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ダメだわ

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「君とは婚約するが、愛しているのはただ、独りだけなんだ。」

どこからか?薔薇を取り出した男が続ける。



「ふう。僕の美しさは罪。」

さらりと手入れされている髪をかき揚げ、ナニカいる。

下手な劇の役者よりも更に劣る。
そんな演技なら、客席の人にやらせた方がマシだろう。

「嗚呼!彼女だけを愛している僕。それはだからんっ」

薔薇を口に咥えてやがる。
やめろ。薔薇が可哀想だ。

なんか黙っちまったが、
やっすい真実の愛があったもんだな。今持っている薔薇より安いんだろ?

いや、金もらってもそんな薔薇要らねえわ。


「けれど僕は貴族。その義務の犠牲になるしかないのだよ」
ビシッと薔薇が床に。

おいゴミを捨てんな。


「というわけで、彼女とは別れないし
君の家からお金はもらう。

君も自由に勝手にしなさい。」

何様?

僕様?



ご愁傷様。


ゴスっ!!!と音が響いた。
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