上 下
54 / 98
貴族の社交

9-5

しおりを挟む
ぴんと天に向いた耳は兎のもの。
その女性冒険者は、依頼のボードの前にいた。

採取依頼であのランクだと森に入る必要がある。
宿泊場所として屋敷の別棟を提供できるかもしれない。

今は、子爵夫婦のこともあり冒険者を誘っていなかった。
彼女のいでたちに異国の雰囲気を感じる。

そしてあまり良い環境で休んでないかもと予想できた。
獣人蔑視

貴族の派閥であるらしいが
獣人族についてはよく知らない。

特徴に獣の名残があると教えられるも
個人差がある上、文化がそれぞれ違う。

そのくくりでまとめても大きすぎると思ったものだ。
人族だって住む場所で特徴があるでしょう?

凶暴で獣臭いと教えた教師に質問責めしたら
次に来なくなったなあと思い出した。

あのセンセイ、会ったこともないのに、偉そうに知ったかぶりしてたな。
それはそうと、話してみることにした。


ミルと名前がわかった兎の獣人さんに
子供らしく近づき、世間話の後
屋敷で宿泊しないかきいてみた。

警戒と慎重さを見せたので、ギルドでも推奨している
ことを職員の人に話してもらった。

セリからは、

獣人への知識が偏っていることを正直に話し
現在は屋敷に、
居座っている他人の貴族がいる
という厄介ごとを示唆する。

パーティのメンバーを連れてきてくれて

「雨風が防げればいい。
ここは冷たい」

リーダーの丸い耳とマダラ模様の美丈夫が決定した。
暑い地域から来たらしい。

屋敷に寄ってくれ、パーティの臨時参加も許可してくれる。
宿泊の場を提供するというズルをしたが


『女神の剣』という5人パーティに入れてもらえるのは誇らしかった
剣士、回復、武闘家、弓士、研究者で皆女性、獣人だ。

話方も快活で
良い刺激になった

セリは連携の邪魔になるので専ら、後方で控えていた。
案内や疑問点に質問回答し合い、

矢に興味を持たれたので職人に紹介すると約束した。
まだ森の浅いところで気楽に構え休憩を入れる


「服装でわからないものかな」
女に見えないようにしてはいたが、子爵夫婦が性別の勘違いに気づく
様子はない。

女性ばかりの冒険者は話の内容が合うのでおしゃべりも楽しい。

「香りのものは気をつけないとな。」
とは、獣人なら匂いでわかるぞ?という話から。

今度、香料をつけよう。


「獣人は筋肉バカが多い!いい男いないの?!」
筋肉があったって落ち着いた人はいるんだが、
イイ男を探すのは、若気の至りだろうか?

つい自分の年齢を忘れての感想だ。



そしてお相手の話に、リーダーは冗談なのか本気か娘、女の子を勧める
私が女だと言ったはずなんだが。

「男を囲えばよかろう?」と文化の違いだろうか??

「…いりません」とだけ、なんとか絞り出して答えた

”男を傀儡にすれば良い“と言っているように聞こえた。
実体験?ちょっと底が知れない怖さだ。


軽く森を見た後、別棟の屋敷で
夕食の席を設けた。

「ようこそ我が領においでくださいました。」

貴族の格好で歓迎の意を称す。
後は気軽に夕食だ。久々に楽しい


森の浅いところは
数が多い魔物ばかりで、上位ランクには旨味がない。奥では状態異常になる魔物は厄介だ。
長く森に入る者でも被害が出る。

利点は薬草の種類が豊富なこと。
治療薬の材料に
秘薬の材料があると昔は森に入ったが、迷い森から追い出される

当時の王は辺境を治める、抑える家を据えた。
古い家だが四家が主流。

そんな説明をして「本当に貴族なのね?」とやっと信じてもらう。

「秘密が多いものですから」

「こちらを用意したのですが
いかがでしょうか?」

食事には気を使ったが

「問題ない」と端的に、命令に慣れている人だなと感じた。
身分高かそうだが、今は冒険者だ。

「香りの強いものなどは、控えてみましたが
獣人のお客様を迎えることが少ないので
至らぬところがあれば教えてくださると助かります。」

そうしめくくって、セリは楽しく過ごした。
しおりを挟む
感想 0

あなたにおすすめの小説

もう長くは生きられないので好きに行動したら、大好きな公爵令息に溺愛されました

Karamimi
恋愛
伯爵令嬢のユリアは、8歳の時に両親を亡くして以降、叔父に引き取られたものの、厄介者として虐げられて生きてきた。さらにこの世界では命を削る魔法と言われている、治癒魔法も長年強要され続けてきた。 そのせいで体はボロボロ、髪も真っ白になり、老婆の様な見た目になってしまったユリア。家の外にも出してもらえず、メイド以下の生活を強いられてきた。まさに、この世の地獄を味わっているユリアだが、“どんな時でも笑顔を忘れないで”という亡き母の言葉を胸に、どんなに辛くても笑顔を絶やすことはない。 そんな辛い生活の中、15歳になったユリアは貴族学院に入学する日を心待ちにしていた。なぜなら、昔自分を助けてくれた公爵令息、ブラックに会えるからだ。 「どうせもう私は長くは生きられない。それなら、ブラック様との思い出を作りたい」 そんな思いで、意気揚々と貴族学院の入学式に向かったユリア。そこで久しぶりに、ブラックとの再会を果たした。相変わらず自分に優しくしてくれるブラックに、ユリアはどんどん惹かれていく。 かつての友人達とも再開し、楽しい学院生活をスタートさせたかのように見えたのだが… ※虐げられてきたユリアが、幸せを掴むまでのお話しです。 ザ・王道シンデレラストーリーが書きたくて書いてみました。 よろしくお願いしますm(__)m

女嫌いな辺境伯と歴史狂いの子爵令嬢の、どうしようもなくマイペースな婚姻

野菜ばたけ@既刊5冊📚好評発売中!
恋愛
「友好と借金の形に、辺境伯家に嫁いでくれ」  行き遅れの私・マリーリーフに、突然婚約話が持ち上がった。  相手は女嫌いに社交嫌いな若き辺境伯。子爵令嬢の私にはまたとない好条件ではあるけど、相手の人柄が心配……と普通は思うでしょう。  でも私はそんな事より、嫁げば他に時間を取られて大好きな歴史研究に没頭できない事の方が問題!  それでも互いの領地の友好と借金の形として仕方がなく嫁いだ先で、「家の事には何も手出し・口出しするな」と言われて……。  え、「何もしなくていい」?!  じゃあ私、今まで通り、歴史研究してていいの?!    こうして始まる結婚(ただの同居)生活が、普通なわけはなく……?  どうやらプライベートな時間はずっと剣を振っていたい旦那様と、ずっと歴史に浸っていたい私。  二人が歩み寄る日は、来るのか。  得意分野が文と武でかけ離れている二人だけど、マイペース過ぎるところは、どこか似ている?  意外とお似合いなのかもしれません。笑

傷物令嬢シャルロットは辺境伯様の人質となってスローライフ

悠木真帆
恋愛
侯爵令嬢シャルロット・ラドフォルンは幼いとき王子を庇って右上半身に大やけどを負う。 残ったやけどの痕はシャルロットに暗い影を落とす。 そんなシャルロットにも他国の貴族との婚約が決まり幸せとなるはずだった。 だがーー 月あかりに照らされた婚約者との初めての夜。 やけどの痕を目にした婚約者は顔色を変えて、そのままベッドの上でシャルロットに婚約破棄を申し渡した。 それ以来、屋敷に閉じこもる生活を送っていたシャルロットに父から敵国の人質となることを命じられる。

侯爵令嬢は弟の代わりに男として生きることを決めました。

さらさ
恋愛
ある時、自分のミスで双子の弟を失ったレティシアは代わりに自分が男(クリストファー)として生きて行くと決断する。 クリストファーが生きていると信じ、探そうとするレティシアと、そんな彼女が男だと思いながらも自然と惹かれ、苦悩する男達と、可愛い男だと思って自分のものにしようと寄ってくる男達との攻防の物語です。 ※作中にはBL表現も出てきます。 苦手な方はご遠慮下さいませm(_ _)m

公爵令嬢になった私は、魔法学園の学園長である義兄に溺愛されているようです。

木山楽斗
恋愛
弱小貴族で、平民同然の暮らしをしていたルリアは、両親の死によって、遠縁の公爵家であるフォリシス家に引き取られることになった。位の高い貴族に引き取られることになり、怯えるルリアだったが、フォリシス家の人々はとても良くしてくれ、そんな家族をルリアは深く愛し、尊敬するようになっていた。その中でも、義兄であるリクルド・フォリシスには、特別である。気高く強い彼に、ルリアは強い憧れを抱いていくようになっていたのだ。 時は流れ、ルリアは十六歳になっていた。彼女の暮らす国では、その年で魔法学校に通うようになっている。そこで、ルリアは、兄の学園に通いたいと願っていた。しかし、リクルドはそれを認めてくれないのだ。なんとか理由を聞き、納得したルリアだったが、そこで義妹のレティが口を挟んできた。 「お兄様は、お姉様を共学の学園に通わせたくないだけです!」 「ほう?」 これは、ルリアと義理の家族の物語。 ※基本的に主人公の視点で進みますが、時々視点が変わります。視点が変わる話には、()で誰視点かを記しています。 ※同じ話を別視点でしている場合があります。

勘当されたい悪役は自由に生きる

雨野
恋愛
 難病に罹り、15歳で人生を終えた私。  だが気がつくと、生前読んだ漫画の貴族で悪役に転生していた!?タイトルは忘れてしまったし、ラストまで読むことは出来なかったけど…確かこのキャラは、家を勘当され追放されたんじゃなかったっけ?  でも…手足は自由に動くし、ご飯は美味しく食べられる。すうっと深呼吸することだって出来る!!追放ったって殺される訳でもなし、貴族じゃなくなっても問題ないよね?むしろ私、庶民の生活のほうが大歓迎!!  ただ…私が転生したこのキャラ、セレスタン・ラサーニュ。悪役令息、男だったよね?どこからどう見ても女の身体なんですが。上に無いはずのモノがあり、下にあるはずのアレが無いんですが!?どうなってんのよ!!?  1話目はシリアスな感じですが、最終的にはほのぼの目指します。  ずっと病弱だったが故に、目に映る全てのものが輝いて見えるセレスタン。自分が変われば世界も変わる、私は…自由だ!!!  主人公は最初のうちは卑屈だったりしますが、次第に前向きに成長します。それまで見守っていただければと!  愛され主人公のつもりですが、逆ハーレムはありません。逆ハー風味はある。男装主人公なので、側から見るとBLカップルです。  予告なく痛々しい、残酷な描写あり。  サブタイトルに◼️が付いている話はシリアスになりがち。  小説家になろうさんでも掲載しております。そっちのほうが先行公開中。後書きなんかで、ちょいちょいネタ挟んでます。よろしければご覧ください。  こちらでは僅かに加筆&話が増えてたりします。  本編完結。番外編を順次公開していきます。  最後までお付き合いいただき、ありがとうございました!

王妃の仕事なんて知りません、今から逃げます!

gacchi
恋愛
側妃を迎えるって、え?聞いてないよ? 王妃の仕事が大変でも頑張ってたのは、レオルドが好きだから。 国への責任感?そんなの無いよ。もういい。私、逃げるから! 12/16加筆修正したものをカクヨムに投稿しました。

冷酷非情の雷帝に嫁ぎます~妹の身代わりとして婚約者を押し付けられましたが、実は優しい男でした~

平山和人
恋愛
伯爵令嬢のフィーナは落ちこぼれと蔑まれながらも、希望だった魔法学校で奨学生として入学することができた。 ある日、妹のノエルが雷帝と恐れられるライトニング侯爵と婚約することになった。 ライトニング侯爵と結ばれたくないノエルは父に頼み、身代わりとしてフィーナを差し出すことにする。 保身第一な父、ワガママな妹と縁を切りたかったフィーナはこれを了承し、婚約者のもとへと嫁ぐ。 周りから恐れられているライトニング侯爵をフィーナは怖がらず、普通に妻として接する。 そんなフィーナの献身に始めは心を閉ざしていたライトニング侯爵は心を開いていく。 そしていつの間にか二人はラブラブになり、子宝にも恵まれ、ますます幸せになるのだった。

処理中です...