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変化の時
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執務室で、セリュートは手紙を確認し終わっていた。
ガイサスからの連絡はまだないだろう。そうは言っても
温かくなれば知らせがくる。
どんな知らせであっても。
(北の地はまだ閉ざされているだろうか?)
窓の方を見て、森の屋敷の変化を感じていた。
風があたたかくなる兆しを連れてきている。
それは『竜の翼』とも別れの時だ。
あれから。
ロードとの距離が少し変わっただろうか?
なるべく今まで通りにと気をつけているが。
メイドにはわかる変化らしい
「恋をしている顔だわ」と戻ってきたマリーに言われ、
娘のステラにもバレている。
専属だからかな?
ドレスを着ることも増え、シュルトの趣味でもあるらしく
着るものが増えて私の得ばかりだ。
「腕は使わなきゃ錆びちゃうわ!野郎のものよりやっぱ
女の子の繊細なものが良いわよねえ。」と言ってくれているが。
王都の素材を竜便で送ると・・幾らかな。
私の心情を知らず、飛竜の番が庭でのんびりしている。
子どもの飛竜は訓練でなかなか来れないらしいが。
迎えに来るときに会えるだろう。
(大きくなっているかなあ。)
凍えるような風に、温かな陽射しを恋しく思う。
暦の上では、寒さが緩和される頃。
その準備に動き出している。
魔物の活発な動きをして、闘争も増える。
そのとばっちりを受ける季節と言える。
特に今年は、植物の活性化の予兆もある。
その目が痛くなる症状に使う薬を準備していくと、
すぐにこの地も暖かくなるだろう。
森への調査事項には
グスタフの注意点と助言を受けて、改めて気合が入る。
結構、忙しくしているかもしれない。
サディスもそれとなくその手伝いをしている。
ロードはついてきてくれるけど。
サディスとカナンという珍しい組み合わせが、不思議だ。
仲が良いわけではないが、コミュニケーションの一種だろうか?
そんな景色にも慣れた頃、
嬉しくない訪れがあった。「帰ってきた」と子爵が宣った。
ダリルは連れていない。王都の学院で勉強中。
この辺境ではやることがないんだろう。体力ないし。
「ここはあなた方の家ではない」
セリュートとして断じるが
再び、宿泊客として受け入れることにする。
王都の状況がわからない限り
追い払わない方が良いだろう。
こちらで引き受けよう。うるさいだけだし。
自分で言った台詞だが
(私の家でもないか。)自嘲は口にはしなかった。
背後の貴族も大人しい。夜のお客さんも来ず
安眠できて良いけど。
『竜の翼』と子爵夫婦が出会ってしまった。
「護衛に雇ってやっても良い」と言ってきたと。
そんなこと言って、
金額見たらビックリだよ?
持ち込んだ馬車の荷物を換金しても足りない。
だって屋敷を売っても無理そうだもの高ランクは伊達じゃないよ
その前に受けないと思うけど。
「子爵夫婦は大人しい??」恒例の書庫でのお茶会に
迷惑かけていないか聴く
なるべく会わないよう分けているのだけど。
「小物だね。」
「ソウネ。」
キースとシュルトは素っ気なく答えた。
グスタフは会っていないらしい。
王都を拠点とした高ランクの冒険者に必要な処世術なのかもと勉強になった。
それをやれるかは別として。
『竜の翼』に依頼を出すことはできない、今までは全てお願いや
出せる報酬で手を打ってもらった。
支払いのできないものは依頼できない。
助けを求めるものじゃない。
甘えちゃいけない。
そんな状況で
“約束”というものはできるらしいと知ったセリだった。
ガイサスからの連絡はまだないだろう。そうは言っても
温かくなれば知らせがくる。
どんな知らせであっても。
(北の地はまだ閉ざされているだろうか?)
窓の方を見て、森の屋敷の変化を感じていた。
風があたたかくなる兆しを連れてきている。
それは『竜の翼』とも別れの時だ。
あれから。
ロードとの距離が少し変わっただろうか?
なるべく今まで通りにと気をつけているが。
メイドにはわかる変化らしい
「恋をしている顔だわ」と戻ってきたマリーに言われ、
娘のステラにもバレている。
専属だからかな?
ドレスを着ることも増え、シュルトの趣味でもあるらしく
着るものが増えて私の得ばかりだ。
「腕は使わなきゃ錆びちゃうわ!野郎のものよりやっぱ
女の子の繊細なものが良いわよねえ。」と言ってくれているが。
王都の素材を竜便で送ると・・幾らかな。
私の心情を知らず、飛竜の番が庭でのんびりしている。
子どもの飛竜は訓練でなかなか来れないらしいが。
迎えに来るときに会えるだろう。
(大きくなっているかなあ。)
凍えるような風に、温かな陽射しを恋しく思う。
暦の上では、寒さが緩和される頃。
その準備に動き出している。
魔物の活発な動きをして、闘争も増える。
そのとばっちりを受ける季節と言える。
特に今年は、植物の活性化の予兆もある。
その目が痛くなる症状に使う薬を準備していくと、
すぐにこの地も暖かくなるだろう。
森への調査事項には
グスタフの注意点と助言を受けて、改めて気合が入る。
結構、忙しくしているかもしれない。
サディスもそれとなくその手伝いをしている。
ロードはついてきてくれるけど。
サディスとカナンという珍しい組み合わせが、不思議だ。
仲が良いわけではないが、コミュニケーションの一種だろうか?
そんな景色にも慣れた頃、
嬉しくない訪れがあった。「帰ってきた」と子爵が宣った。
ダリルは連れていない。王都の学院で勉強中。
この辺境ではやることがないんだろう。体力ないし。
「ここはあなた方の家ではない」
セリュートとして断じるが
再び、宿泊客として受け入れることにする。
王都の状況がわからない限り
追い払わない方が良いだろう。
こちらで引き受けよう。うるさいだけだし。
自分で言った台詞だが
(私の家でもないか。)自嘲は口にはしなかった。
背後の貴族も大人しい。夜のお客さんも来ず
安眠できて良いけど。
『竜の翼』と子爵夫婦が出会ってしまった。
「護衛に雇ってやっても良い」と言ってきたと。
そんなこと言って、
金額見たらビックリだよ?
持ち込んだ馬車の荷物を換金しても足りない。
だって屋敷を売っても無理そうだもの高ランクは伊達じゃないよ
その前に受けないと思うけど。
「子爵夫婦は大人しい??」恒例の書庫でのお茶会に
迷惑かけていないか聴く
なるべく会わないよう分けているのだけど。
「小物だね。」
「ソウネ。」
キースとシュルトは素っ気なく答えた。
グスタフは会っていないらしい。
王都を拠点とした高ランクの冒険者に必要な処世術なのかもと勉強になった。
それをやれるかは別として。
『竜の翼』に依頼を出すことはできない、今までは全てお願いや
出せる報酬で手を打ってもらった。
支払いのできないものは依頼できない。
助けを求めるものじゃない。
甘えちゃいけない。
そんな状況で
“約束”というものはできるらしいと知ったセリだった。
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