【完結済み】当主代理ですが、実父に会った記憶がありません。

ヴェーネン家

14-4

朝になってもセリ様が出てこない。

不肖の主人に説教と仕事をさせ、セレイナ様に
ご不便がないか聞き執事として仕事を終える頃には

既に寝てしまわれたようだった。

朝、あの呆れていたセリ様の様子を見ようときたが
狼と出会った。

「おはよーさん。まだ起きてないぞ？」

その耳で室内の様子が分かるのだろう。
獣人の血が強く出た容姿で耳と尻尾が機嫌良く揺れる。

警戒する

客人だが反りの合わない感じがする。
相手の余裕が自分を落ち着かなくさせるのか。

セリ様の状況が気になる


急遽、自室に立ち入った。
甘い芳香は、催淫効果を思わせる。

ロードという男の声もする
情事の後。


してやられた


誰が関わっているのだろう？
セリ様は確実だと、天蓋越しに強く見つめてしまう。

何を考えているのか？貴族にとって
処女性は重んじられる要素だ。

その気持ちをぶつける前に、部屋を移動する。

遅めの朝食の支度に、集まった使用人たち。
メイドのマリー、ステラ
やはりバリスが関わっていたか。

苛っとしながら、話を聞いた。

初夜の純血を捧げた後だからか色気を纏うセリ様は、
身体を男に預けて安心しきった様子で
…もやっとしたものを感じた。

かつてこれほど無防備にしていた事があったか？という疑問を置いておいて
問い詰めた。

「勢い？女としての利用を拒否するためだ」

セリュートとしての判断と匂わせる
意思表示と報酬のひとつだと建前がありつつ
望まれたので受けた

“了承のうちだ”

そう堂々としたフリをしつつ
昨夜は緊張したと思い出す。
メイドのマリーに頼る準備は透けるナイトドレスで自分のベッドで訪おとないを待った。

やって来たバスローブ姿、ロードは
大人の男という雰囲気だで色香に当てられる

相手は情動を宿した瞳だった
そして一夜を過ごし朝、

それが一瞬頭から抜けて、明るい外に気づいたセリは

「仕事！？」と叫んだ、遅刻だという意味で。
その横から頭を撫でる男の手

「やすみだ」

？ーその意味を飲み込めずに、ころりと男にもたれかかる。

微睡み
感じたことのない安心感に身を任せていれば
眠気もまた…

「セリ様？」
ドアの向こうからサディスの声。

！？
そんな時間？何かあったかと起き上がろうとして
腰が重かった。


「ロードぉ起きてっかー？」
「ああ。」と寄りかかっていた男が返事した。

ベッドには天蓋がかけられているので見られてもセーフだろうか？？
裸なのでシーツを纏う。

「どう言うことでしょうか？」

(怒ってるよねー。)
反対しそうだったから、サディスには知らせずにいた。

「えーと」
この格好で話すのか。

ぐぅとお腹が空いたと小さい主張があった。

「お着替えください。」
サディスと、カナンが部屋を出る。

ロードに抱き上げられ

服を出してもらい、ベッドの上で着替え
ロードも着替えた。

(情事の後はこのままだなあ。)とぼんやり赤面していれば
姫抱っこと言われる類の移動方法で食堂へ向かった。


「おはよう」
バリスも参加だ。

遅い朝食を頼み、ハートに盛り付けられたベーコンエッグを口に運ばれる。

ロードの希望で。
まあいいや

やっと思考が戻ってくる。
早々に行動を起こしたのは、女として使われないためだ。

貴族の処女性を重んじるのは知っている。
形骸化してたり薬を使うこともあるらしいけど

意思表明だ。

支払いの意味はおまけ。

私は、この家を出て行くことを念頭にしている。

「貴女が存続させた家です。なぜ出て行くのですか？」

やはり、出て行くのに反対か。
サディスが一番反対していると見ていた。

「子供と認められても、親として認められない。」
ただ、働かせようとする人だったから。

ついでに
カナンとの契約も話す

バリスが頭を抱えた。
「竜もヤバイが、狼かあ。」
「え、何？」

「番に執着する2代巨頭だぞ」

「？」

「問題のある獣人種ですよ」サディスのトゲのある言葉に
言われた２人は、ヤレヤレといった態度だった。