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貴族の社交

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ガイサスは王都の貴族の屋敷にいた。
正確にここはヴェーネン家が保持しているのだが

管理やら権限が弱まったのはしょうがないところだった。
辺境の屋敷が家なのだ

ここは別宅。しかも社交の時期に来ていた仮の屋敷で
ここ何年も人に貸していた。

当主家族が社交に出る時にと
未だに人は雇い入れていたが

目が届かなかったと反省した。
今の屋敷は顔馴染みがおらず、任せた筈の男が居らず

顔見知りなだけの貴族が、私が雇っていた筈の男と共にいる。
ここは敵地と言える場所になってしまった。

部屋の一室で、軟禁状態だ。

辺境の屋敷で何か仕組まれているだろうことは予想している。
私が早く帰還することも重要だが


この貴族の足止めは、私に効果的だった。

“当主の情報”
とあるのかわからない餌をぶら下げ、
書類に承諾させようと宥めすかす。

どうも次の後継に、自分の息のかかった子供を据えたいらしい。
騎士学校に通い成績の話から人となりまで聞かされた。

「それだけ優秀なら、王都でもあちこちからお声がかかっているでしょうな?」
と言えば黙ったのを見れば、

盛られている話なのだろう。
そもそも、騎士学校といえど実践の経験はほぼ役に立たない。

集団での防衛や進行をんだとして
魔の森とも恐れられる場所では荷物持ちにもなれんだろう。

同じ調子で、辺境の屋敷にも何か仕掛けているんだろうが。

ザルだな。
考えが足りん。

ただこいつらの後ろにいるのは、どれほどの者か?
それに、当主の情報が本物ならそれは聞き出さなければ。

今は耐える時。

屋敷に帰らなければと焦らされるが
余計に手も足も動かさん。

貴族院も巻き込んだ書類には
高位の貴族が関わっているのか、

簡単に手に入ると舐められているのか。


当主の不在による
風当たりの強さと勧誘じみた話はあった。

ここまで露骨な方法は久しくなかった

何か、動こうとしているのか?


交渉するも攻めあぐね、無用に時を過ごしてしまった。
そして、外界からの使者が辿り着く。


「ガイサス殿!」
家の者が止めるのも効きはしない。
セリュートからの増援だった。



「貿易街か。」

セリュートの婚約者


(あの子は女の子だぞ?)

誤魔化しセリュートという後継者の名前を名乗った影響だろう
しかし情報収集不足か、セリの仕込みが効いたのか。

冒険者たちに動いてもらい
交渉をすることにした。

屋敷も心配だが、受けて立ち徹底的に叩かねばこういう輩が湧いて出る。
私は目の前のことに集中せねばならないようだ。

援軍も送ってもらったのだ
ここで負けは、ない。


書類の問題は簡単だった。
後継者と認めた
持っていた印を使わせてもらった。
しかしそれはセリが逃げられないのと同意だ。

私は酷い事をしている


セリを追い出す結果になると知りつつ
私は、

当主を探すのをやめられないのだから。





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