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街
夜の街
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夕暮れが迫っていた。随分あの店でゆっくりしていたなと思う。店のモノ意外だれとも会わず、気配も分かりづらい所。あの雰囲気にフウもリンも警戒はなかったが。
「最後に焦らせてくれたな。」
少し姿を表して、歓迎してくれたのだろうが驚いた。
「この歳になってもまだ、驚くことも知らないこともあるものだなあ。」
帰り道を急ぐ馬車を邪魔しないように、歩く。
自然にクリスの横へカザンがフッと現れる。そのいつもと違う様子に声をかけた。
「不機嫌か?」
「少々、ヒトが鬱陶しかったもので。」
冒険者達に声をかけられてまくったのだろう。上手く撒いたようで尾けてくる者はいない。
いたらフウに遊んでもらおう。
リンは眠そうな雰囲気を感じる。昼寝してまだ眠いのか。
「夜なら声掛けも少なくなるらしいぞ」
ダリオスから聞いた話を披露して、呑みに行く店を決めにかかる。そこでも冒険者はいるかもしれないが、囲まれることはないだろう。
『そういう席で、勧誘は無粋。』とまあ、決まり事のようになっているらしい。
クランの名を下げる行為になるようだ。
そうやって回っている街か。
カザンの案内で、酒を出す店が連なるところに来た。早上がりの仕事が終わったらしい男達がもう飲んでいる。
女達は、洒落た店で食事と酒を楽しんでいるようだ。目が合い、手を振られたので、振り返して立ち去った。
後から賑やかな声がする。元気なことだ。
カザンが進むのは、もっと奥のゴチャッとした屋台のような店が集まった場所。
夜の間だけ酒の店になるところも多いらしい。
「これは店をどうするか迷いそうだな。」
入れなければ次と、流れて行くのも面白そうだ。
フウは苦い味が嫌いなようだが、濃い味の香りが好きだ。
リンは酒も飲めるが、少女の姿の時は止めてもらっている。
人の世界のルールということで部屋では大丈夫としているが。
少女に酒を飲ます男、犯罪めいてるな。
相手は妖精なのだ。精霊に近く酒も飲む、好きなモノが多い。供物としても定番だ。
気になる立ち食いの店に入る。
串に刺さった肉や他の野菜は、スープに浸って味を吸っている。
香りにそそられ、何本か頼み、酒杯を重ねて今日の街で過ごした話をした。
あれだけ甘味を食べたら次は、肉が食いたくなった。
どういう理屈でそうなのかわからないが、酒も串肉も美味い。
「次は、濃いスープの店に行きましょう」
表情は変わらないが、明らかにカザンが浮足立っている。早々に食べて呑み、次の店へ進んだ。
まだ、夜は始まったばかりだった。
「最後に焦らせてくれたな。」
少し姿を表して、歓迎してくれたのだろうが驚いた。
「この歳になってもまだ、驚くことも知らないこともあるものだなあ。」
帰り道を急ぐ馬車を邪魔しないように、歩く。
自然にクリスの横へカザンがフッと現れる。そのいつもと違う様子に声をかけた。
「不機嫌か?」
「少々、ヒトが鬱陶しかったもので。」
冒険者達に声をかけられてまくったのだろう。上手く撒いたようで尾けてくる者はいない。
いたらフウに遊んでもらおう。
リンは眠そうな雰囲気を感じる。昼寝してまだ眠いのか。
「夜なら声掛けも少なくなるらしいぞ」
ダリオスから聞いた話を披露して、呑みに行く店を決めにかかる。そこでも冒険者はいるかもしれないが、囲まれることはないだろう。
『そういう席で、勧誘は無粋。』とまあ、決まり事のようになっているらしい。
クランの名を下げる行為になるようだ。
そうやって回っている街か。
カザンの案内で、酒を出す店が連なるところに来た。早上がりの仕事が終わったらしい男達がもう飲んでいる。
女達は、洒落た店で食事と酒を楽しんでいるようだ。目が合い、手を振られたので、振り返して立ち去った。
後から賑やかな声がする。元気なことだ。
カザンが進むのは、もっと奥のゴチャッとした屋台のような店が集まった場所。
夜の間だけ酒の店になるところも多いらしい。
「これは店をどうするか迷いそうだな。」
入れなければ次と、流れて行くのも面白そうだ。
フウは苦い味が嫌いなようだが、濃い味の香りが好きだ。
リンは酒も飲めるが、少女の姿の時は止めてもらっている。
人の世界のルールということで部屋では大丈夫としているが。
少女に酒を飲ます男、犯罪めいてるな。
相手は妖精なのだ。精霊に近く酒も飲む、好きなモノが多い。供物としても定番だ。
気になる立ち食いの店に入る。
串に刺さった肉や他の野菜は、スープに浸って味を吸っている。
香りにそそられ、何本か頼み、酒杯を重ねて今日の街で過ごした話をした。
あれだけ甘味を食べたら次は、肉が食いたくなった。
どういう理屈でそうなのかわからないが、酒も串肉も美味い。
「次は、濃いスープの店に行きましょう」
表情は変わらないが、明らかにカザンが浮足立っている。早々に食べて呑み、次の店へ進んだ。
まだ、夜は始まったばかりだった。
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