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オマケが続く
ただいま
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「ほんと、人が多い場所だった。」
少し草臥れた様子のクリスが、御者に愚痴る。
「そんなにかい、奥方達の買い物にでも巻き込まれたか?」
商会が多く、商戦も多かった。あそこで勝てるのは猛者だけだ。クリスにはレベルがったりない。
おばさんという職業は、怖かった。近づかないに限る。
何回か遠目で、その人だかりと戦いを目にしていた。さすが街だと思ったものだ。
「いや、冒険者ギルドの前がね」
「ああ、あそこは冒険者が集まるし喧嘩も常だわな」
怒声も喧嘩も、あの場所では日常か。商人の方とは違った勢いだった。
「若いのばっかだし」
「上の方の人は、サッと道が開くんだよ。」
「なるほど、対応が違うのか。」
クリスも依頼人だと見られて遠巻きで済んだのだが、それでも妙な圧は感じていた。
『この人は獲物か?』『絶対、うちらが取る!』
『いや、依頼人に失礼したら怒られる。』
他のクランと争うな(口喧嘩くらいなら許す)
新人冒険者の顔を覚えろ(要らん奴を2度誘うな)
依頼人に迷惑かけたら締める!
冒険者とて、依頼人あってこそだとそれぞれのクランで言い聞かせている。
それでも、勧誘の集まりは冒険者ギルド前の風景と化していた。
「街に比べて、こっちの町は田舎だよ」
「いやー町の方がのんびりできて良いさ」
街の喧騒も刺激的だったが、それでも老夫婦の家が恋しい気持ちになった。
こればかりは、馴染めるかどうかなんだろうな。
小さな魔物が顔をだしたが、さっさと方向転換して消えていった。
それが3度ほどあったが、馬車は問題なく進む。
「今回の荷物に、コーヒーが多いんだが売れるのかねー?」
「私も買うし、宣伝するよ」
「ほほっそりゃー良い宣伝になるな!」
紅茶を飲む人が多い中、コーヒーは冒険者の眠気覚まし扱いだ。
単純に不味い。カフェインという名で売っているものと混同される。
「コーヒーの飲める場所が増えると嬉しいんだけどね」
「ははそりゃ、クリスさんの宣伝効果次第なんじゃないかい?」
ハマる人はハマると思うんだが、見た目と苦味が嫌いという人も多い。
(精霊のが好むモノが多いかもな。カザンに渡して広めてみるか。)
そんな今後を考えながら、のんびり馬車に揺られる。
騒動も、危機もないこの日々に鮮烈な刺激は求めない。
ただ、食べて寝て、何かを探して訪ねて歩くのを楽しんでいる。
何に誘われても、今を楽しめる時間がとても気に入っていると微笑みが浮かんでいた。
クリスが機嫌が良いと見ると、3人も喜び周りを飛んでいた。
少し草臥れた様子のクリスが、御者に愚痴る。
「そんなにかい、奥方達の買い物にでも巻き込まれたか?」
商会が多く、商戦も多かった。あそこで勝てるのは猛者だけだ。クリスにはレベルがったりない。
おばさんという職業は、怖かった。近づかないに限る。
何回か遠目で、その人だかりと戦いを目にしていた。さすが街だと思ったものだ。
「いや、冒険者ギルドの前がね」
「ああ、あそこは冒険者が集まるし喧嘩も常だわな」
怒声も喧嘩も、あの場所では日常か。商人の方とは違った勢いだった。
「若いのばっかだし」
「上の方の人は、サッと道が開くんだよ。」
「なるほど、対応が違うのか。」
クリスも依頼人だと見られて遠巻きで済んだのだが、それでも妙な圧は感じていた。
『この人は獲物か?』『絶対、うちらが取る!』
『いや、依頼人に失礼したら怒られる。』
他のクランと争うな(口喧嘩くらいなら許す)
新人冒険者の顔を覚えろ(要らん奴を2度誘うな)
依頼人に迷惑かけたら締める!
冒険者とて、依頼人あってこそだとそれぞれのクランで言い聞かせている。
それでも、勧誘の集まりは冒険者ギルド前の風景と化していた。
「街に比べて、こっちの町は田舎だよ」
「いやー町の方がのんびりできて良いさ」
街の喧騒も刺激的だったが、それでも老夫婦の家が恋しい気持ちになった。
こればかりは、馴染めるかどうかなんだろうな。
小さな魔物が顔をだしたが、さっさと方向転換して消えていった。
それが3度ほどあったが、馬車は問題なく進む。
「今回の荷物に、コーヒーが多いんだが売れるのかねー?」
「私も買うし、宣伝するよ」
「ほほっそりゃー良い宣伝になるな!」
紅茶を飲む人が多い中、コーヒーは冒険者の眠気覚まし扱いだ。
単純に不味い。カフェインという名で売っているものと混同される。
「コーヒーの飲める場所が増えると嬉しいんだけどね」
「ははそりゃ、クリスさんの宣伝効果次第なんじゃないかい?」
ハマる人はハマると思うんだが、見た目と苦味が嫌いという人も多い。
(精霊のが好むモノが多いかもな。カザンに渡して広めてみるか。)
そんな今後を考えながら、のんびり馬車に揺られる。
騒動も、危機もないこの日々に鮮烈な刺激は求めない。
ただ、食べて寝て、何かを探して訪ねて歩くのを楽しんでいる。
何に誘われても、今を楽しめる時間がとても気に入っていると微笑みが浮かんでいた。
クリスが機嫌が良いと見ると、3人も喜び周りを飛んでいた。
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