【完結済み】天罰って人の手を介している時点で方便ですよね<前・中・後編>

BBやっこ

文字の大きさ
上 下
3 / 3

後半

しおりを挟む
「王位継承権から外すというのは…」
「それは、しめしがつくの?」


睨み合うも王家側は、ちょっとの改善もしてくれない。以前からそうだ。
こういう時に、ちょっとでも好感を持たれるようにしておけば良いのに。

(そういうとこ外交とかでも気が回らないよなあ。)

今後の国を憂いながら聞く足音に、興味は遠ざかっていった。


寒いせいでイライラする!冷たいベッドにドスっと座った。
ギシっと返された音は「そうだよな!」と私の気持ちに同調した気がする。


「あの調子は、3日はかかるかなあ。」
私にやれる事は寝るくらいかな。


日が暮れる頃、差し入れが入ったおかげで温まった。

「毛布に、寝袋、カンテラと野営の基本セットね。学校で習ったものだわ。」
友人達からだろう。石の牢に入れられたことも掴んでいるかな。

冷え切った手でなんとか火を点け、手をかざした。
「解凍されるようだわ。」


さすがに本は認められなかったかしら。細部に何かないかチェックしていると、
ノートが入っていた。真っ白?

(炙り出しだわ。)
炎が字を浮かび上がらせる。


“作戦決行”

そう文字を認めて、そのページを切り離して燃やした。

友人達と恩を売った人がどうしてくれるか。
待つばかりだ。


私は思考するために、寝袋の中で目を瞑った。





2日後…

「“神裁判”に不正はない」

眩しい日差しに、見かけだけは立派な金髪が日差しを浴びて煌めいた。


「偽の聖女に天罰を!」「天罰を!」「天罰を」

…騒いでる貴族の顔は覚えた。
私は、堂々と第一声からぶちまけよう。



「私は聖女になりません」



ざわざわと聴講者達がざわめく。貴賓席の王は、それを咎める気はないようだ。

神裁判で発言を判断されるのは、王子と私だけ。
「そうだ お前のような女が聖女になれるわけはない!」

(お前のようなと言われるほど知ってることってあるのかしら?)
ポーズをキメながら話す王子に内心イラつきながら、冷静に答える。


「なる気がないのです」

そのセリフに嘘偽りのないため、神からの咎めはなかった。

「なぜ、なぜだ!」予想から外れたので狼狽えて、大声で当たり散らし王子に呆れる。

貴方が言うの?王家の1人なのに。
「そうしておきたい方達がいらしたからでしょう。」

それが王家であり、貴方は知らないのかと遠回しに嫌味を言う。
神様もちょっとした嫌味は赦してくださるらしい。


以前として、拒否反応はなかった。


偽りはなく
真実を
清い心のまま語っている

神裁判で嘘や誤魔化しは

「私は王子との婚約を、破棄したく存じます。
寒いで考えました。私が王家に入るべきではないと。」

だって、使われて草臥くたびれる未来しか見えない。
石の牢に反応してる。貴族の女子、学生を入れるところじゃないもの

関係者が監督不行き届きで、降格になりますわね。

「まて!婚約者は続ける、要望を聞こう!それで良いだろう??」
「的ハズレですね。私、王家に入りたくないので婚約破棄を願います。」

王を見る。
王家の権威で神裁判を行なったのだ。私の発言も撤回できないし、五月蝿い貴族も黙らせる準備もできている。
この結果と根回しで、もう私の婚約者として縛ることはできない。


友人達と恩を売った人が聴講の席でオッケーのサインを送ってくれる。
やっとね。


「王子様。貴方が共に歩む女性を大事にしてくださることを祈りますわ。」

つい、
のし付けては言わなかったけど。やっぱ鬱憤が溜まっていたか、私。


私から最後には…


「さよなら永遠に。」

ニッコリ淑女の微笑みで解放されてた。

こうして神裁判の場から出て行った私はそのまま王都を出た。




青い空。
雲は積み重なって煙が上がるようになっている。


新天地は畑が続く長閑な場所だ。おじ様の領地で畑の野菜目当てにやってくる魔物を追い払った。
魔法も体力も鍛えている。


神殿出身の冒険者もいるけど討伐だと、後方支援だ。
しかも年齢が若いということはない。

修行中の身には、冒険者活動は認められない。


正直、冒険者から聖女もありなんじゃないか?と思えるんだけど
箔がつかないから却下らしい。

もったいない。

回復ができる人間は重宝されるけど
世間知らずで、野営ができない人間を仲間に冒険する人なんているのかしら。


私はごめん被る。

何が悲しくて、設営、火おこし、料理の準備までしてやらなきゃいけないのよ。
王家待遇ね?あ、王子を思い出した。

「自分でやれっつーの!!」



大声で小さな魔物が逃げていく。
仕事を終えて、私は拠点へと帰るのだった。

信じられる仲間と一緒に。
しおりを挟む
感想 1

この作品の感想を投稿する

みんなの感想(1件)

セライア(seraia)

全体的にだけど、特に後編・・・何がわからないのかも不明なくらい「???」。
こんなこと、作者様にしては珍しいので戸惑ってます。。。

解除

あなたにおすすめの小説

リストラされた聖女 ~婚約破棄されたので結界維持を解除します

青の雀
恋愛
キャロラインは、王宮でのパーティで婚約者のジークフリク王太子殿下から婚約破棄されてしまい、王宮から追放されてしまう。 キャロラインは、国境を1歩でも出れば、自身が張っていた結界が消えてしまうのだ。 結界が消えた王国はいかに?

何でも欲しがる妹を持つ姉が3人寄れば文殊の知恵~姉を辞めます。侯爵令嬢3大美女が国を捨て聖女になり、幸せを掴む

青の雀
恋愛
婚約破棄から玉の輿39話、40話、71話スピンオフ  王宮でのパーティがあった時のこと、今宵もあちらこちらで婚約破棄宣言が行われているが、同じ日に同じような状況で、何でも欲しがる妹が原因で婚約破棄にあった令嬢が3人いたのである。その3人は国内三大美女と呼ばわれる令嬢だったことから、物語は始まる。

神託の聖女様~偽義妹を置き去りにすることにしました

青の雀
恋愛
半年前に両親を亡くした公爵令嬢のバレンシアは、相続権を王位から認められ、晴れて公爵位を叙勲されることになった。 それから半年後、突如現れた義妹と称する女に王太子殿下との婚約まで奪われることになったため、怒りに任せて家出をするはずが、公爵家の使用人もろとも家を出ることに……。

聖女アマリア ~喜んで、婚約破棄を承ります。

青の雀
恋愛
公爵令嬢アマリアは、15歳の誕生日の翌日、前世の記憶を思い出す。 婚約者である王太子エドモンドから、18歳の学園の卒業パーティで王太子妃の座を狙った男爵令嬢リリカからの告発を真に受け、冤罪で断罪、婚約破棄され公開処刑されてしまう記憶であった。 王太子エドモンドと学園から逃げるため、留学することに。隣国へ留学したアマリアは、聖女に認定され、覚醒する。そこで隣国の皇太子から求婚されるが、アマリアには、エドモンドという婚約者がいるため、返事に窮す。

聖女はただ微笑む ~聖女が嫌がらせをしていると言われたが、本物の聖女には絶対にそれができなかった~

アキナヌカ
恋愛
私はシュタルクという大神官で聖女ユエ様にお仕えしていた、だがある日聖女ユエ様は婚約者である第一王子から、本物の聖女に嫌がらせをする偽物だと言われて国外追放されることになった。私は聖女ユエ様が嫌がらせなどするお方でないと知っていた、彼女が潔白であり真の聖女であることを誰よりもよく分かっていた。

婚約破棄から聖女~今さら戻れと言われても後の祭りです

青の雀
恋愛
第1話 婚約破棄された伯爵令嬢は、領地に帰り聖女の力を発揮する。聖女を嫁に欲しい破棄した侯爵、王家が縁談を申し込むも拒否される。地団太を踏むも後の祭りです。

稀代の悪女として処刑されたはずの私は、なぜか幼女になって公爵様に溺愛されています

水谷繭
ファンタジー
グレースは皆に悪女と罵られながら処刑された。しかし、確かに死んだはずが目を覚ますと森の中だった。その上、なぜか元の姿とは似ても似つかない幼女の姿になっている。 森を彷徨っていたグレースは、公爵様に見つかりお屋敷に引き取られることに。初めは戸惑っていたグレースだが、都合がいいので、かわい子ぶって公爵家の力を利用することに決める。 公爵様にシャーリーと名付けられ、溺愛されながら過ごすグレース。そんなある日、前世で自分を陥れたシスターと出くわす。公爵様に好意を持っているそのシスターは、シャーリーを世話するという口実で公爵に近づこうとする。シスターの目的を察したグレースは、彼女に復讐することを思いつき……。 ◇画像はGirly Drop様からお借りしました ◆エール送ってくれた方ありがとうございます!

私は王子の婚約者にはなりたくありません。

黒蜜きな粉
恋愛
公爵令嬢との婚約を破棄し、異世界からやってきた聖女と結ばれた王子。 愛を誓い合い仲睦まじく過ごす二人。しかし、そのままハッピーエンドとはならなかった。 いつからか二人はすれ違い、愛はすっかり冷めてしまった。 そんな中、主人公のメリッサは留学先の学校の長期休暇で帰国。 父と共に招かれた夜会に顔を出すと、そこでなぜか王子に見染められてしまった。 しかも、公衆の面前で王子にキスをされ逃げられない状況になってしまう。 なんとしてもメリッサを新たな婚約者にしたい王子。 さっさと留学先に戻りたいメリッサ。 そこへ聖女があらわれて――   婚約破棄のその後に起きる物語

処理中です...
本作については削除予定があるため、新規のレンタルはできません。

このユーザをミュートしますか?

※ミュートすると該当ユーザの「小説・投稿漫画・感想・コメント」が非表示になります。ミュートしたことは相手にはわかりません。またいつでもミュート解除できます。
※一部ミュート対象外の箇所がございます。ミュートの対象範囲についての詳細はヘルプにてご確認ください。
※ミュートしてもお気に入りやしおりは解除されません。既にお気に入りやしおりを使用している場合はすべて解除してからミュートを行うようにしてください。