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変化の時

13-2

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「セリ?」

私を覗く黄色の瞳。ロードが目の前にいた。

茫然自失
様子のおかしいセリを心配する

手が頬に触れているのが温かい
ぼんやりそう認めて

セリは理解した
自分の望みを自覚する


(寂しい)

1人で立つ場所は不安定で
昔よりはるかに背負うものが重くなった。

成長を否定されているようで哀しい
認められなくて理不尽だ

自分で決めた道だったはず
そう言われてもその重荷が辛い。

1人でも限界があると知ったから
これからも1人だと言われたら

泣きだしたくなる。


初めて
甘えを、弱音を吐ける

温かさも
なかったものだ

私だけの相手

飢えていたことに気づいた。
(気づく前に戻れるだろうか?)

ロードにセリを部屋へ送らせ、キースとシュルトが書庫に残った。

14の子には重荷だ。
少したがが緩んだんだろう。
それだけロードや自分たちに心を開いているんだろうか。

それか、この土地の人間じゃないからこそ
甘えられるのかもしれない。

シュルトの目には、セリとロードとの相性は良さそうだと判断する。
ロードの溺愛加減もさることながら、

宝石を装飾にする依頼や、ドレスを贈りたいと言っていたのを宥めて
御茶菓子にさせておいたのは英断だ。

机の上のチョコレートを食べた。
まったく。
貰う方のことも考えてあげて欲しい。

宝石など辺境で使うタイミングに困るだろう。
実際、ドレスを着る機会はほとんどなく

今後は増えるかもと念のためという面が多いようだった。
(気軽にドレスのことを聴ける女性がいないのも問題かしら?)

基本的なことなら教えてあげれたけど
友人の立場からだけじゃない助言、母親の立ち位置なども必要になるだろう、

まあ主な役割である婿を探す必要はない。セリの意思はしっかり聞いていないが
ロード一択になるだろう。

既に、あの男は外堀を埋めようとしている。
まあ、それには賛成だ。セリの悪いようにはならない。

婿が決められないという点を除外して。

セリの立場、足場は安定していない
魔物の氾濫のある土地を納めている家

まあまあ古くから続く家で
これだけ後見してくれる貴族がいないのも不思議だ。

「先代の時点から何か仕掛けられたのかしら?」

ここなら
ロードが婿入りするのもアリといえば、あり。

王都の貴族の派閥、どこにも所属せずに強い野心もない。

安定した魔導具関連の収入に、森の恵みを集めた備え。
領民との関係も良好うで慎ましく暮らしている。

人柄も申し分ない。セリ自身は。

「当代の頭首よね、問題は。」
「厄介なの?」キースが話にのる。

「聞く限りでは、研究に没頭して仕事をサボるタイプね。
周りがしっかりしてれば問題ないのかしら。魔導具に関しては功績もあるのよ。」

「問題は?」

「人柄ね。他人に興味が薄い。人への情がかけられないっていうか…」

シュルトの分析の言葉が詰まった。

「ま、消す必要はないでしょ?」
さらっと怖いことを言うキースだが、

ヴェーネン家が辺境の役割を担わなければあり得た未来だ。
方法はもっと穏やかだったと思うが。


その報告を王都にして、シュルトの仕事の報告は終わり。

そろそろ暖かくなってこれば、
王都の拠点に戻ることになるだろう。


(それまでにセリの心を掴んでおけるといいわね?)
即急な手段を用いらないか心配しながらも、
のんびりお茶を楽しんだ。


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