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第2話 別の世界
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「……ここはいったい」
目を開けると、俺は森の中にいた。
それ以外には何も情報がない。
ひとまず、転移には成功したようだ。
軽く体を動かしながら、状況を整理する。
まずはこの世界のマナ事情からか。
意識を集中し、大気のマナを調べる。
ちなみにマナには大きく二種類が存在し、魔力と神聖力がある。
向こうの世界では大気中に魔力が9、神聖力が1といった割合で存在していた。
邪神も含めて、多くの生物は魔力しか扱うことができない。
神聖力を扱えるのは、勇者である俺を含めたごくわずかな存在のみ。
神聖力は邪悪なものを消滅させる力を有しており、戦闘に特化している。
対して魔力は、多種多様な効果を持つ魔法に利用できるので、日常生活を送る上ではこちらがある方が便利だ。
結果はすぐに出た。
「ふむ……こっちの世界には魔力しかないのか」
神聖力がないのは正直残念だ。
これでは自分の体内で生成される分でしか、神聖力を蓄えることはできない。
ただ、魔力がないよりは何倍もマシか。
そう考え、気を取り直すことにする。
「ん、待てよ。この感覚はまさか……」
そこで俺は、とある違和感を覚えた。
まさかとは思いながらも、体の中心からそれを引き出すように意識した。
すると――
「――マジか」
次の瞬間、俺の手には聖剣が握られていた。
一説によると、勇者と聖剣は一心同体の存在であるとされている。
勇者は聖剣を体内に収納することが可能であり、さらには遠くにあったとしても引き寄せることができるのだ。
まさか異世界の壁を乗り越えてまで、付いてきてくれるとは思ってもみなかった。
ガルフェン王たちは、今頃消えた聖剣の行方を追ってあたふたとでもしているのだろうか。
「まあ、そんなことはもうどうでもいいか。それよりも――」
感知の魔法を使ってみるものの、半径一キロ以内に人の気配はない。
少なくともこの森は、普段から人が生息しているというわけではなさそうだ。
もっとも、そもそもこの世界に人がいるのかどうかすら不明なんだけどな。
一度、人里に降りてみて情報を探ってみるか?
言語理解の魔法があるため話は通じるはずだが……
「いや、やめておくか」
俺のような異世界からやってきた人間がいると分かれば、この世界に混乱をもたらす恐れがある。
それは俺の望むことじゃない。
じゃあ何をするか。
う~んと悩んだのち、俺は一つの答えに至った。
「これまでは俺は、勇者としてずっと戦い続けてきた。一度でもいいから、ゆったりとした時間を過ごしてみたかったんだ。ここでならそれができる!」
ありがたいことに、この場所は自然に溢れている。
生活するための資源は事足りそうだ。
もう少し辺りを散策し、自分が暮らすのによさそうな場所を見つけることができたら、そこに家を造ったりするとしよう。
「そうと決まれば、さっそく行動だな!」
俺は新たな目標を抱くとともに、これから始まる新しい日々に想いをはせるのだった。
目を開けると、俺は森の中にいた。
それ以外には何も情報がない。
ひとまず、転移には成功したようだ。
軽く体を動かしながら、状況を整理する。
まずはこの世界のマナ事情からか。
意識を集中し、大気のマナを調べる。
ちなみにマナには大きく二種類が存在し、魔力と神聖力がある。
向こうの世界では大気中に魔力が9、神聖力が1といった割合で存在していた。
邪神も含めて、多くの生物は魔力しか扱うことができない。
神聖力を扱えるのは、勇者である俺を含めたごくわずかな存在のみ。
神聖力は邪悪なものを消滅させる力を有しており、戦闘に特化している。
対して魔力は、多種多様な効果を持つ魔法に利用できるので、日常生活を送る上ではこちらがある方が便利だ。
結果はすぐに出た。
「ふむ……こっちの世界には魔力しかないのか」
神聖力がないのは正直残念だ。
これでは自分の体内で生成される分でしか、神聖力を蓄えることはできない。
ただ、魔力がないよりは何倍もマシか。
そう考え、気を取り直すことにする。
「ん、待てよ。この感覚はまさか……」
そこで俺は、とある違和感を覚えた。
まさかとは思いながらも、体の中心からそれを引き出すように意識した。
すると――
「――マジか」
次の瞬間、俺の手には聖剣が握られていた。
一説によると、勇者と聖剣は一心同体の存在であるとされている。
勇者は聖剣を体内に収納することが可能であり、さらには遠くにあったとしても引き寄せることができるのだ。
まさか異世界の壁を乗り越えてまで、付いてきてくれるとは思ってもみなかった。
ガルフェン王たちは、今頃消えた聖剣の行方を追ってあたふたとでもしているのだろうか。
「まあ、そんなことはもうどうでもいいか。それよりも――」
感知の魔法を使ってみるものの、半径一キロ以内に人の気配はない。
少なくともこの森は、普段から人が生息しているというわけではなさそうだ。
もっとも、そもそもこの世界に人がいるのかどうかすら不明なんだけどな。
一度、人里に降りてみて情報を探ってみるか?
言語理解の魔法があるため話は通じるはずだが……
「いや、やめておくか」
俺のような異世界からやってきた人間がいると分かれば、この世界に混乱をもたらす恐れがある。
それは俺の望むことじゃない。
じゃあ何をするか。
う~んと悩んだのち、俺は一つの答えに至った。
「これまでは俺は、勇者としてずっと戦い続けてきた。一度でもいいから、ゆったりとした時間を過ごしてみたかったんだ。ここでならそれができる!」
ありがたいことに、この場所は自然に溢れている。
生活するための資源は事足りそうだ。
もう少し辺りを散策し、自分が暮らすのによさそうな場所を見つけることができたら、そこに家を造ったりするとしよう。
「そうと決まれば、さっそく行動だな!」
俺は新たな目標を抱くとともに、これから始まる新しい日々に想いをはせるのだった。
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