27 / 42
027 魔導の女帝
しおりを挟む
「ある英雄……?」
俺の問いに、シュナは小さく頷く。
「うん、そう。ゼロスは【魔導の女帝】――スカーレット様って知ってる?」
「…………」
想定していなかった名前が出て、俺は思わず動きを止める。
それを見てシュナは何か勘違いしたのか、どこか寂しそうに笑った。
「まあ、ゼロニティ様ほど有名じゃないからね。スカーレット様は1000年前の邪神討伐時、ゼロニティ様の右腕として活躍したって言われている魔導士なんだ」
「……そうか」
ぎこちなく相槌を返すも、俺の内心はそれどころではなかった。
スカーレット――通称【魔導の女帝】。
その存在を、俺は当然知っていた。
それもそのはず。なにせ俺が前世でゼロニティだった頃、彼女は最も頻繁にパーティーを組んだ仲間だったのだから。
(そうだった。ゼロニティだけじゃなく、当時の仲間たちもこの時代まで語り継がれてるんだよな……)
ここが『クレオン』世界の1000年後であることを改めて実感する。
それにしても、シュナの口から彼女の名前が出てきたのには少なからず驚いてしまった。
俺は平静さを取り繕いながら、シュナに尋ねる。
「そ、それで、シュナはどうしてスカーレット……様に憧れているんだ?」
アイツに様付けすることへは抵抗感があったものの、一応この時代では偉人であるため、それなりの対応を心がける。
するとシュナは嬉しそうに口を開いた。
「スカーレット様には色んな伝説が残されてるんだよ! たった一人で数百の兵士を圧倒したとか、強力な竜相手に単独で立ち向かい勝利を収めたとか。ただでさえ魔導士はソロで戦うのが難しいって言われているのに、本当にすごいなって。きっと気高い方で、誰かを守るために勇気を出して立ち向かったんだろうな……」
「…………」
キラキラと瞳を輝かせるシュナ。
対して俺は、『クレオン』におけるスカーレットとの会話を思い出していた。
『あー、ストレス解消したい! そうだ、あのPKギルドにちょっかい出してアタシの陣地に誘き寄せた後、最上級魔法で一掃しようっと! うん! これなら全員が幸せになれるから問題ないわね!』
『聞いてよゼロニティ! せっかく新しい魔法を開発したのに、そこらの魔物相手だとすぐに死んじゃって実験できないの! えっ? 「あの町のイベントクエストで登場するドラゴンはかなり頑丈だから試し撃ちにはちょうどいい。俺もよく剣技の実験台にしてる」って? ……最高じゃない! ちょっと行ってくるわ!』
『何で邪神討伐の最大貢献者がアタシじゃなくてアンタなのよ! 納得いかない納得いかない納得いかないー!』
……恐らくシュナの理想と現実には大きな隔たりがある。
その事実を知っているため、俺はかなりの気まずさを覚えていた。
まあ俺自身、アイツと似たようなことをしてたから強く言えないんだけどな。
懐かしい日々を思い出しつつ、現実逃避のように「ははは」と笑い声を零す。
そんな俺の前で、ふとシュナが「そうだ」と切り出した。
「ねえ、ゼロス。伝承によれば、スカーレット様が活躍されたそばにはいつもゼロニティ様がいたって話なんだけど……も、もしかして二人は恋仲だったりしたのかな?」
「ない」
「えっ?」
「それは絶対にないから安心してくれ」
スカーレットとの仲は決して悪くなかったが、そういう関係になるなど想像したくもない。
アイツはどちらかというと悪友だ。『クレオン』を思うがまま遊び尽くす同志という意味で。
「ど、どうしてかな。ゼロスがそんなこと知ってるはずないのに、すごく説得力を感じるよ……」
シュナは俺の発言を受け戸惑っている様子だった。
しまった、少し圧が強かったか。
俺は二秒ほど反省した。
その後、少しだけ場が落ち着くまで時間を要した後、シュナは続ける。
「どこまで話したっけ? そうだ、私がスカーレット様に憧れた理由だったね。小さい頃からスカーレット様の伝承はよく読んでいたから、同じ【魔導の紋章】が与えられたときはすごく嬉しかったんだ。まあその後はゼロスも知っての通り、なかなかパーティーに入れなくて……それだけじゃなく、他にも色々と方向転換するような事態があったりもしたんだけど――」
そこでシュナはこちらに顔を向け、真っ直ぐと見つめてくる。
「ゼロスのおかげで、今日はすごく楽しかったなって。ありがと、ゼロス」
「……どういたしまして。まあ、まだ一番大変なボス戦が残ってるんだけどな」
「そ、そうだったね。いきなり何言ってるんだろ、私」
恥ずかしそうに頬をかくシュナ。
ちょうどそのタイミングで俺たちのMPが全回復する。
俺は立ち上がると、シュナに向かって手を差し伸べた。
「それじゃ、そろそろ行くか」
「うん」
俺たちは最後の準備を整え、ボス部屋に向かった。
数分後、俺たちの前には巨大な入り口が存在していた。
扉はなく、開けっ放しになっている。
隠しダンジョンの場合、中に入場すること自体が困難なためか、ボスとの戦闘が始まってからも逃げ出せる仕様になっていることが多い。
ここ【冥府の霊廟】も同様だった。
俺は隣に視線を向け、緊張しながら杖を握りしめるシュナに言う。
「ボス戦だ、準備はいいか?」
「うん。事前の作戦通り頑張るね」
最後の確認を終え、俺たちはボス部屋に入場した。
この先に待ち受けるのは闇纏いの魔導霊。
討伐推奨レベル35で厄介なスキルを持つ強敵だが、今の俺たちなら問題なく倒せるはずだ。
俺の問いに、シュナは小さく頷く。
「うん、そう。ゼロスは【魔導の女帝】――スカーレット様って知ってる?」
「…………」
想定していなかった名前が出て、俺は思わず動きを止める。
それを見てシュナは何か勘違いしたのか、どこか寂しそうに笑った。
「まあ、ゼロニティ様ほど有名じゃないからね。スカーレット様は1000年前の邪神討伐時、ゼロニティ様の右腕として活躍したって言われている魔導士なんだ」
「……そうか」
ぎこちなく相槌を返すも、俺の内心はそれどころではなかった。
スカーレット――通称【魔導の女帝】。
その存在を、俺は当然知っていた。
それもそのはず。なにせ俺が前世でゼロニティだった頃、彼女は最も頻繁にパーティーを組んだ仲間だったのだから。
(そうだった。ゼロニティだけじゃなく、当時の仲間たちもこの時代まで語り継がれてるんだよな……)
ここが『クレオン』世界の1000年後であることを改めて実感する。
それにしても、シュナの口から彼女の名前が出てきたのには少なからず驚いてしまった。
俺は平静さを取り繕いながら、シュナに尋ねる。
「そ、それで、シュナはどうしてスカーレット……様に憧れているんだ?」
アイツに様付けすることへは抵抗感があったものの、一応この時代では偉人であるため、それなりの対応を心がける。
するとシュナは嬉しそうに口を開いた。
「スカーレット様には色んな伝説が残されてるんだよ! たった一人で数百の兵士を圧倒したとか、強力な竜相手に単独で立ち向かい勝利を収めたとか。ただでさえ魔導士はソロで戦うのが難しいって言われているのに、本当にすごいなって。きっと気高い方で、誰かを守るために勇気を出して立ち向かったんだろうな……」
「…………」
キラキラと瞳を輝かせるシュナ。
対して俺は、『クレオン』におけるスカーレットとの会話を思い出していた。
『あー、ストレス解消したい! そうだ、あのPKギルドにちょっかい出してアタシの陣地に誘き寄せた後、最上級魔法で一掃しようっと! うん! これなら全員が幸せになれるから問題ないわね!』
『聞いてよゼロニティ! せっかく新しい魔法を開発したのに、そこらの魔物相手だとすぐに死んじゃって実験できないの! えっ? 「あの町のイベントクエストで登場するドラゴンはかなり頑丈だから試し撃ちにはちょうどいい。俺もよく剣技の実験台にしてる」って? ……最高じゃない! ちょっと行ってくるわ!』
『何で邪神討伐の最大貢献者がアタシじゃなくてアンタなのよ! 納得いかない納得いかない納得いかないー!』
……恐らくシュナの理想と現実には大きな隔たりがある。
その事実を知っているため、俺はかなりの気まずさを覚えていた。
まあ俺自身、アイツと似たようなことをしてたから強く言えないんだけどな。
懐かしい日々を思い出しつつ、現実逃避のように「ははは」と笑い声を零す。
そんな俺の前で、ふとシュナが「そうだ」と切り出した。
「ねえ、ゼロス。伝承によれば、スカーレット様が活躍されたそばにはいつもゼロニティ様がいたって話なんだけど……も、もしかして二人は恋仲だったりしたのかな?」
「ない」
「えっ?」
「それは絶対にないから安心してくれ」
スカーレットとの仲は決して悪くなかったが、そういう関係になるなど想像したくもない。
アイツはどちらかというと悪友だ。『クレオン』を思うがまま遊び尽くす同志という意味で。
「ど、どうしてかな。ゼロスがそんなこと知ってるはずないのに、すごく説得力を感じるよ……」
シュナは俺の発言を受け戸惑っている様子だった。
しまった、少し圧が強かったか。
俺は二秒ほど反省した。
その後、少しだけ場が落ち着くまで時間を要した後、シュナは続ける。
「どこまで話したっけ? そうだ、私がスカーレット様に憧れた理由だったね。小さい頃からスカーレット様の伝承はよく読んでいたから、同じ【魔導の紋章】が与えられたときはすごく嬉しかったんだ。まあその後はゼロスも知っての通り、なかなかパーティーに入れなくて……それだけじゃなく、他にも色々と方向転換するような事態があったりもしたんだけど――」
そこでシュナはこちらに顔を向け、真っ直ぐと見つめてくる。
「ゼロスのおかげで、今日はすごく楽しかったなって。ありがと、ゼロス」
「……どういたしまして。まあ、まだ一番大変なボス戦が残ってるんだけどな」
「そ、そうだったね。いきなり何言ってるんだろ、私」
恥ずかしそうに頬をかくシュナ。
ちょうどそのタイミングで俺たちのMPが全回復する。
俺は立ち上がると、シュナに向かって手を差し伸べた。
「それじゃ、そろそろ行くか」
「うん」
俺たちは最後の準備を整え、ボス部屋に向かった。
数分後、俺たちの前には巨大な入り口が存在していた。
扉はなく、開けっ放しになっている。
隠しダンジョンの場合、中に入場すること自体が困難なためか、ボスとの戦闘が始まってからも逃げ出せる仕様になっていることが多い。
ここ【冥府の霊廟】も同様だった。
俺は隣に視線を向け、緊張しながら杖を握りしめるシュナに言う。
「ボス戦だ、準備はいいか?」
「うん。事前の作戦通り頑張るね」
最後の確認を終え、俺たちはボス部屋に入場した。
この先に待ち受けるのは闇纏いの魔導霊。
討伐推奨レベル35で厄介なスキルを持つ強敵だが、今の俺たちなら問題なく倒せるはずだ。
243
本作をお読みいただきありがとうございます!
お気に入り登録をした上で読み進めていただけると嬉しいです!
感想もドンドン募集中です!
お気に入り登録をした上で読み進めていただけると嬉しいです!
感想もドンドン募集中です!
お気に入りに追加
519
あなたにおすすめの小説
ゲーム中盤で死ぬ悪役貴族に転生したので、外れスキル【テイム】を駆使して最強を目指してみた
八又ナガト
ファンタジー
名作恋愛アクションRPG『剣と魔法のシンフォニア』
俺はある日突然、ゲームに登場する悪役貴族、レスト・アルビオンとして転生してしまう。
レストはゲーム中盤で主人公たちに倒され、最期は哀れな死に様を遂げることが決まっている悪役だった。
「まさかよりにもよって、死亡フラグしかない悪役キャラに転生するとは……だが、このまま何もできず殺されるのは御免だ!」
レストの持つスキル【テイム】に特別な力が秘められていることを知っていた俺は、その力を使えば死亡フラグを退けられるのではないかと考えた。
それから俺は前世の知識を総動員し、独自の鍛錬法で【テイム】の力を引き出していく。
「こうして着実に力をつけていけば、ゲームで決められた最期は迎えずに済むはず……いや、もしかしたら最強の座だって狙えるんじゃないか?」
狙いは成功し、俺は驚くべき程の速度で力を身に着けていく。
その結果、やがて俺はラスボスをも超える世界最強の力を獲得し、周囲にはなぜかゲームのメインヒロイン達まで集まってきてしまうのだった――
別サイトでも投稿しております。
異世界に召喚されたが「間違っちゃった」と身勝手な女神に追放されてしまったので、おまけで貰ったスキルで凡人の俺は頑張って生き残ります!
椿紅颯
ファンタジー
神乃勇人(こうのゆうと)はある日、女神ルミナによって異世界へと転移させられる。
しかしまさかのまさか、それは誤転移ということだった。
身勝手な女神により、たった一人だけ仲間外れにされた挙句の果てに粗雑に扱われ、ほぼ投げ捨てられるようなかたちで異世界の地へと下ろされてしまう。
そんな踏んだり蹴ったりな、凡人主人公がおりなす異世界ファンタジー!
王宮で汚職を告発したら逆に指名手配されて殺されかけたけど、たまたま出会ったメイドロボに転生者の技術力を借りて反撃します
有賀冬馬
ファンタジー
王国貴族ヘンリー・レンは大臣と宰相の汚職を告発したが、逆に濡れ衣を着せられてしまい、追われる身になってしまう。
妻は宰相側に寝返り、ヘンリーは女性不信になってしまう。
さらに差し向けられた追手によって左腕切断、毒、呪い状態という満身創痍で、命からがら雪山に逃げ込む。
そこで力尽き、倒れたヘンリーを助けたのは、奇妙なメイド型アンドロイドだった。
そのアンドロイドは、かつて大賢者と呼ばれた転生者の技術で作られたメイドロボだったのだ。
現代知識チートと魔法の融合技術で作られた義手を与えられたヘンリーが、独立勢力となって王国の悪を蹴散らしていく!
元おっさんの俺、公爵家嫡男に転生~普通にしてるだけなのに、次々と問題が降りかかってくる~
おとら@ 書籍発売中
ファンタジー
アルカディア王国の公爵家嫡男であるアレク(十六歳)はある日突然、前触れもなく前世の記憶を蘇らせる。
どうやら、それまでの自分はグータラ生活を送っていて、ろくでもない評判のようだ。
そんな中、アラフォー社畜だった前世の記憶が蘇り混乱しつつも、今の生活に慣れようとするが……。
その行動は以前とは違く見え、色々と勘違いをされる羽目に。
その結果、様々な女性に迫られることになる。
元婚約者にしてツンデレ王女、専属メイドのお調子者エルフ、決闘を仕掛けてくるクーデレ竜人姫、世話をすることなったドジっ子犬耳娘など……。
「ハーレムは嫌だァァァァ! どうしてこうなった!?」
今日も、そんな彼の悲鳴が響き渡る。
スライムすら倒せない底辺冒険者の俺、レベルアップしてハーレムを築く(予定)〜ユニークスキル[レベルアップ]を手に入れた俺は最弱魔法で無双する
カツラノエース
ファンタジー
ろくでもない人生を送っていた俺、海乃 哲也は、
23歳にして交通事故で死に、異世界転生をする。
急に異世界に飛ばされた俺、もちろん金は無い。何とか超初級クエストで金を集め武器を買ったが、俺に戦いの才能は無かったらしく、スライムすら倒せずに返り討ちにあってしまう。
完全に戦うということを諦めた俺は危険の無い薬草集めで、何とか金を稼ぎ、ひもじい思いをしながらも生き繋いでいた。
そんな日々を過ごしていると、突然ユニークスキル[レベルアップ]とやらを獲得する。
最初はこの胡散臭過ぎるユニークスキルを疑ったが、薬草集めでレベルが2に上がった俺は、好奇心に負け、ダメ元で再びスライムと戦う。
すると、前までは歯が立たなかったスライムをすんなり倒せてしまう。
どうやら本当にレベルアップしている模様。
「ちょっと待てよ?これなら最強になれるんじゃね?」
最弱魔法しか使う事の出来ない底辺冒険者である俺が、レベルアップで高みを目指す物語。
他サイトにも掲載しています。
クラス転移で無能判定されて追放されたけど、努力してSSランクのチートスキルに進化しました~【生命付与】スキルで異世界を自由に楽しみます~
いちまる
ファンタジー
ある日、クラスごと異世界に召喚されてしまった少年、天羽イオリ。
他のクラスメートが強力なスキルを発現させてゆく中、イオリだけが最低ランクのEランクスキル【生命付与】の持ち主だと鑑定される。
「無能は不要だ」と判断した他の生徒や、召喚した張本人である神官によって、イオリは追放され、川に突き落とされた。
しかしそこで、川底に沈んでいた謎の男の力でスキルを強化するチャンスを得た――。
1千年の努力とともに、イオリのスキルはSSランクへと進化!
自分を拾ってくれた田舎町のアイテムショップで、チートスキルをフル稼働!
「転移者が世界を良くする?」
「知らねえよ、俺は異世界を自由気ままに楽しむんだ!」
追放された少年の第2の人生が、始まる――!
※本作品は他サイト様でも掲載中です。
異世界ソロ暮らし 田舎の家ごと山奥に転生したので、自由気ままなスローライフ始めました。
長尾 隆生
ファンタジー
【書籍情報】書籍2巻発売中ですのでよろしくお願いします。
女神様の手違いにより現世の輪廻転生から外され異世界に転生させられた田中拓海。
お詫びに貰った生産型スキル『緑の手』と『野菜の種』で異世界スローライフを目指したが、お腹が空いて、なにげなく食べた『種』の力によって女神様も予想しなかった力を知らずに手に入れてしまう。
のんびりスローライフを目指していた拓海だったが、『その地には居るはずがない魔物』に襲われた少女を助けた事でその計画の歯車は狂っていく。
ドワーフ、エルフ、獣人、人間族……そして竜族。
拓海は立ちはだかるその壁を拳一つでぶち壊し、理想のスローライフを目指すのだった。
中二心溢れる剣と魔法の世界で、徒手空拳のみで戦う男の成り上がりファンタジー開幕。
旧題:チートの種~知らない間に異世界最強になってスローライフ~
【完結】勇者に折られた魔王のツノは、幼児の庇護者になりました
綾雅(要らない悪役令嬢1/7発売)
ファンタジー
旧タイトル:膨大な魔力と知識ありのチートだけど、転生先がツノはないよね?
異世界転生、胸躍らせる夢の展開のはず。しかし目の前で繰り広げられる勇者vs魔王の激戦に、僕は飽きていた。だって王の頭上で、魔力を供給するだけのツノが僕だ。魔王が強いからツノがあるのではなく、ツノである僕がいるから彼が最強だった。
ずっと動けない。声は誰にも聞こえない。膨大な魔力も知識チートも披露できぬまま、魔王の頭上で朽ちるのか。諦めかけていた。
勇者の聖剣が僕を折るまでは……!
動けなかったツノは、折れたことで新たな仲間と出会う。チート無双はできないが、ツノなりに幸せを掴めるのか!? いつか自力で動ける日を夢見て、僕は彼と手を組んだ。
※基本ほのぼの、時々残酷表現あり(予告なし)
【同時掲載】小説家になろう、アルファポリス、カクヨム、エブリスタ
2021/11/17 完結
ユーザ登録のメリット
- 毎日¥0対象作品が毎日1話無料!
- お気に入り登録で最新話を見逃さない!
- しおり機能で小説の続きが読みやすい!
1~3分で完了!
無料でユーザ登録する
すでにユーザの方はログイン
閉じる