクトは漆黒の魔力を騎士団全員に浴びせるよう解き放った。
「さあ、自らの痛みを思い出しなさい――【蘇りし苦痛】!」
その魔力を浴びて、誰もが苦痛を覚悟し目をつむる。
しかし――
「あ、あれ……? 何も起きないぞ?」
「でまかせだったのか⁉︎」
「うっ、腰痛が……!」
――どういうわけか、ほとんどの団員たちが苦しむことはなかった。
この結果に混乱しているのはローラたちだけでなく、フレクト本人もだった。
「なっ!? 【蘇りし苦痛】が効いていない!? ありえません! それともまさか貴方たちはこの一か月間、何の痛みも味わっていないとでも言うのですか!?」
フレクトの叫びを聞き、ローラはようやく状況を理解した。
(そうか! 私たちはこの一か月間、戦闘も訓練もしておらず痛みからはほど遠い生活を送っていた。そのために奴の魔術が効果を発揮しなかったのだ!)
確信とともに笑みを浮かべるローラ。
今なら十分、フレクトを倒せる可能性がある。
問題があるとすれば、自分たちが万全の状態ではないということだが……
急いで策を考えるローラ。
しかし、意外にもフレクトはすぐに落ち着きを取り戻した。
「仕方ありません、奥の手を使いましょう。まさか、このような辺境の地で初めてこの魔術を使うことになるとは思いませんでしたよ」
「まだ隠し玉があるというのか!?」
「ええ、これこそ正真正銘最後の切り札。痛みを蘇らせることで無力化するのではなく、敵から生命力を奪うことで無力化する禁術です」
そう言ってフレクトは、純白の魔力を再びローラたちに解き放つ。
「【生命力吸収】!」
「――ッ!」
(体からエネルギーそのものが奪われるような感覚! 私は魔力耐性でなんとか抵抗できているが、他の団員たちはまとめてやられてしまうに違いない――)
危機感を抱きながら周囲を見渡すローラ。
しかしそこにあったのは、彼女が予想していたのとはまったく異なる光景だった。
団員たちは気力を奪われて倒れるどころか、先ほどまでと比べて気力に満ちた万全の状態になっていた。
「うおぉ! 何だこれ、重かった体が一気に軽くなったぞ!」
「体の奥底から力が湧いてくる!」
「うっ、腰痛が……」
その光景を見たフレクトが驚愕の声を上げる。
「あ、あああ有り得ません! 【蘇りし苦痛】に続いて【生命力吸収】まで防がれるなど! まさか、この状況を想定して準備していたとでも言うのですか!?」
ローラは遅れて理解する。
フレクトが使用した魔術は生命力を奪うというもの。
なら、対象者の生命力が有り余っていたとしたらどうなる?
答えは簡単、過剰分だけが吸収され、逆に万全の状態に整えられることだろう。
団員たちはこの一か月間、暴飲暴食を繰り返すも戦闘で発散することはできなかったため、エネルギー(カロリー)がその身に蓄えられていた。
そのため、フレクトの魔術によってダイエットに成功してしまったのだ!
(まさか……これを全て、領主様は初めから想定していたというのか!?)
偶然ではとても片づけられない出来事の連続に、ローラの体はぶるりと震えた。
クラウスは一か月前の段階からフレクトが攻め込んでくるという情報を入手すると共に、その能力すら見抜いていたに違いない。
そしてクラウスの命令の裏には、初めからフレクトの【蘇りし苦痛】と【生命力吸収】を無効化する意図があったのだ。
(なんてお方なのだ、私たちの主は! それなのに命令に意味がないなどと文句を言ってしまうとは……愚かなのは私の方だった!)
いずれにせよ、状況は整った。
ローラはフレクトに剣を向け、団員たちに指示を出す。
「総員、突撃!」
「「「はっ!!!」」」
「ま、待ってください! 私はこんなところでやられるわけには――」
その後、騎士団総出で仕掛けることにより、なんとも呆気なくフレクトの確保に成功した。
フレクトの強みはその特殊性だったようで、戦闘能力自体は大したことがなかったのだ。
魔王軍幹部を捕らえ、歓喜する団員たち。
しかしそれは全てクラウスの策があってのことだと、この場にいる全員が理解していた。
「さあ皆、この勝利を領主様に知らせるまで、決して気を抜くんじゃないぞ!」
「「「はい!」」」
ローラの言葉に対し、力強く頷く団員たち。
ローラは空を見上げ、ここにはいないクラウスに思いをはせる。
(貴方様は間違いなく偉大なる領主であると同時に、稀代の策略家……私が生涯をかけてお仕えすべきお方です!)
それから数時間後、町に帰ってきたクラウスに今回の一件を報告する。
報告を聞いたクラウスはなぜか涙を流していたが、それはローラたちが彼の期待に応えたことを心から喜んでくれているからだと、ローラは確信するのだった。
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