空に贈った100の物語 <詩集>

uta

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ふたりだけの儀式

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今儀式が始まる

息もできない灼熱のヒカリの中で生まれた銀の粉

ぼくの両手の中で輝いている

その神々しさにぼくは思わず目を細める

両手の中の銀の粉

ぼくはひとつの音楽を織り込んだ

それはまるで呪文のように

永遠に終わらぬ祈りのように

感触も重さもない銀の粉は

ぼくの手から流れ落ちていく

きみの命を解放するように

流れ落ちたきみの命は風に乗り

鮮やかな銀色の弧を描き

ぼくの祈りを乗せて

地上から舞い上がる

ぼくの目を手のひらを夕陽を

一瞬の内にまばゆい銀色に染めつける

やがて銀色の粉から流れ出る音楽

ぼくの耳に流れる音楽

それはまさにぼくが織り込んだ

きみに捧げた愛の言葉

ぼくが愛して止まないひとつの物語


風に舞い上がった銀の言葉たちは

やがて海に散っていく

海を銀色に染めるために

ぼくの世界を永遠にきみの命で染めるために

きみが生まれた海の中

まるできみの最後の歌のようで

ぼくはいつまでも動けなかった




あれはきっと夢だった

誰もが決してみない夢だった

ふたりだけの祈りの儀式だった

今儀式が終わる―――
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