【完結済み】全部、兄です。不貞を疑われたけど…。

BBやっこ

文字の大きさ
上 下
4 / 7

兄です

しおりを挟む
「文通の相手。この知らない名前のものが何通も!」
「私は学校で、留学生の相手もしています。」

細々こまごまと揚げ釣られるほとんどが、兄絡み。

「知らない相手と!送り先もひとつではない。秘密の関係では?
もしや、我が国の情報を流しているのやも!」

悪い方にばかりとって、私を悪女にしたいらしい。
ばら撒かれた手紙を王子様の侍従の方に拾ってもらい、確認した。あ~これは…


「5番目の兄からです。」

((だよねー。))というセリフが会場の空気に霧散した。


「そんな男、婚約者の僕が会ったこともない!」
「5番目の兄は放浪の旅に出ています。私も記憶にうっすらとしかありません。」

交流が少ないけど、仲は良好だ。忘れた頃に手紙や絵葉書で無事を知らせてくる。
しばらく会っていなくても、れっきとした兄。


(ネタ切れかしら?)
相手方は慌てふためいてバタバタだし、そろそろパーティに参加の皆様を待たせるのは心苦しい。
パーティが始まった直後で、進んでいないもの。


そんな中、声が通った。
「もう良いですか?」と扉が開けられて入ってきたのは…


「お兄様!」
((何番目の?))とその場の皆が思った。


私の理想の男性、2番目のお兄様。パーティの滞った連絡で呼び出されたのかしら?王城勤務の文官の格好だった。

お兄様とは、兄妹だとわかるくらいには似ている顔立ちで、怜悧な冷たい印象を与える。キリッとした目に見据えられれば、スッと背筋が伸びる。

その印象とは正反対で、一番話を聴いてくれるお兄様なのだ。
このどさくさに、離れていた6番目の兄が私の横に来た。今日のエスコート役で一緒に来たのだけど。
食べ物に釣られて側にいなかったのは知っていますよ?

ニコっと笑う6番目の兄の流れ弾が御令嬢方に。罪作りな兄です。要領の良さと、この笑顔で許せちゃうんですけど。おっとお兄様がお話しされますよ!


「我が家をそんなに馬鹿にしたいのか?そして、外交の問題にまで発展させたいと?」

“氷の文官様”と言われているお兄様の声と視線は絶対零度ですね。
家族内ではそれほど効果はないんですけど、ニコニコと溶かす人が多いですからね。

外だとすごい威力を発揮するんですねえ。


お兄様に手紙を渡して報告する。「ほとんどが、5番目の兄からです。」手紙の差出人の名前のところは、それぞれのお国風に変えられていた。パターンがあり、兄の遊び心だった。

2番のお兄様と6番目の兄が、「ああ、いたな」みたいな表情で手紙を見る。存在を忘れやすい兄なのだ。

それより、この手紙たちを何の権限で勝手に、無断で!奪って行ったんでしょうか?普通に犯罪ですわ。
もし手紙の内容が助けを求めるものだったら?手遅れに…。いえ、問題があれば私ではなくお兄様かお父様に手紙を出すわね。



6番目の(今日のエスコート役を頼んだ)兄がにこやかに
「さっさと地獄に落ちれば良いのに」…セリフに合っていない爽やかな笑顔です。


「では、これが最後だ!
兄6人の誰でもないっ、もちろん兄ではない男と2人で宝飾店で買い物をしていたのを僕が見た!」

((ホントかあ?))とパーティ会場も懐疑的だ。
しかし、今回は本当に6人の兄の誰でもないようだ。場所は有名宝飾店?

「私は行ったことがない店ですわ。」

今日、婚約者からの贈り物はなくドレスはオリジナルで兄からの贈り物。宝飾品は6番目の兄とお揃いモチーフでお洒落している。テイラーをしている4番目の兄(テイラー)の手製です。


超高級店で男性と建物の物陰に女性が射影された。

「この男とカフェや店に出かけているのを見た!」

髪色が違うし、家の雰囲気とも異なる風貌。
当たり前か。血縁者ではないのだから。


「義理の兄、姉の夫ですね。姉の誕生日の品の相談を受けて最近、カフェでお会いしたことがありました。
その時、使用人も一緒でしたよ?」


この男、勝手にいないものとしたのかも。

悪い癖だ。前々から使用人の使い方というかまとめ方が下手すぎる。

射影の女性、宝石店に居るのはお姉様かしら?あのドレス、見覚えあるわ。

血の繋がりがなくても、親類だからカフェくらい問題にならない。



もう、言いがかりは終わりのようだ。ほんと救いようがない元・婚約だったわ。
その一派が退場して


やっとパーティが進行するようだった。
ダンスの曲の演奏が始まった。
しおりを挟む
感想 2

あなたにおすすめの小説

そういう時代でございますから

Ruhuna
恋愛
私の婚約者が言ったのです 「これは真実の愛だ」ーーと。 そうでございますか。と返答した私は周りの皆さんに相談したのです。 その結果が、こうなってしまったのは、そうですね。 そういう時代でございますからーー *誤字脱字すみません *ゆるふわ設定です *辻褄合わない部分があるかもしれませんが暇つぶし程度で見ていただけると嬉しいです

私が根性を叩き直してやります!

真理亜
恋愛
一つの国が一人の毒婦の手によって滅亡の危機を迎えていた。そんな状況の中、隣国から嫁いで来た王女は国を立て直すために奔走する。毒婦によって愚王になり果てた夫をハリセンで叩きながら。 「私は陛下の教育係ですから」

悪役令嬢は森で静かに暮らします。

あみにあ
恋愛
辺り一面が真っ赤な炎に染まってき、熱風が渦巻き、黒煙が舞い上がる中、息苦しさに私はその場で蹲った。 動く事も出来ず、皮膚が炎に触れると、痛みと熱さに意識が次第に遠のいていく。 このまま死んでしまう……嫌だ!!! そう思った刹那、女性の声が頭に響いた。 「私の変わりになってくれないかしら?」 そうして今までとは全く違う正解で、私は新しい命を手に入れた。 だけど転生したのは、悪役の令嬢のような女性。 しかも18歳に愛する人に殺される悲惨な最後らしい。 これは何とか回避しないと……ッッ。 そんな運命から逃れる為悪戦苦闘するお話です。

真実の愛<越えられない壁<金

白雪の雫
恋愛
「ラズベリー嬢よ!お前は私と真実の愛で結ばれているシャイン=マスカット男爵令嬢を暴行した!お前のような嫉妬深い女は王太子妃に相応しくない!故にお前との婚約は破棄!及び国外追放とする!!」 王太子にして婚約者であるチャーリー=チョコミントから大広間で婚約破棄された私ことラズベリー=チーズスフレは呆然となった。 この人・・・チーズスフレ家が、王家が王家としての威厳を保てるように金銭面だけではなく生活面と王宮の警備でも援助していた事を知っているのですかね~? しかもシャイン=マスカットという令嬢とは初めて顔を合わせたのですけど。 私達の婚約は国王夫妻がチーズスフレ家に土下座をして頼み込んだのに・・・。 我が家にとってチャーリー王太子との結婚は何の旨味もないですから婚約破棄してもいいですよ? 何と言っても無駄な出費がなくなるのですから。 但し・・・貧乏になってもお二人は真実の愛を貫く事が出来るのでしょうか? 私は遠くでお二人の真実の愛を温かい目で見守る事にします。 戦国時代の公家は生活が困窮していたという話を聞いて思い付きました。 思い付きで書いたので、ガバガバ設定+矛盾がある+ご都合主義です。

兄がいるので悪役令嬢にはなりません〜苦労人外交官は鉄壁シスコンガードを突破したい〜

藤也いらいち
恋愛
無能王子の婚約者のラクシフォリア伯爵家令嬢、シャーロット。王子は典型的な無能ムーブの果てにシャーロットにあるはずのない罪を並べ立て婚約破棄を迫る。 __婚約破棄、大歓迎だ。 そこへ、視線で人手も殺せそうな眼をしながらも満面の笑顔のシャーロットの兄が王子を迎え撃った! 勝負は一瞬!王子は場外へ! シスコン兄と無自覚ブラコン妹。 そして、シャーロットに思いを寄せつつ兄に邪魔をされ続ける外交官。妹が好きすぎる侯爵令嬢や商家の才女。 周りを巻き込み、巻き込まれ、果たして、彼らは恋愛と家族愛の違いを理解することができるのか!? 短編 兄がいるので悪役令嬢にはなりません を大幅加筆と修正して連載しています カクヨム、小説家になろうにも掲載しています。

まったり系令嬢は婚約破棄されてもさほど動じない。~しかし親と兄は激怒していますのでお気をつけください~

四季
恋愛
まったり系令嬢は婚約破棄されてもさほど動じない。

身分が上だからと油断しているようですけど……

四季
恋愛
私の婚約者は、私を舐めきっていました。 とにかく、女遊びし過ぎです。

この国において非常に珍しいとされている銀髪を持って生まれた私はあまり大切にされず育ってきたのですが……?

四季
恋愛
この国において非常に珍しいとされている銀髪を持って生まれた私、これまであまり大切にされず育ってきたのですが……?

処理中です...