翡翠の記憶 ~みどりのきおく~

uta

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プロローグ

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 あの日と同じように、森はざわめいていた。
 哀しい未来を予兆するように、優しい木々は泣いていた。



 聴こえるかい
 僕だよ

 僕はここにいる
 ここにいるんだ
 君のすぐそば

 約束しただろ?
 あの森の中で

 僕たち、誓い合っただろう?



 どこにいるの?
 あなたはどこにいるの?

 わたし、あなたに会いたいの
 とてもとても会いたいのよ

 だからもう一度わたしを呼んで
 わたしの名前を

 今すぐに──



 亜弥あやは走っていた。
 失われた記憶を取り戻すべく、ただひたすらに、懐かしい声の導くままに。


 ……あの日と同じように、森はざわめいていた。
 哀しい未来を予兆するように、優しい木々は泣いていた……。
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