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補足後

ラスト

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追記
話の切りに、『竜の翼』王都で集合

ーーーーー


2年ぶりの再会、セリは16歳になっていた。成人と認められる年齢だ。
「結婚」という言葉をロードが飲み込まされる。
婚約者という段階を踏めと言われて一応納得しているセリのためだ。

王都へは初めてと言うことで緊張をしていたセリだが

飛竜に乗る楽しさにはしゃいでしまい、着いた頃にはだいぶ疲弊していた。

ただ乗ってきていれば、こうはならなかっただろう。
というのも、子竜と再会した。

デッカクなってた!
撫でて「王都までよろしくね」と期待をかけられた子竜は張り切る。
訓練の窮屈さの鬱憤を晴らすように。

ロードと共乗りし
馬なら乗れるセリなので、それほど心配はしていなかった。
操るのはロードで、乗るのは仲良しの子竜。
(ほんと大きくなったなあ。)すぐ母竜を越すのではないかと思われた。

その成長を見せられるのだからと、とっても張り切ってくれた。
スピードもさることながら、宙返りや寄り道しそうになったり

元気に飛んでくれた
空中散歩は足が着かない事は気になったが、セリはとても楽しめた。
ロードが後ろにいる安心感と高揚感も手伝ったのだろう。


楽しんだは良いが、着いた時にはグッタリだった。
カナンとシュルトは苦笑した。

飛竜を怖がりこそすれ、あそこまで楽しめるのも珍しい。
はしゃぐセリが年相応に見えるのも微笑ましかった。


「足が立たない」と涙目になっているが。
ロードが運ぶので問題ない。

最初は特に、乗馬の初心者のように内股に力が入ってなってしまう。
よろっと降り立ったカナンは「やっぱ地に足ついたほうが良いぜ」と気持ちを落ち着け、
シュルトも肩をぐるっとさせひと息ついた。

慣れた2人でも緊張するものだ。
好調な飛行だったと評せた。

余裕のあるロードは、セリを軽々抱き上げ室内に入ろうとしたが
セリにせがまれ子竜の前に。

「ありがとね」子竜を撫でながら感謝していたが
ちょっと嫉妬したので、早々に切り上げさせた。

(心が狭い。)
2人にそう思われたことだろう。

飛竜が降り立ったのは森の近くの屋敷。
王都を遠巻きに見て、
王城を見ながら通り過ぎてついた先。

『竜の翼』の王都での拠点としている屋敷だった。

緑が濃く、セリには馴染みのある雰囲気だ。
魔物も出るだろうが、伊達に辺境で暮らしていない。

すぐに馴染める予感がした。

コツコツと床の音を鳴らして、入り口の扉を潜る。
セリを見つめながら

「『竜の翼』の拠点にようこそ、セリ」と
熱く見つめて言ってくれた。

歓迎を受けているものの
甘い雰囲気なだけにも見える。

エントランスに入ると、

「お帰り」と男性が近くの部屋から出てきた。
聞いた声、知った顔だが
麗しいと言いたくなる色香の増したキースだった。

気怠げなで、ふわあとあくびをする
リラックスした雰囲気。オフの空気といえるゆるさがあった。

「また寝てないの?紅茶を淹れるけど飲む?」
シュルトが食堂にそのまま連れて行ったた。

それについていき、「ひとまずお茶にしまショ」とお茶をする事に。
セリも座らされ、2年ぶりの対面だ。

(綺麗な顔だな。私より美しいな。)と自分の成長の限界を感じる。
セリはクール系で中性的だ。

比べて、キースは神々しい麗しさを増していた。
じっと見つめてしまったらしく少々不機嫌な声のキース

「なに?」「…綺麗な顔だと思って」
「当然でしょ。」「当然なの?」

「ボクだからね!」「そっか。」

と2年経っても中身は早々変わっていない2人だった。
もう、魔導具の話に移っている。

「すげえキースのアレを流してるわぁ。」カナンが近くの台所で戦慄する

キースの視線に
「グスタフ呼んでくるわ~」と部屋を出た。

後ろのロードに(当然のように膝の上だった)
お菓子を食べさせられ、

紅茶をいただく。
「美味しい。」

高級そうだ、いくらだろう?
と聞くのは野暮だが確実に高価。

屋敷内の目についたものも
ヴェーネン家と比べてしまっては駄目だろう。

ギリギリでやっていた家だし。
まあ今後は収入も安定させてなんとか盛り返せるだろうなと

帰れる場所を思った。


「これもどうだ?」とお菓子を勧めてくれるロード

キースは、紅茶を飲みながら報酬の資料に目を通している。
相変わらず熱心だ。

紅茶を飲む姿も懐かしい。


(これからよく見るのだろうけど)と思い
嬉しくなった。

「セリ」と低音の声はグスタフだ。
何日かめのクッタリした服装が懐かしい。

この感じになると、シュルトが世話を焼き始める。
生活を後回しにして、研究に走る困った人なのだ。

「お久しぶりです」と挨拶をし

「よく来たな」と歓迎を受けた。


報酬の資料を渡し、こちらもまた読み始める。


「セリちゃんの歓迎会しなきゃな!」

酒を買うぞとカナンが今後の予定の話をふり、

「書類の提出とか服や装備もいるわね?」シュルトが今後の算段している

この光景の中に自分がいるのが誇らしかった。


「セリ、俺の唯一」ロードに向く、唇に接吻される。

「私も好き」

小さな声で伝えたセリの物語りが始まり
どんな冒険をしたのかは

どこかで語られることだろう



fin.


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