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第一章 日記
日記(3)
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「本当に一緒に帰るつもりなの?」
昇降口を出てからも並んで歩く郁に、亜弥は更に呆れ顔で尋ねた。
「もちろん。だめ?」
郁はしゃあしゃあと訊き返す。
「だめって言うか……何で、教室に戻ったの? みんなとっくに帰ったと思ってたのに」
「簡単なこと。同じクラス委員として、相方がどういう人か知っておきたかっただけ」
郁は、冗談めかして言った。
「ああ、そういう事……」
亜弥は、一応信じる事にした。それ以上突っ込んで訊くのが面倒だったせいもあるが。
正門からバス停までの距離、同校の生徒の数は意外と多かった。ほとんどが部活動帰りのようで、半そでのシャツから伸びる手が健康的に日焼けしている生徒も多い。
のんびり歩く生徒達を追い越しながら、今度は郁が亜弥に質問した。
「意外だな。君って、もっと無口かと思ってた」
「どういう意味?」
「何を訊いても頷くか首を振る位しかしてくれないかと思ってた。青木先生も、大人しい子だって言ってたし、それに今朝だって……」
「いつもはそうよ。返事するのが面倒だから、そういう暗い人を演じてる。そうすれば、誰も近寄って来ないから楽なのよ」
分厚い書物が入って膨れた鞄を、まるで『ワレモノ注意』と書かれた荷物のように大事に抱えながら、淡々と答える。
「さっきは面倒じゃなかったの?」
「……あなたが急に現れて、ずうずうしい真似をするからよ。黙ってはいられなかっただけ」
それは嘘ではなかった。亜弥自身、こんなに口を開いて喋ったのは、この学校に入学してから初めての事かもしれない。こんな風に話し掛けて来る人もいなかったし、例え話しかけられてもうまく返事などできた試しがなかった。
それなのに、何故この少年とは普通に話ができているのだろう。亜弥は心の中で首を傾げた。
(彼が転入生で、まだわたしの事をよく知らない人だから、気を遣わないのかしら。それとも、元々人に気を遣わせない何かを持っているのかしら)
郁は、相変わらず不器用な亜弥の言い草に少し吹き出しながら、話題を変えた。
「二学期になってからずっと休んでたけど、身体の調子悪かったの?」
「まぁね……いわゆる登校拒否ってやつかもしれないわ」
亜弥は、躊躇なく答えた。無表情で、その表情からはどんな感情も読み取る事は難しそうに思えた。
「……あのクラスでは、君は浮いてるように見えたけど、何か関係あるの?」
「はっきり言うのね。……でもそうね。学校には気を許せる人もいないし、ここで特に学べるものはないし……。でも、そんな事は別に関係ないわ」
そう言って藍色の鞄を持つ手に力を込めたちょうどその時、大通りをバス停に向かう循環バスがふたりの目の前を通り過ぎた。
「それじゃ、わたしあのバスに乗るから」
そう言って亜弥は薄い紺色のプリーツスカートを翻し、郁とさよならしようと思ったが、彼は「あ、俺もあのバス」と言いながらしつこくついて来る。
結局郁は、亜弥よりも三つ手前のバス停で降りて行った。ひとりになると、亜弥は空いた席に腰を下ろし、固い濃紺の背もたれにどっと体重を預けた。
そうして、しばらく窓の外を流れる景色をぼんやりと眺めていたが、今日のように男の子と一緒に帰るのも話すのも、高校に入ってから一度もなかった事だったと気づいた。亜弥の覚えている限りでは。
郁の顔を想い出してみる。自信に満ちた瞳と、その瞳によく似あうセンターパートの黒髪。意志の強そうな眉と森の香り。そして、何故だろう。どこかで会ったような既視感──。
だが、郁はそんな素振りを全く見せなかった。普通に自己紹介していたし、やはり今日が初対面だったのだろう。既視感なんて、案外いい加減なものかもしれない。
(それにしても、結局わたしに何の用だったのかしら。……ま、ただの暇つぶしなんだろうけど……。転入したばっかりって言ってたっけ。まだわたしの事、あまり知らないんだろうな)
他の生徒は、自分の事を敬遠している。それは意識しなくても充分感じる事はできた。そんな自分に、何の躊躇もなく話しかけてきた彼。でも彼もまた、亜弥のよくない噂や評判を聴けば、自然と離れていくだろう。
(そういうものよ)
亜弥は、瞼を閉じてその奥に広がる闇に意識を移した。
その日の夜。亜弥は、オレンジ色のイルカの形をした抱き枕を抱き締め、ベッドに寝転がりながら天井を眺めていた。いや、と言うよりは、天井を通してその向こうにある何かを見つめていた。
(何故……)
時計は、午後十一時を過ぎていた。
(何故、あの時あんなものを)
その目が、まるで薄い膜でも張ったようにうつろになる。
亜弥はむくりと起き上がると、枕を抱いたまま学生鞄に手を突っ込み、一冊の分厚い本を取り出した。夕方、教室で見ていた本だ。
郁の言う通り、随分古い本……いや、ノートだ。パラパラとめくると、丁寧な文字でびっしりと文字が連なっている。時々筆跡の乱れたページもあるのは、書き手の感情をそのまま映しているようだった。
それは、傍から見たら無意味で解釈し難い文章かもしれなかった。
それは、『日記』だった。ひとりの青年の、ある女性への想いを綴った一冊の日記帳だったのだ。何度も何度も読み返した日記。読むほどに理解できない文章に、亜弥は頭を痛めた。それでもこの日記への関心は、日毎に増してくる。
(何故わたしは、こんなものを手に入れてしまったんだろう……)
亜弥は、この事でも頭を悩ませていた。そう、この日記は今年の四月、彼女が二年に進級した直後、突然手に入れたものだった。
二年B組に進級した直後の四月半ば。いつも通り教室の自分の席に座ると、机の中に見慣れないものが入っている事に気づいた。
(誰かが間違えて入れたの……? それとも、ただのいたずら?)
亜弥はその古ぼけたノートを手に取り、教室中を見回してみた。しかしその時教室にいた生徒の誰も、彼女の行動に気づく者はなく、全く無関心な様子で友人と喋っていた。
(昨日帰る時は何もなかった。ということは、わたしが帰った後か、今日来る前に誰かが……でも、いったいこれ何なの?)
何度確かめても、確かに自分の机だった。念のため、机の上に置いて他の生徒が何か言ってくるかもしれないと思い様子をみたが、クラス全員が教室に入っても、誰もそのノートについて亜弥に声を掛ける者はいなかった。
担任の青木に「落し物です」と言って届けようかとも考えた。しかしその日の授業が終わり、放課後になって、何気なくその分厚いノートを開いてみた。何か持ち主の手がかりがあるかもしれないと考えたからだ。
(…………!)
そのノートに書かれていたのは、全てのページに亘ってしたためられている恋文だった。
(これは……これは、日記?)
亜弥はその日記に書かれている文章に、釘付けになった。
(〝君〟と〝彼〟との恋。〝彼〟の、〝君〟への想いを連ねた内容の……いったいこれは?)
亜弥は急に不安に襲われ、改めて教室を見渡してみた。しかし、相変わらず誰も亜弥の方は見ていない。その日の授業が終わり、段々とクラスメートの数が少なくなってくる。生徒の数が半分になり更に半分になり……やがて亜弥ひとりになっても、結局誰も亜弥に声を掛ける者はいなかった。
(不思議だわ。いったいこの日記はどこから湧いて来たんだろう。大体何でわたしの机の中に……?)
そう幾度も考えた。どう考えても、クラスの誰かが自分に好意を抱いていて、その想いを綴った日記を忍ばせたとは考えにくかった。亜弥自身、学校での自分の〝位置〟は知っていたし、誰もが距離を取っている存在である事も知っていた。だから、こんな風に自分の事を想っている人間が学校にいるとは到底思えないのだった。
昇降口を出てからも並んで歩く郁に、亜弥は更に呆れ顔で尋ねた。
「もちろん。だめ?」
郁はしゃあしゃあと訊き返す。
「だめって言うか……何で、教室に戻ったの? みんなとっくに帰ったと思ってたのに」
「簡単なこと。同じクラス委員として、相方がどういう人か知っておきたかっただけ」
郁は、冗談めかして言った。
「ああ、そういう事……」
亜弥は、一応信じる事にした。それ以上突っ込んで訊くのが面倒だったせいもあるが。
正門からバス停までの距離、同校の生徒の数は意外と多かった。ほとんどが部活動帰りのようで、半そでのシャツから伸びる手が健康的に日焼けしている生徒も多い。
のんびり歩く生徒達を追い越しながら、今度は郁が亜弥に質問した。
「意外だな。君って、もっと無口かと思ってた」
「どういう意味?」
「何を訊いても頷くか首を振る位しかしてくれないかと思ってた。青木先生も、大人しい子だって言ってたし、それに今朝だって……」
「いつもはそうよ。返事するのが面倒だから、そういう暗い人を演じてる。そうすれば、誰も近寄って来ないから楽なのよ」
分厚い書物が入って膨れた鞄を、まるで『ワレモノ注意』と書かれた荷物のように大事に抱えながら、淡々と答える。
「さっきは面倒じゃなかったの?」
「……あなたが急に現れて、ずうずうしい真似をするからよ。黙ってはいられなかっただけ」
それは嘘ではなかった。亜弥自身、こんなに口を開いて喋ったのは、この学校に入学してから初めての事かもしれない。こんな風に話し掛けて来る人もいなかったし、例え話しかけられてもうまく返事などできた試しがなかった。
それなのに、何故この少年とは普通に話ができているのだろう。亜弥は心の中で首を傾げた。
(彼が転入生で、まだわたしの事をよく知らない人だから、気を遣わないのかしら。それとも、元々人に気を遣わせない何かを持っているのかしら)
郁は、相変わらず不器用な亜弥の言い草に少し吹き出しながら、話題を変えた。
「二学期になってからずっと休んでたけど、身体の調子悪かったの?」
「まぁね……いわゆる登校拒否ってやつかもしれないわ」
亜弥は、躊躇なく答えた。無表情で、その表情からはどんな感情も読み取る事は難しそうに思えた。
「……あのクラスでは、君は浮いてるように見えたけど、何か関係あるの?」
「はっきり言うのね。……でもそうね。学校には気を許せる人もいないし、ここで特に学べるものはないし……。でも、そんな事は別に関係ないわ」
そう言って藍色の鞄を持つ手に力を込めたちょうどその時、大通りをバス停に向かう循環バスがふたりの目の前を通り過ぎた。
「それじゃ、わたしあのバスに乗るから」
そう言って亜弥は薄い紺色のプリーツスカートを翻し、郁とさよならしようと思ったが、彼は「あ、俺もあのバス」と言いながらしつこくついて来る。
結局郁は、亜弥よりも三つ手前のバス停で降りて行った。ひとりになると、亜弥は空いた席に腰を下ろし、固い濃紺の背もたれにどっと体重を預けた。
そうして、しばらく窓の外を流れる景色をぼんやりと眺めていたが、今日のように男の子と一緒に帰るのも話すのも、高校に入ってから一度もなかった事だったと気づいた。亜弥の覚えている限りでは。
郁の顔を想い出してみる。自信に満ちた瞳と、その瞳によく似あうセンターパートの黒髪。意志の強そうな眉と森の香り。そして、何故だろう。どこかで会ったような既視感──。
だが、郁はそんな素振りを全く見せなかった。普通に自己紹介していたし、やはり今日が初対面だったのだろう。既視感なんて、案外いい加減なものかもしれない。
(それにしても、結局わたしに何の用だったのかしら。……ま、ただの暇つぶしなんだろうけど……。転入したばっかりって言ってたっけ。まだわたしの事、あまり知らないんだろうな)
他の生徒は、自分の事を敬遠している。それは意識しなくても充分感じる事はできた。そんな自分に、何の躊躇もなく話しかけてきた彼。でも彼もまた、亜弥のよくない噂や評判を聴けば、自然と離れていくだろう。
(そういうものよ)
亜弥は、瞼を閉じてその奥に広がる闇に意識を移した。
その日の夜。亜弥は、オレンジ色のイルカの形をした抱き枕を抱き締め、ベッドに寝転がりながら天井を眺めていた。いや、と言うよりは、天井を通してその向こうにある何かを見つめていた。
(何故……)
時計は、午後十一時を過ぎていた。
(何故、あの時あんなものを)
その目が、まるで薄い膜でも張ったようにうつろになる。
亜弥はむくりと起き上がると、枕を抱いたまま学生鞄に手を突っ込み、一冊の分厚い本を取り出した。夕方、教室で見ていた本だ。
郁の言う通り、随分古い本……いや、ノートだ。パラパラとめくると、丁寧な文字でびっしりと文字が連なっている。時々筆跡の乱れたページもあるのは、書き手の感情をそのまま映しているようだった。
それは、傍から見たら無意味で解釈し難い文章かもしれなかった。
それは、『日記』だった。ひとりの青年の、ある女性への想いを綴った一冊の日記帳だったのだ。何度も何度も読み返した日記。読むほどに理解できない文章に、亜弥は頭を痛めた。それでもこの日記への関心は、日毎に増してくる。
(何故わたしは、こんなものを手に入れてしまったんだろう……)
亜弥は、この事でも頭を悩ませていた。そう、この日記は今年の四月、彼女が二年に進級した直後、突然手に入れたものだった。
二年B組に進級した直後の四月半ば。いつも通り教室の自分の席に座ると、机の中に見慣れないものが入っている事に気づいた。
(誰かが間違えて入れたの……? それとも、ただのいたずら?)
亜弥はその古ぼけたノートを手に取り、教室中を見回してみた。しかしその時教室にいた生徒の誰も、彼女の行動に気づく者はなく、全く無関心な様子で友人と喋っていた。
(昨日帰る時は何もなかった。ということは、わたしが帰った後か、今日来る前に誰かが……でも、いったいこれ何なの?)
何度確かめても、確かに自分の机だった。念のため、机の上に置いて他の生徒が何か言ってくるかもしれないと思い様子をみたが、クラス全員が教室に入っても、誰もそのノートについて亜弥に声を掛ける者はいなかった。
担任の青木に「落し物です」と言って届けようかとも考えた。しかしその日の授業が終わり、放課後になって、何気なくその分厚いノートを開いてみた。何か持ち主の手がかりがあるかもしれないと考えたからだ。
(…………!)
そのノートに書かれていたのは、全てのページに亘ってしたためられている恋文だった。
(これは……これは、日記?)
亜弥はその日記に書かれている文章に、釘付けになった。
(〝君〟と〝彼〟との恋。〝彼〟の、〝君〟への想いを連ねた内容の……いったいこれは?)
亜弥は急に不安に襲われ、改めて教室を見渡してみた。しかし、相変わらず誰も亜弥の方は見ていない。その日の授業が終わり、段々とクラスメートの数が少なくなってくる。生徒の数が半分になり更に半分になり……やがて亜弥ひとりになっても、結局誰も亜弥に声を掛ける者はいなかった。
(不思議だわ。いったいこの日記はどこから湧いて来たんだろう。大体何でわたしの机の中に……?)
そう幾度も考えた。どう考えても、クラスの誰かが自分に好意を抱いていて、その想いを綴った日記を忍ばせたとは考えにくかった。亜弥自身、学校での自分の〝位置〟は知っていたし、誰もが距離を取っている存在である事も知っていた。だから、こんな風に自分の事を想っている人間が学校にいるとは到底思えないのだった。
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