【長編・完結】この冒険者、何者?〜騎士さまと噂の冒険者は全てを見通す目と耳をお持ちです〜

BBやっこ

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寮の部屋

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案内されて来たのは、住居地域。
その一角を寮にしている一室を、宿として借りる。今日からの寝床だ。

「護衛の人や、他の支店の人も泊まりに来るです」

部屋の出入りもなかなかにあり、1回部分は集会や倉庫代わりにしてある。
「食事はここで、皆が食べるわけじゃないので座れるんですよ」

椅子と机、向こう側には調理場。
下拵えをしていたふくよかな女性に挨拶した。ここの管理人だそうだ。

「宿ほど立派じゃないが、温かい食事、3回出せるよ。」

夕食を頼み、部屋へ。
持ち物は少ないため荷解きはない。

フウが、嬉しそうに踊るので商店で買ったものでおやつにする。

「お待たせ、今開けるよ」

出したのは、チョコのケーキ。大人向けに苦めのチョコと酒漬けのチェリー。
コーヒー派の店員オススメの『コーヒーに合う甘い物』店のイチ押しだそうだ。

確かに、話している間にもカットした方が売れていた。クリスが買ったのは小さなホールサイズだ。

「リン、食べてみるか?」

普段食べず、香おりを楽しむリンが興味お示している。
チョコは木の実の汁を加工して作るらしい。植物の妖精としてはチェックしておきたいか。
酒も飲めるが、少女の姿ではやめておいてくれとお願いしてある。

「フウはジャムを乗っけるか?」

リンより幼い感じのフウは甘いものが好きだ。キラキラした物も好きで砂糖菓子をよく食べている。
後片付けもできてえらいぞ。

友達か?姿を見せない風の妖精もたまに悪戯しているが、甘い物や揺れるもの好き。
リンより幼い動きのフウだが、この3人の中で一番格が上らしい。


「カザンありがとうな」

コーヒーを淹れてくれた若い男の姿、年齢で言ったら成人を少し過ぎた頃か。
老齢の男の姿もとれるが属性が変わった事から、新参者の扱いなんだとか。

そこら辺は、感覚的に判断するらしい。私にはわからない時があるな。

2人を落ち着かせてくれ、頼りになる男だ。今回はケーキに参加する。
大きさは、フウ、リン、クリス、カザンの順になった。

熱々のコーヒーをカザンが飲み、遅れてクリスが味わう。
香りを楽しんでいたリンに断って、ケーキの甘みをさらっていく苦味が深く旨い。

3人とも、人の姿で出歩くことも多いため服装は街でも馴染む物
カザンは執事服と冒険者に見える格好を使い分けている。

冒険者としては、服の汚れがほとんどなく怪しい感じもするが。
魔法使いと思われ、そんな不審点も気にならないんだな。


しばし、ケーキとコーヒーを堪能してひと心地ついた。

「さあこれからどうしようかな。」


街の探索にどこから始めようか考えた。
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