【長編・完結】この冒険者、何者?〜騎士さまと噂の冒険者は全てを見通す目と耳をお持ちです〜

BBやっこ

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夕食後

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本の店を堪能していたら、すっかり辺りが暗くなっていた。

早足で、寮に戻る事にしフウが喜んで先導してくれた。かなり速かった。
そのおかげで、遅めの夕食組みに入れた。

「おお、街の探索は楽しかったかい?」

食事より酒に移行した面々と挨拶して、本の話をする。

「おお。あそこにたどり着けたか。」
「かなり迷うのにな。」


『辿り着けない本の店』らしい。隠れたような場所である上に、何故か迷う。

たぶん、妖精に遊ばれているんだろうな。来てほしくない客を弾いているのかもしれない。

「行けない奴は、ほんと辿り着けないんだよなー。なんかコツはあるかい?」

「甘い物でも持ていれば、気紛れに行けるかもしれないですね。」

不思議な事があると、妖精が悪戯していると思われる。妖精相手には、好きな物で機嫌をとるのが通説だ。
会話ができれば交渉も可能かもしれないが、大抵言葉を交わしても難しい。

とんでも理論だったり、気紛れだ。

「妖精のご機嫌取りで行けるかー?もう、運も大事になってくるのかもなあ。」

気に入られるとは限らないのが、難しい。説得は、物で。日頃の付き合いも大事だ。

町では、習慣的に食べ物を供したり感謝の祭りがあるが。こういった街では難しいのかもな。
色んな物が人を介して移動しているが、それらの結びつきは弱々しい。

商人なら、不思議な状況にも関わった事があるのだろう。
酒が少し減ったくらいなら問題はないが、森で迷うなんて命の危機だ。

魔物がいる上に、荷の状態も悪くなるかもしれない。

そういった時は妖精避けや、呪いに頼る。
まじないもそれを専門とした者が作ったには、効き目が良いんだとか。

使い過ぎると嫌われるがな。

例えるなら、ずっと臭いと感じる物を持っている人に好感が持てるか?

私なら無理だな。
商人は、色々な物に触ったり受け渡す。好奇心の強い妖精は周りを飛んで楽しそうにするが。

商品によっては、嫌煙される。巡り合わせによるのであれば確かに、運は大事なのだろう。


商人達の扱う品の話を聞きながら夕食を終え、少し酒を相伴してほどほどに部屋に帰った。
買った本を手に取り、パラパラと読む。


この本も巡って私の手許に来た。読み終えたら、どこかに売るか誰かにあげてしまうのだろう。

強い結びつきがなければ、すれ違うだけの関係に思い入れなどない。

「気紛れの運に頼るしかないな。」

「そもそも、そういった存在ですから」

カザンが帰って来た。

「街の発展も良し悪しだな、繋がりが減り慌ただしく旅立って行く。」

少し、老夫婦の貸してくれた部屋が懐かしく思った。
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