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新人冒険者

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しかし、問題はあった。

ゴミを捨て
ニオイを、撒き散らしたり

楽団のように演奏しようと音を出したり

王都では褒められた貴族の趣味でも
ここは辺境だ


“魔物がいる地”

それがわからないようなので

大きめの獲物を見せて
「歓迎しますよ?」と言う顔で夕食に出したり

ここでの過ごし方には慣れてもらうことにした。
これにはバリスの押しの強さと、
冒険者引退と宣うおっちゃん達、
メイド長のマリーの活躍で、調教してもらった。

軍の新兵くらいには。

有事の際に、逃げられなきゃ困るし
魔物を引き寄せて危ないのは本人なのに。

そういったことが守れない使用人はお帰りいただいた。

ここの水が合わないようで
「王都にもどられては?」お話でなんとか済んでいる。


これもまた屋敷の主人としての仕事
と割り切ってやっているが

“わがままな子供”
子爵の流した噂
追い出した使用人のはな加わり、噂を聞いた使用人達その反発が態度の端々に出ている。

使用人としては失格な態度だろうが
目こぼしておかないと。怒る義理もないからね。

ここ数週間で当初の半分になっている
早いお帰りが多いことで。


間者もいるだろうし
少々、気のおけない日々になっているが

今のところ、この程度のことしかできない。

子供に関しては
少々ウザい


仲良くしようと視線で求めて
時間をとってくれとの要求

「仕事があるんだ」

「休憩に一緒に…」

タイミングが悪くて断られると思ってる?
避けているんだけど。
(甘やかされてるなあ)

書庫を見たいって貴重な資料があるんだが?
お友達になりたいわけじゃないと態度で示している

傷ついたという顔も鬱陶しい。
『君は、自分の立場がわかっていないね?』と

ブチ切れそうなのを耐えている
今の均衡を崩すのは、ガイサスおじさんの援護にならないから。

人質というほど柔な人ではないが、王都では勝手がちがうだろう
苦戦しているようだし私がここを空けることもできない。


このダリル君は

私の婚約者候補として送りこまれている
本人に自覚があろうがなかろうが

そう使えるなんだ。


なんとかバリス達の方でお守りしているけど。

素直なお坊ちゃんだという
曲者ではないようなので監視は続行

私は近づかないに尽きる。



そんな中で

魔物の奇妙な兆候が見られた
中規模の氾濫と予想され

屋敷の一部が慌ただしく動く


子爵夫婦の腰は重く
使用人は動かない


避難の場所や行動の注意はしてある
義理と邪魔だから

後はほっておこう。

「サディス、報告を!」
滞在中の冒険者達に追加の緊急依頼を出し
スムーズに受理される


仕組みはバッチリで
引退組と言ってるおじさん達には、避難のほうの護衛を頼んだ。

虫の魔物に釣られて
鳥の魔物が多く騒いでいる

生命力のある
油断できない相手と空からの奇襲に注意だ。

討伐する方より、避難する方が被害が出るかもしれない想定で
動いている。


外の仮拠点へ武装して移動する

「僕にも何か!」と邪魔ダニルが入るが

「退け」構っている暇はない

セリュートは歯牙にもかけず通り過ぎた。

戦いの場では、地図を広げて確認する




ツァルト家はアレイが出たか。
戦局は予想の範囲内。
恙無く、おさめた。


その後始末にすぐ移る
戦った人間を労い、人への被害を確認する。


子爵夫婦がうるさいが
隔離しておいてもらおう


私は仮の治療院に足を向けた
幸い、死人は無いが今回は鳥の魔物の攻撃を受けている


治療用の包帯を屋敷へ
追加で取りに行かせ

内職してもらった分を使った。
これくらい
指揮を取れないとな


予兆の把握
冒険者の協力、備蓄


セリュートが、ひと安心と思っている頃だった。



『大怪我』
ガイサスの近況を知らせる一報は
テイムされた知り合いの魔鳥からのもの

セリュートは
バリスを王都に向かわせる決心をした。
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