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『竜の翼』

別室にて

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『竜の翼』が部屋に案内され
「で、どうするつもり?」

カナンがロードを抑えつつ
目の前で問うのはシュルト。


番を見つけたら衝動で3日以上は行為に及ぶ
と言われるくらい

我を忘れるらしい。


それでも未成年に手を出したら犯罪だ。
それに貴族の子というのも問題があるかもしれない。


ここにきたのは
休暇とも言える。

王都は騒がし時期で
鬱陶しく思っていたが

ある筋からこの地を見てきてくれと視察依頼が入った。
ほぼお遊びの依頼で、

森が近くにある冒険者としては
人がそうそう来ないのも良い。

とにかく人の生活圏から外れたい気持ちだった。
依頼を受ける形で、この辺境まできた。

飛竜まで借りて。


そこにロードの番。

印象はシンプルな装いの貴族の子。
足と動きが冒険者のものに近く、飛竜への反応が嬉々としていた。

変わり種のタイプだろう。
全体的に大人っぽい子だったと印象は悪くない。

寒いうちはここに厄介になる予定で
あったけど、番がいたとなったらどうするか。


手を出すな
とロードに待てをさせl
ここの事情を知る必要があるだろう


「あの執事は警戒してる」それはそうだろう。
子供を守る当然の反応だと思う。

本人のがわかっていないようだから尚更。

「獣人?」シュルトが憶測で言う

「血が入ってるかもな。
暗器使うタイプだわアレ」アレ呼ばわりされたサディスの

袖に隠れて痺れ毒の針がし伸ばしてある。
そんなところまでは気づいていないが

(ニオイでわかるのかしら?)とカナンを見てそう思考した。
確かに執事のあの目は、只者じゃなく

この地で戦闘ができないものがいると思えない。


敵対する気はないのだから
こちらから歩み寄るのが良いだろう。

この辺境にしばらく滞在するのだから。
すぐ帰れはするが

帰りたくないのが本音だ。
しばらく平穏に過ごしたいと思ってた矢先にコレか。

まあ厄介ごとと言うほどの
事でもないか。

2人して諦める。

「あの子に会って来る!」
と暴走しそうなロードに、とりあえず


キースとグスタフが別室のあてがわれた部屋から
戻って来るのを待たせた。

あちらでも話をまとめる時間がいるという配慮だった。


セリは少しぼーっとしていた
王都から帰ってこなくて良い、子爵夫婦がいない屋敷。

使用人は街に戻って少ない時期でも、身の回りのことはやれるセリだ
余計な人間がいなくなったと、ひと息ついていたい。

夜のお客さんも面倒だったから
サディスが良く対処してくれていたが。

心穏やかだ

と緩んだ態度にサディスの冷たい目線が痛い。
ここら辺で少し緩めないと。

張り詰めすぎていたくらいだったから。

『竜の翼』にもゆっくりして行ってもらおうと暢気に思っている。


紅茶を飲み終えたセリは
約束の通りに、書庫に誘いにいく旨をサディスに指示した。

先触れにメイドをやって帰って来るまで
サディスに注意事項を詰め込まれるセリだった。
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