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転機
☆ 9.夢の続き
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コホコホッ
寝室に立ち込める重苦しい空気を吹き飛ばすように、咳払いをし、タイミングを合わせ姿勢を変える。
たまたま寝返りをうった拍子で手が触れただけなら、これで問題ない。
シーツを小指で握り締め、両脇に力を入れ、セミのように背を丸める。
「じらしてるのか?」
「えっ?…んっ…!!」
突然、身体がグッと引き寄せられ、唇にもう一つの唇の熱が重なる。
熱く、ほのかに湿り気を帯びている。
「ん…んんっ!!」
ベッドに押さえつけられた状態で上半身だけを引き剥がすように乱暴に抱きしめられ、激しく唇を求められる。
獰猛で動物的なキス。
「こういうのを待ってたんだろ?」
さっきまでとは全く違う、鋭利な声。
息が苦しくなるほどのキス。
もうこれは夢でも妄想でもない、現実だ。
「違いますっ!そんなつもりは…」
骨が軋むような激しい抱擁を何とか押しのけ、言葉を返す。
さっきまでの穏やかな藤堂さんとはまるで別人のような刺々しい言葉遣い、仕草。
きっと中途半端な反応じゃ伝わらない。
僕はこんなこと望んではいない、それをはっきりと伝えないと。
「じゃあ、どんなつもりだったんだ?まさか、この前のことを覚えてないわけじゃないよな…今日来たら、泊っていったら、同じベッドで寝たらどうなるかなんて子供でも分かる」
会話の合間にも両手は僕のいたるところを刺激する。
うなじを、背中を、内ももを、へそを、胸を、そして僕のモノを…激しく握りしめ、僕がそれを振り払おうとすると優しく背中に指を這わせる。
「…覚えてないんです、その…あの日の事は…」
嘘だ。
僕は本当は知っていた。
「相変わらず嘘が下手だな」
見透かされている。
そう、心のどこかで…いや、もっとはっきりと僕は気づいていた、知っていた、あれは現実だったと。
だったらどうして?何でここに僕は来たんだ?
「…本当に違うんです。夢だって、僕の妄想だって…そう思ってたんです」
巧みに繰り返される愛撫に荒くなる呼吸を整えながら、言い訳を重ねる。
感じてることがバレちゃだめだ。まるでお酒に酔ったかのようにポーっと上気した頭を言い訳で懸命につなぎとめる。
ダメだ。
一度でも肯定してしまえば、もう流れあらがうことは出来ない。
嘘でもいい。
否定するんだ。拒絶するんだ。
「覚えてない、夢、妄想?都合のいい言葉だな。そうやっていつまでも自分から逃げ続けるのか?お前は何がしたい、何が欲しい?いい加減素直になれよ」
「そんな…僕はっ…」
押しのける腕に力が入らない。
どうして?
本気になれば、必死になればこの場所から逃げられるかもしれないのに。
「素直になれないなら、夢の続きでいいだろ?これも夢、そう思いたいならそうしろよ。ただ、この前自分だけイっておいて俺だけイケないってのはフェアじゃない。もうこんなになってるんだ、今日は最後まで付き合ってもらうぜ」
僕の体を押さえつけるように覆いかぶさる藤堂さんのモノは痛そうなほどに屹立している。
そう、夢。
僕が何を望んでいるのか、僕にも分からない。
それなら、夢の続きでいいかもしれない。
瞬間、僕の体から力が抜け、それと同時に僕を押さえつける藤堂さんに力も抜けていった。
寝室に立ち込める重苦しい空気を吹き飛ばすように、咳払いをし、タイミングを合わせ姿勢を変える。
たまたま寝返りをうった拍子で手が触れただけなら、これで問題ない。
シーツを小指で握り締め、両脇に力を入れ、セミのように背を丸める。
「じらしてるのか?」
「えっ?…んっ…!!」
突然、身体がグッと引き寄せられ、唇にもう一つの唇の熱が重なる。
熱く、ほのかに湿り気を帯びている。
「ん…んんっ!!」
ベッドに押さえつけられた状態で上半身だけを引き剥がすように乱暴に抱きしめられ、激しく唇を求められる。
獰猛で動物的なキス。
「こういうのを待ってたんだろ?」
さっきまでとは全く違う、鋭利な声。
息が苦しくなるほどのキス。
もうこれは夢でも妄想でもない、現実だ。
「違いますっ!そんなつもりは…」
骨が軋むような激しい抱擁を何とか押しのけ、言葉を返す。
さっきまでの穏やかな藤堂さんとはまるで別人のような刺々しい言葉遣い、仕草。
きっと中途半端な反応じゃ伝わらない。
僕はこんなこと望んではいない、それをはっきりと伝えないと。
「じゃあ、どんなつもりだったんだ?まさか、この前のことを覚えてないわけじゃないよな…今日来たら、泊っていったら、同じベッドで寝たらどうなるかなんて子供でも分かる」
会話の合間にも両手は僕のいたるところを刺激する。
うなじを、背中を、内ももを、へそを、胸を、そして僕のモノを…激しく握りしめ、僕がそれを振り払おうとすると優しく背中に指を這わせる。
「…覚えてないんです、その…あの日の事は…」
嘘だ。
僕は本当は知っていた。
「相変わらず嘘が下手だな」
見透かされている。
そう、心のどこかで…いや、もっとはっきりと僕は気づいていた、知っていた、あれは現実だったと。
だったらどうして?何でここに僕は来たんだ?
「…本当に違うんです。夢だって、僕の妄想だって…そう思ってたんです」
巧みに繰り返される愛撫に荒くなる呼吸を整えながら、言い訳を重ねる。
感じてることがバレちゃだめだ。まるでお酒に酔ったかのようにポーっと上気した頭を言い訳で懸命につなぎとめる。
ダメだ。
一度でも肯定してしまえば、もう流れあらがうことは出来ない。
嘘でもいい。
否定するんだ。拒絶するんだ。
「覚えてない、夢、妄想?都合のいい言葉だな。そうやっていつまでも自分から逃げ続けるのか?お前は何がしたい、何が欲しい?いい加減素直になれよ」
「そんな…僕はっ…」
押しのける腕に力が入らない。
どうして?
本気になれば、必死になればこの場所から逃げられるかもしれないのに。
「素直になれないなら、夢の続きでいいだろ?これも夢、そう思いたいならそうしろよ。ただ、この前自分だけイっておいて俺だけイケないってのはフェアじゃない。もうこんなになってるんだ、今日は最後まで付き合ってもらうぜ」
僕の体を押さえつけるように覆いかぶさる藤堂さんのモノは痛そうなほどに屹立している。
そう、夢。
僕が何を望んでいるのか、僕にも分からない。
それなら、夢の続きでいいかもしれない。
瞬間、僕の体から力が抜け、それと同時に僕を押さえつける藤堂さんに力も抜けていった。
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