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変化

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女性は物珍し気にゲストルームを眺めている。

男性はすぐに席に座った。
マナーと言っている割には横柄な態度だ。

貴族特有のものに
内心辟易するも顔には出さない。

今はセリュートなのだから。
執事とメイドが戻ってきた。

お茶が並べられる。
サディスがこそりと耳打ちした

「本物の貴族ではあるようです。王都で関係のあるご夫婦ですね。」

貴族を騙り、金を巻き上げる輩ではなさそうだが
何か面倒ごとの予感がする。

「当主代理としてお伺いします。」

「当主代理?未成年の君が、か。」

「ガイサスは今、不在ですので。」
こう言っておけば、すぐに帰ってくると思うかな?

実際は王都にいるのでしばらく帰らない。
この人たちが来ているのを知っているか知らないか?

追い出しても良いのかわからないので。客扱いになる。
招きたいタイプではないけど。

服装のゴテゴテ感。
お茶会にでもう呼ばれたのか装飾と動きずらさは
都会からきてやったと喧伝しているよう。視覚がうるさい。

腕は剣お素振りさえできなさそうだ。
槍も持っていられるか怪しい。

かと言って、文官ほど優秀さはない。
物言い的に。


と、まあ。端的に
『何しにきたの?呼んでもないのに?』

な態度が出そうだ。

先触れもなく、面識もない。
紹介状や手紙もないの?と少し待っているが
暢気にお茶とお菓子を摘む夫婦。


オイ、自己紹介くらいしろよ。

あ、もしかして私のが爵位が下だと思ってる?
下のものから挨拶が基本だったっけ。

家の上がり混んでおいてかぁ。
ここで私から挨拶したらサディスに怒られるわ!

奥さんの方が挨拶を促した。

「コーデル・ダイエル子爵だ。妻のアリエッサ。」
アリエッサさんは頭を下げてくれたが男の方は、その気無し。


爵位も下。
年齢とその鼻、気ぐらいかな

侮られてるなあ。

「セリュート・ヴェーネンです。本日の御用向きは?」

事務的な対応に切り替えた。

話をまとめると、
この屋敷に子供だけでは不安がある。
大人を寄越してやろうという

心遣いらしい。

面識がない、知らない人をですか?
当主補佐のガイサスおじさんからの話もない。」

怪しい。
がこんな所までお疲れ様。
旅慣れていないようだし、戦える雰囲気もない。

ここでお帰り願うのもまずい対応なので
時間を稼ぐことにした。

情報が足りない。

「宿泊の準備を。」
執事とメイドが出ていく。

当たり障りのない会話をし、
妙なお茶はアリエッサと紹介された妻しか喋らない。

男は興味なさ気に紅茶を啜る。

部屋の準備にそう時間はかからなかった。
冒険者とは別の場所だが掃除はしてある。

2人を案内させれば、執事とセリュートが部屋に残った。

「ガイサスおじさんに連絡をとって」
サディスに命令したセリュートは、もう一杯熱い紅茶をメイドに頼んだ。


妙な貴族が、乗り混んできたと溜息ものだった。
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