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兄です
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「文通の相手。この知らない名前のものが何通も!」
「私は学校で、留学生の相手もしています。」
細々と揚げ釣られるほとんどが、兄絡み。
「知らない相手と!送り先もひとつではない。秘密の関係では?
もしや、我が国の情報を流しているのやも!」
悪い方にばかりとって、私を悪女にしたいらしい。
ばら撒かれた手紙を王子様の侍従の方に拾ってもらい、確認した。あ~これは…
「5番目の兄からです。」
((だよねー。))というセリフが会場の空気に霧散した。
「そんな男、婚約者の僕が会ったこともない!」
「5番目の兄は放浪の旅に出ています。私も記憶にうっすらとしかありません。」
交流が少ないけど、仲は良好だ。忘れた頃に手紙や絵葉書で無事を知らせてくる。
しばらく会っていなくても、歴とした兄。
(ネタ切れかしら?)
相手方は慌てふためいてバタバタだし、そろそろパーティに参加の皆様を待たせるのは心苦しい。
パーティが始まった直後で、進んでいないもの。
そんな中、声が通った。
「もう良いですか?」と扉が開けられて入ってきたのは…
「お兄様!」
((何番目の?))とその場の皆が思った。
私の理想の男性、2番目のお兄様。パーティの滞った連絡で呼び出されたのかしら?王城勤務の文官の格好だった。
お兄様とは、兄妹だとわかるくらいには似ている顔立ちで、怜悧な冷たい印象を与える。キリッとした目に見据えられれば、スッと背筋が伸びる。
その印象とは正反対で、一番話を聴いてくれるお兄様なのだ。
このどさくさに、離れていた6番目の兄が私の横に来た。今日のエスコート役で一緒に来たのだけど。
食べ物に釣られて側にいなかったのは知っていますよ?
ニコっと笑う6番目の兄の流れ弾が御令嬢方に。罪作りな兄です。要領の良さと、この笑顔で許せちゃうんですけど。おっとお兄様がお話しされますよ!
「我が家をそんなに馬鹿にしたいのか?そして、外交の問題にまで発展させたいと?」
“氷の文官様”と言われているお兄様の声と視線は絶対零度ですね。
家族内ではそれほど効果はないんですけど、ニコニコと溶かす人が多いですからね。
外だとすごい威力を発揮するんですねえ。
お兄様に手紙を渡して報告する。「ほとんどが、5番目の兄からです。」手紙の差出人の名前のところは、それぞれのお国風に変えられていた。パターンがあり、兄の遊び心だった。
2番のお兄様と6番目の兄が、「ああ、いたな」みたいな表情で手紙を見る。存在を忘れやすい兄なのだ。
それより、この手紙たちを何の権限で勝手に、無断で!奪って行ったんでしょうか?普通に犯罪ですわ。
もし手紙の内容が助けを求めるものだったら?手遅れに…。いえ、問題があれば私ではなくお兄様かお父様に手紙を出すわね。
6番目の(今日のエスコート役を頼んだ)兄がにこやかに
「さっさと地獄に落ちれば良いのに」…セリフに合っていない爽やかな笑顔です。
「では、これが最後だ!
兄6人の誰でもないっ、もちろん兄ではない男と2人で宝飾店で買い物をしていたのを僕が見た!」
((ホントかあ?))とパーティ会場も懐疑的だ。
しかし、今回は本当に6人の兄の誰でもないようだ。場所は有名宝飾店?
「私は行ったことがない店ですわ。」
今日、婚約者からの贈り物はなくドレスはオリジナルで兄からの贈り物。宝飾品は6番目の兄とお揃いモチーフでお洒落している。テイラーをしている4番目の兄(テイラー)の手製です。
超高級店で男性と建物の物陰に女性が射影された。
「この男とカフェや店に出かけているのを見た!」
髪色が違うし、家の雰囲気とも異なる風貌。
当たり前か。血縁者ではないのだから。
「義理の兄、姉の夫ですね。姉の誕生日の品の相談を受けて最近、カフェでお会いしたことがありました。
その時、使用人も一緒でしたよ?」
この男、勝手にいないものとしたのかも。
悪い癖だ。前々から使用人の使い方というかまとめ方が下手すぎる。
射影の女性、宝石店に居るのはお姉様かしら?あのドレス、見覚えあるわ。
血の繋がりがなくても、親類だからカフェくらい問題にならない。
もう、言いがかりは終わりのようだ。ほんと救いようがない元・婚約だったわ。
その一派が退場して
やっとパーティが進行するようだった。
ダンスの曲の演奏が始まった。
「私は学校で、留学生の相手もしています。」
細々と揚げ釣られるほとんどが、兄絡み。
「知らない相手と!送り先もひとつではない。秘密の関係では?
もしや、我が国の情報を流しているのやも!」
悪い方にばかりとって、私を悪女にしたいらしい。
ばら撒かれた手紙を王子様の侍従の方に拾ってもらい、確認した。あ~これは…
「5番目の兄からです。」
((だよねー。))というセリフが会場の空気に霧散した。
「そんな男、婚約者の僕が会ったこともない!」
「5番目の兄は放浪の旅に出ています。私も記憶にうっすらとしかありません。」
交流が少ないけど、仲は良好だ。忘れた頃に手紙や絵葉書で無事を知らせてくる。
しばらく会っていなくても、歴とした兄。
(ネタ切れかしら?)
相手方は慌てふためいてバタバタだし、そろそろパーティに参加の皆様を待たせるのは心苦しい。
パーティが始まった直後で、進んでいないもの。
そんな中、声が通った。
「もう良いですか?」と扉が開けられて入ってきたのは…
「お兄様!」
((何番目の?))とその場の皆が思った。
私の理想の男性、2番目のお兄様。パーティの滞った連絡で呼び出されたのかしら?王城勤務の文官の格好だった。
お兄様とは、兄妹だとわかるくらいには似ている顔立ちで、怜悧な冷たい印象を与える。キリッとした目に見据えられれば、スッと背筋が伸びる。
その印象とは正反対で、一番話を聴いてくれるお兄様なのだ。
このどさくさに、離れていた6番目の兄が私の横に来た。今日のエスコート役で一緒に来たのだけど。
食べ物に釣られて側にいなかったのは知っていますよ?
ニコっと笑う6番目の兄の流れ弾が御令嬢方に。罪作りな兄です。要領の良さと、この笑顔で許せちゃうんですけど。おっとお兄様がお話しされますよ!
「我が家をそんなに馬鹿にしたいのか?そして、外交の問題にまで発展させたいと?」
“氷の文官様”と言われているお兄様の声と視線は絶対零度ですね。
家族内ではそれほど効果はないんですけど、ニコニコと溶かす人が多いですからね。
外だとすごい威力を発揮するんですねえ。
お兄様に手紙を渡して報告する。「ほとんどが、5番目の兄からです。」手紙の差出人の名前のところは、それぞれのお国風に変えられていた。パターンがあり、兄の遊び心だった。
2番のお兄様と6番目の兄が、「ああ、いたな」みたいな表情で手紙を見る。存在を忘れやすい兄なのだ。
それより、この手紙たちを何の権限で勝手に、無断で!奪って行ったんでしょうか?普通に犯罪ですわ。
もし手紙の内容が助けを求めるものだったら?手遅れに…。いえ、問題があれば私ではなくお兄様かお父様に手紙を出すわね。
6番目の(今日のエスコート役を頼んだ)兄がにこやかに
「さっさと地獄に落ちれば良いのに」…セリフに合っていない爽やかな笑顔です。
「では、これが最後だ!
兄6人の誰でもないっ、もちろん兄ではない男と2人で宝飾店で買い物をしていたのを僕が見た!」
((ホントかあ?))とパーティ会場も懐疑的だ。
しかし、今回は本当に6人の兄の誰でもないようだ。場所は有名宝飾店?
「私は行ったことがない店ですわ。」
今日、婚約者からの贈り物はなくドレスはオリジナルで兄からの贈り物。宝飾品は6番目の兄とお揃いモチーフでお洒落している。テイラーをしている4番目の兄(テイラー)の手製です。
超高級店で男性と建物の物陰に女性が射影された。
「この男とカフェや店に出かけているのを見た!」
髪色が違うし、家の雰囲気とも異なる風貌。
当たり前か。血縁者ではないのだから。
「義理の兄、姉の夫ですね。姉の誕生日の品の相談を受けて最近、カフェでお会いしたことがありました。
その時、使用人も一緒でしたよ?」
この男、勝手にいないものとしたのかも。
悪い癖だ。前々から使用人の使い方というかまとめ方が下手すぎる。
射影の女性、宝石店に居るのはお姉様かしら?あのドレス、見覚えあるわ。
血の繋がりがなくても、親類だからカフェくらい問題にならない。
もう、言いがかりは終わりのようだ。ほんと救いようがない元・婚約だったわ。
その一派が退場して
やっとパーティが進行するようだった。
ダンスの曲の演奏が始まった。
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