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冬籠りの季節

ロードの意思

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つがい

それだけを求めて旅する獣人もいる。
諦めている奴も心の奥底で探した止まない。


俺はどちらでもないと思ってた。


けど見つけた。
腕の中に閉じ込めたい。

14歳。
獣人でもない彼女は


キースと話せて
グスタフにも話しかけ


俺を見てくれない


くっつくことは許容してくれている。
それに少し安堵する

拒絶されたくないからだ。

獣人と付き合いがあったようで、嫌悪や視線に悪意はなかった。
俺が獣人だって気付いていないのだろうか?

カナンへの態度も悪くないし
キースへの対応も普通。

グスタフへ声をかけられるし、
シュルトの勘も良い子そうよ?との初見らしい。


俺は匂いで確かめる

俺の番だ。
まだ若々しいが、女の身体。

甘く香る咲きかけの花だ。

誰のものでもない?
俺のものにしたい。


警戒のなさが心配になる。
他の男が抱きついてみろ?

男の方を粉々にしてやる

そんな暗い内心を隠しつつ
俺と彼女の距離を詰めた。

拒否されないのを良いことに、膝の上にのせ
乗っかり、慣れさせる。

押しに弱い。
心配だが可愛いところだ。

キースと話していて
セリと呼んで欲しいと話していた。
「セリ」

俺が先に呼ぶ。
耳元だったからか、びっくりして俺の方を見た。
可愛い。


キースがセリと呼ぶが、俺が先に呼んだからまあ許そう。
その魔導具のことしか興味ないって態度だからな。

カナンが後ろでため息をついているが、知るか!
シュルトは本を読むからな、一通り本棚を見て回っている。

本の内容より高い値のつくものを探している気がするが
まあ商人の性だろう。盗るわけじゃないんだ、ほっとこう。


キースの質問に答えるセリを抱きしめ
話を聞いているがよくわからない。

よっぽど勉強しているんだな、偉いぞ。
ナデナデ。

セリが狼狽うろたえるのが可愛くってギュッとしてしまう。
その度に、番の匂いを感じられて


本当に見つけたんだと再度確認する。

俺のだ。


暴走しないように?
耐えないとなあ。

彼女のために。


彼女のことを知ろう。

何を望んでいて、得たいものと、
何を願っているのか。

俺を選んで欲しい。
そのために、俺が捧げられるものが有れば

彼女に差し出そう。

どうか俺を見て欲しい

ギュッと体温を感じる
その幻ではない感触が今は信じられない。

俺の腕の中に閉じ込めておかないと。


それを邪魔してくる
シュルトとカナンをうまく躱しながら。

俺は絶対、セリの心も手に入れてみせると決意した。

そのためなら何とか我慢を重ねよう。
彼女を傷つけたくない

だが、俺は彼女に選択を強いるだろう。
それが彼女にとって幸せになる道になるよう俺が

守って見せる。

俺の番。

「ロード」
俺の名を呼ぶその声に、愛されたいな。
そう強く思った。
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