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婚約者?

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告白を受けたわたしは、

とりあえず「父に話してみます。」と伝えお暇した。

友人 リンリーと街に出かけたものの、妙な浮かれ具合に
存分に楽しむことはできなかった。

スイーツは食べたけど。
母への贈り物は、またの機会だ。



とにかく、父に手紙で相談することに。
成人間近の年齢の令嬢は、親の許可、当主の了承が必要だ。

まだ婚約者を探してくれているだろうから、一旦こういう話があったと
伝えておかないと。

辿々たどたどしく、角ばった慣れない字で父に手紙を書き終わった。
事実のまま、告白をされましたと書き、家柄や条件なんかは父に任せよう。

わたしがやることはとりあえず、ここまで。
明日、学園の配達受付へ出しに行くことにして

“ゲイル・サイモンス”の事について考える。
赤い髪のきつめの印象がある。男子生徒との接点ってあまりないのよね。
大体、元気に動き回っている印象よね。

「子爵で、お酒を扱う商売をしているんだったかな。」

リンリーは情報通だから、他にも聞いてくれそう。
街に行ってからは他の話題にして、詳しくは話さなかったけど。

(接点、ほとんどないのよね。)

突然、唐突に。という言葉が合う。
おとなしそうな、地味とも言える見た目のわたしに告白。
親同士からじゃなくて?

(婚約を焦っているのかな?…なんでだろう。)
まだ最終学年があるし、わたしに声をかけた理由。

恋愛的なもの?一目惚れとかは自惚れね。

相手は緊張はしていたけど、そういう感じじゃないかも。
わたしは、劇みたいに情熱的なものではなくても真摯に
信頼できる関係を築ける相手と縁を結びたい。

最初は口頭での話だし、まあなかったことにで終わった。
けど2回目は文通をして交流をがあった。

そこから相手は、好きな人ができたと
たぶん、男爵より上のお嬢さんを選んだんだ。


(今度は関わるか見極めてからでも良いよね?)

「良い縁があれば掴んできなさい!」と実家から送り出された。

婚約者というものに、少し不信感のあるわたしに母は気づいていたのかも。
父が相手を探してくれているのは知っているけど。
学園に来ているから、そういうお相手探しの場所としても良いのよね。

爵位の上の方達は婚約者と親交を温めているのでしょうけど
下位貴族には決まった相手がいるのは少ない。

学園で
でなければ親交のある相手の娘息子と縁付けてる。
下街なら、もう同居していることもある。

わたしは実家から出て行った方が良い立場だ。
兄のお嫁さんからしてみたら、母よりもやり難い相手だろうしね妹って。

どんな女性を捕まえるのかなあ?

そう言ったら「お前はどうなんだ!」って聞き返されるんだろうけど。
そのムカつく兄の顔を思い浮かべてしまい、枕を殴れば中の羽根が飛んで出てしまった。


ーーー

「婚約の申し込みなら、チャンスだろ?婚約破棄したばかりは狙い目だ。」
「より良い返事が来たら…。」


「侯爵家のキープだよ。男爵家の娘なんて、ポイっと捨てて文句は言えないさ!」


「あて馬、か。男爵令嬢がちょうど良いね」

仄暗い笑を浮かべた2人はグレイテスが知っている男たちだった。
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