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002 ステータスとボス

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 その後、再び探索を始めたアルトさんたちの背中を眺めながら、僕はふと、いつになればこの人たちに追いつけるのだろうかと考え始めた。
 その流れのまま、僕は自分のステータスを表示する。


 ――――――――――――――

 シン 15歳 レベル:30
 称号:なし
 HP:300/300 MP:85/85
 攻撃力:80
 防御力:70
 知 力:45
 敏捷性:60
 幸 運:45
 SPステータス・ポイント:0

 ユニークスキル:【無限再生】
 通常スキル:なし

 ――――――――――――――

 【無限再生】
 ・ユニークスキル
 ・対象者が傷を負った際、自動で再生する。

 ――――――――――――――


 ステータスとスキル。それは神から与えられた、人類が魔物と戦うための力。
 現在、僕のレベルは30となっており、これは冒険者歴1年の平均である20よりかなり高い。
 これも全てはアルトさんたちのおかげで、安全に格上の魔物と戦って経験値を稼げるからだ。
 
 続けて、僕はスキル欄に視線を落とす。
 そこにははっきりと、ユニークスキル【無限再生】と書かれていた。

 ――ユニークスキル。
 それはスキルの中でも特別な、この世で1人しか扱えないものを指す。
 その特徴として、通常のスキルに比べて非常に強力な効果を有しているものが多い。

 しかし、僕が持つユニークスキル【無限再生】は傷を自動で癒してくれるという、ただそれだけのスキルだった。
 便利ではあるものの、その効果は低級の回復魔法にすら及ばない。
 そのため昔から、周囲からは外れスキルだと言われていた。

 実を言うと、初めてアルトさんからパーティーに誘われた時、僕はこのユニークスキルがあるからだと考えていた。
 本当の効果は大したことがないと伝える時、見限られるんじゃないかと不安になり、胸が破裂しそうだったことは今でも克明に思い出せる。
 けど、アルトさんは違った。僕の【無限再生】が外れスキルだと知ってからも、変わらず僕を優しく受け入れてくれたのだ。

 だからこそ僕は、改めて思う。
 一刻も早く強くなり、この人たちの力になりたいと。

(……まっ、それが何年後になるかは分からないんだけどね)

 現在の僕のレベルは30。
 それに対しアルトさんたち――実は今日同行していないだけでもう一人メンバーがいるのだが、彼を合わせた5人の平均レベルは300超え。
 僕がそこに到達するには少なくとも10年はかかる。
 その間、アルトさんたちも成長を続けることを考慮すれば、実際に追いつけるのはさらに先となるだろう。

(それでもやるんだ、僕は!)

 受けた恩を返すため。
 僕は改めて、心の中でそう誓うのだった。


 ◇◆◇


 それから数十分後。
 安全地帯セーフティ・エリアと思わしき大広間を抜けた先には、ボス部屋が待ち受けていた。
 中に足を踏み入れた僕たちの前に、ダンジョンボスが出現する。

「ガルルルゥゥゥゥゥ」

 そこにいたのは、黒色の毛並みが特徴的な獣型の魔物だった。
 その魔物は唸り声を上げながらこちらを睨みつけてくる。

 僕は魔物のステータスを確認した。


 ――――――――――――――

【ブラック・ファング】
 ・レベル:30
 ・ダンジョンボス:【黒きアビス】

 ――――――――――――――


 すると偶然にも、魔物のレベルは僕と同じだった。

「さて。今回は新規ダンジョンの調査依頼を受けてきたわけだから、攻略報酬を確かめるためにボスも倒す必要があるんだが……」

 アルトさんはそう言いながら、ちらりと僕に視線を向ける。

「せっかくだ。このレベルならシン、お前が1人で倒してみろ」
「はっ、はい!」

 僕はその提案に頷いた後、腰元から短剣を抜いてブラック・ファングと向かい合った。
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