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046 愚か者の憤怒
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不意に、シンは違和感を覚えた。
足元から感じるのは、ただならぬ強者の気配。
しかしそこには、ボロボロになったアルトしか転がっていないはず――
「ルォォォオオオオオオ!!!」
「――――ッ」
――そう思った直後、巨大な何かがシンを襲った。
シンの全身を覆うほど大きなそれは、猛烈なエネルギーを以て彼の体を吹き飛ばした。
背中からダンジョンの内壁に突撃する。
その衝撃で、壁が深く凹んだ。
それだけではない。今の一連の流れで、シンのHPは440→408へと減少していた。
体についた埃を払いながら、シンは改めて前方に視線を戻す。
そして見た。そこに立つ、一つの巨大な人影を――アルトを。
「ははっ、はははははっ! どうだシン、見たか! 今の俺なら貴様ごとき、相手にすらならん!」
「……お前」
それがアルトなのは間違いない。
ただ、様相は先ほどまでとは明らかにかけ離れていた。
まず、サイズが違った。
高さは3メートルにも及ぶだろうか。
かつてのネクロ・デモンには届かないが、人の限界は優に超えていた。
顔には黒色の痣が浮かび、禍々しい見た目となっている。
さらに四肢に至っては、まるで強靭な獣のように膨れ上がり、圧倒的な力強さを纏っていた。
傷についても、全て癒えてしまっているようだ。
(いったい、何が……)
シンは思考する。
さすがのシンであっても、この展開は予想外だった。
それもそうだ。突如としてアルトの大きさが増し、わずかとはいえ自身に匹敵する力を得るなど、予想できるはずもなかった。
まさにイレギュラーな展開。
多少なりとも困惑するシンを見て、アルトは高らかに笑う。
「ははっ、どうしたシン!? 驚いているのか!? 戸惑っているのか!? 何でも好きにするといい! 貴様は今から、この俺によって蹂躙されるのだから!」
高揚感と共に、大きく右腕を振り上げるアルト。
たったそれだけで、ゴウッと大気が揺れる。
あの一振りに、圧倒的質量が込められていることがよく分かる。
アルトのテンションが上がるのも尤もだろう。
「…………骸の剣」
しかしそんな危機的状況にあってなお、シンが戸惑うことはなかった。
代わりに保管の指輪から、骸の剣を召喚する。
そして、
「死ね、シンーーーーー!!!」
「…………」
頭上から振り下ろされる質量兵器に対して、一閃。
ただそれだけで、アルトの右腕は根元からぽっきりと外れた。
「――――へ?」
突然のことに、困惑の声を上げるアルト。
シンは冷たい声で告げる。
「何か勘違いしていたんじゃないか、アルト」
「ぐあぁぁぁあああああ! き、貴様……いったい、何を!」
「お前が何らかの手段で身に余る力を得たのは分かった。それがわずかとはいえ、俺に届きうるという事実も……だが、それだけだ。この程度では俺はおろか、あのエクストラボスにも及んでいない」
もっとも、シンが語るエクストラボスとはアルトが遭遇したのではなく、10000レベルの方だが。
それを知らないアルトは、憤怒に顔を赤く染めた。
足元から感じるのは、ただならぬ強者の気配。
しかしそこには、ボロボロになったアルトしか転がっていないはず――
「ルォォォオオオオオオ!!!」
「――――ッ」
――そう思った直後、巨大な何かがシンを襲った。
シンの全身を覆うほど大きなそれは、猛烈なエネルギーを以て彼の体を吹き飛ばした。
背中からダンジョンの内壁に突撃する。
その衝撃で、壁が深く凹んだ。
それだけではない。今の一連の流れで、シンのHPは440→408へと減少していた。
体についた埃を払いながら、シンは改めて前方に視線を戻す。
そして見た。そこに立つ、一つの巨大な人影を――アルトを。
「ははっ、はははははっ! どうだシン、見たか! 今の俺なら貴様ごとき、相手にすらならん!」
「……お前」
それがアルトなのは間違いない。
ただ、様相は先ほどまでとは明らかにかけ離れていた。
まず、サイズが違った。
高さは3メートルにも及ぶだろうか。
かつてのネクロ・デモンには届かないが、人の限界は優に超えていた。
顔には黒色の痣が浮かび、禍々しい見た目となっている。
さらに四肢に至っては、まるで強靭な獣のように膨れ上がり、圧倒的な力強さを纏っていた。
傷についても、全て癒えてしまっているようだ。
(いったい、何が……)
シンは思考する。
さすがのシンであっても、この展開は予想外だった。
それもそうだ。突如としてアルトの大きさが増し、わずかとはいえ自身に匹敵する力を得るなど、予想できるはずもなかった。
まさにイレギュラーな展開。
多少なりとも困惑するシンを見て、アルトは高らかに笑う。
「ははっ、どうしたシン!? 驚いているのか!? 戸惑っているのか!? 何でも好きにするといい! 貴様は今から、この俺によって蹂躙されるのだから!」
高揚感と共に、大きく右腕を振り上げるアルト。
たったそれだけで、ゴウッと大気が揺れる。
あの一振りに、圧倒的質量が込められていることがよく分かる。
アルトのテンションが上がるのも尤もだろう。
「…………骸の剣」
しかしそんな危機的状況にあってなお、シンが戸惑うことはなかった。
代わりに保管の指輪から、骸の剣を召喚する。
そして、
「死ね、シンーーーーー!!!」
「…………」
頭上から振り下ろされる質量兵器に対して、一閃。
ただそれだけで、アルトの右腕は根元からぽっきりと外れた。
「――――へ?」
突然のことに、困惑の声を上げるアルト。
シンは冷たい声で告げる。
「何か勘違いしていたんじゃないか、アルト」
「ぐあぁぁぁあああああ! き、貴様……いったい、何を!」
「お前が何らかの手段で身に余る力を得たのは分かった。それがわずかとはいえ、俺に届きうるという事実も……だが、それだけだ。この程度では俺はおろか、あのエクストラボスにも及んでいない」
もっとも、シンが語るエクストラボスとはアルトが遭遇したのではなく、10000レベルの方だが。
それを知らないアルトは、憤怒に顔を赤く染めた。
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