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『竜の翼』
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報告書類とともにバリスを向かわせ数日後。
そろそろ王都に着いた頃からと気を揉むものの
目の前の後処理の書類に集中するしか私はできない。
子爵夫婦はビクつきながらも元の部屋に戻る。
使用人がまた何人か減ったのは魔物の脅威がある場所での暮らしになじめないからだろう。
寝れなくなったと言う者も何人かいるらしいので、
よく眠れるハーブティをメイド長に差し入れしてもらった。
しばらくは鎮静化するのが観測の傾向だ。
次の魔物の氾濫までに、備えておかなければ。
ここでは、それは日常の一部なのだけど。
それとは別の
屋敷にはまた違った空気が流れる
“社交の時期”
王都でのパーティが開かれる、嫁探しをする時期
私は婿探しをしなければならないか?
当主探しが先だ。貴族だから、子供が結婚相手を決められるものじゃないって知ってる。
他の家にも私が女だとバレていて、揶揄われそう。
文通相手の令嬢情報だ、ジョルバン家には露見している(決定)。
カイルのところの親父さんは腹黒っぽいから油断できない。
うちのを相手にどうか?って言ってきそう。
私の結婚相手はいらないし、ジョルバン家と血縁になれるぞ?って本気の目で言ってきそう。
貴族らしい考えと計算高さだわ。カイルとあの子が大変そう。
まああの子なら上手くやれるかな。
ヴェーネン家から出掛ける子爵夫婦は、忙しいとアピールしながら
用意をさせている。
出て行ってくれるなら助かるが、数人の使用人は残る。
間者が残っているんだろうなあ。
私はもちろん出かけない。この地の守護をするのが
ヴェーネン家の役割だ。
当主がいれば違っただろうけど。名代で
社交の場に出て、ガイサスおじさんがエスコートしてくれただろう。
知らない顔の父親より楽しいだろうけど。
それより子爵夫婦とダニエルは何かやらかしてくるだろう。
『ヴェーネン家から来た』
と虚実を入れて目立ってくるんだろうなあ。
その対策に、王都に申請している書類がある。
やらかしに間に合うよう、受理されると良いのだが。
ガイサスのサインも必要だからバリスの王都行きに持たせたが
“大怪我”はどれほどだろうか。
そもそも私は
実績は上げたが王都の貴族院で評価されるか?
その不安もあるが
この時期は装備の点検や備蓄をするのに適した時期だ
森にはそうそういけないが
書庫にこもって過していよう。その前のひと仕事だ。
「もう、お出かけですか?」
お見送りの体で玄関に現れたセリュートを子爵夫婦が見て固まった。
デイドレス姿の女の子
今日、子爵夫婦を
黙らせるためと寸法を確認するために、ドレスを着た。
「流行など知らん!」
と開き直り、文通相手にデザインを丸投げしたものだ。
ベーシックなものを頼んだが、変ではないようだ。
当主として出るにはドレスなのかと疑問もあるが
婚約者という言葉を色々な相手がチラつかせてくる
今は、
私が決定権を持っているし
女で後継者として瑕疵はないと態度でも示すことにした。
ダニエルはすでに馬車内にいる。
とろとろと支度が遅かった2人が、驚き固またのでさっさと馬車に詰め込み、
「いってらっしゃいませ」とってつけた笑顔でさっさと送り出した。
『帰ってくんな』と念をのせておいた。
平気なフリをしていたが王都に向かう馬車を見つめる。
本当はガイサスおじさんが心配だ。
それでも耐えてこの場に残るしか私に選択肢はないのだ。
そろそろ王都に着いた頃からと気を揉むものの
目の前の後処理の書類に集中するしか私はできない。
子爵夫婦はビクつきながらも元の部屋に戻る。
使用人がまた何人か減ったのは魔物の脅威がある場所での暮らしになじめないからだろう。
寝れなくなったと言う者も何人かいるらしいので、
よく眠れるハーブティをメイド長に差し入れしてもらった。
しばらくは鎮静化するのが観測の傾向だ。
次の魔物の氾濫までに、備えておかなければ。
ここでは、それは日常の一部なのだけど。
それとは別の
屋敷にはまた違った空気が流れる
“社交の時期”
王都でのパーティが開かれる、嫁探しをする時期
私は婿探しをしなければならないか?
当主探しが先だ。貴族だから、子供が結婚相手を決められるものじゃないって知ってる。
他の家にも私が女だとバレていて、揶揄われそう。
文通相手の令嬢情報だ、ジョルバン家には露見している(決定)。
カイルのところの親父さんは腹黒っぽいから油断できない。
うちのを相手にどうか?って言ってきそう。
私の結婚相手はいらないし、ジョルバン家と血縁になれるぞ?って本気の目で言ってきそう。
貴族らしい考えと計算高さだわ。カイルとあの子が大変そう。
まああの子なら上手くやれるかな。
ヴェーネン家から出掛ける子爵夫婦は、忙しいとアピールしながら
用意をさせている。
出て行ってくれるなら助かるが、数人の使用人は残る。
間者が残っているんだろうなあ。
私はもちろん出かけない。この地の守護をするのが
ヴェーネン家の役割だ。
当主がいれば違っただろうけど。名代で
社交の場に出て、ガイサスおじさんがエスコートしてくれただろう。
知らない顔の父親より楽しいだろうけど。
それより子爵夫婦とダニエルは何かやらかしてくるだろう。
『ヴェーネン家から来た』
と虚実を入れて目立ってくるんだろうなあ。
その対策に、王都に申請している書類がある。
やらかしに間に合うよう、受理されると良いのだが。
ガイサスのサインも必要だからバリスの王都行きに持たせたが
“大怪我”はどれほどだろうか。
そもそも私は
実績は上げたが王都の貴族院で評価されるか?
その不安もあるが
この時期は装備の点検や備蓄をするのに適した時期だ
森にはそうそういけないが
書庫にこもって過していよう。その前のひと仕事だ。
「もう、お出かけですか?」
お見送りの体で玄関に現れたセリュートを子爵夫婦が見て固まった。
デイドレス姿の女の子
今日、子爵夫婦を
黙らせるためと寸法を確認するために、ドレスを着た。
「流行など知らん!」
と開き直り、文通相手にデザインを丸投げしたものだ。
ベーシックなものを頼んだが、変ではないようだ。
当主として出るにはドレスなのかと疑問もあるが
婚約者という言葉を色々な相手がチラつかせてくる
今は、
私が決定権を持っているし
女で後継者として瑕疵はないと態度でも示すことにした。
ダニエルはすでに馬車内にいる。
とろとろと支度が遅かった2人が、驚き固またのでさっさと馬車に詰め込み、
「いってらっしゃいませ」とってつけた笑顔でさっさと送り出した。
『帰ってくんな』と念をのせておいた。
平気なフリをしていたが王都に向かう馬車を見つめる。
本当はガイサスおじさんが心配だ。
それでも耐えてこの場に残るしか私に選択肢はないのだ。
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