【完結済み】当主代理ですが、実父に会った記憶がありません。

閉ざされる屋敷

12-5

ちょっと庭の土がえぐれたくらいで、喧嘩は終了したようだ。

今は、スイーツの時間だった。

スマした顔で2人ともいる。
お茶を淹れるサディス
ケーキをサーブするバリスだ。

私は庭にいた竜が興奮しないか心配したが、カナンが見てくれていた限りでは
楽しく観戦していたらしい。

後で様子見という口実で触らせてもらいたい！
バリスを味方につければ成功するだろう。

ここには
『竜の翼』全員が集まった。

料理長が帰ってきた報告と、ここで過ごす上でなにか要望が出たないか聴く。
不便な辺境の筈が、特に問題ない様子で過ごしている
高ランになせる技なのか？

ついでにバリスへの情報共有だ。生活リズムがわかった方が料理しやすいだろう。
特にグスタフは篭りっぱなし。久々に食べているところを見た。
だいたいシュルトが食事を差し入れてた。

キースもその傾向にあるけどシュルトが食べさせている。
成長期って19歳だったっけ。細身だから心配なんだろうか。

カナンは食事には出てくるし、ロードはその時、捕獲…私と一緒にいる。


サーブされたケーキが気持ち大きい気がするが？
主賓扱いなの？主催なはず。
控えたバリスとサディスを見て、お茶会をスタートさせた。喫茶ルーム

隣に座り食べさせてくるロードをちょっと待たせて、
帰ってきた料理長を紹介した。

「よろしく～。」バリス、軽い。

シュルトが作っていた昼食などどうするか意向を聞き

どう過ごしてもらっているかを話した。
生活リズムを互いに知れば、快適に過ごせるだろうという狙いだ。


基本、書庫を利用してもらっていて、

春の便りがある頃まで滞在予定で
飛竜3体は様子見で庭にいる事。


「シュルトには、ドレスをリメイクしてもらってて
キースとは魔導具の組み立てを夕食後にしてる。

グスタフは書庫で、カナンは散歩？

ロードは大抵、…私の後ろにいる。」

簡単に説明してみた。それぞれのんびり過ごしている。
バリスは
「えーと、番だって？」確認するように投げかけた。
「そうだ。」ロードの肯定にサディスがピリつく。

「セリ様から離れろ」低い声での命令口調

「まあそうだな。貴族で後継の14歳の未成年だ。
どうするつもりだ？」

バリスまで加わった！？
さっきまで喧嘩してたのに。


「貴族から“婚約者に”と釣書も来てます。」

それは知ってる。(今言うか？)
整理してつんどきっぱなしで茶会は断り、かわす日々だった。

それにも限界がある。


「俺が貰う。」

ロードの嫁としてか、身柄を引き受けるという意味でなのか？
そんな思考も無意味だ。

「親がいないと無理でしょう？会った記憶のない、父って人とか。」

それに尽きる。結局私の将来を決めるのに、私の意思など簡単に吹き飛ばせる。
私は諦めている。

甘いスイーツが苦々しさを少し、和らげてくれた。
その後、ロードからあ～んをされ食べ終わった。

そんな一幕があってもそれほど暮らしは変わらず、
ああひとつ、バリスが帰ってきたから森に行っている。

中層の観測ができた。
バリスも参加で豪勢な獲物を得る日もある。

サディスは静かに怒っているようだけど
この決定できるのは私だ。


閉ざされた屋敷で、めいっぱい過ごす。
生活し、備えて、手仕事をする。

高級な素材を使った研究も形になり
時が過ぎていく



今は私の生活を過ごそう。


終わりのある
今なのだから。