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落ちる時に、音が鳴る木の実を拾う。
カチカチと音を鳴らし合う2つ揃った硬い種子だ。

ひと粒のサイズは小指の先ほどで、
これなら矢にくくりつけても射れる重さだろう。

小さな実だけど
乾燥させても音がなるだろうか?
そもそも、魔物を引き寄せる音はどこの部分からおきるのか?


落ちる音で小さな魔物を引き寄せ
種を運ばせる木を見上げる。

“それぞれの知恵が張り巡らされ
戦いを繰り広げる森

その中に入なら警戒と
恵に感謝を持つこと“


前当主、祖父にあたる人の手帖の言葉を思い出した。


頼まれた薬草をほどほどに摘み
目的の実も手に入れた。
しかし、
もう少し散策する気分になったので

戻る途中に寄れる、
休憩場所を見に行くことにした。

有事の際に、ここを拠点にする。
行軍での休憩地点にもする開けた場所だ。

近くに川もあり、たまに通るのは
危険な魔物が出ない場所とされる。

たまに見回りが必要だとかでバリスもよく来ているらしい。

おっと魔物がうろついている。
ふごふごと木の根本で匂いを嗅いでいるようだ。
小さい?子供の魔物か。
親がどこかにいるかもしれない!

息を潜め、様子を伺う。

通りすがりか?
マーキングすることなく行ってしまったが

気をつけた方が良いかもしれない。
ここを巣にされると困る。警戒をした方が良いと進言しよう。


そう決め、他に異変がないか周り
川まで出て顔を洗う。

よし戻ろう。と決めて
順調に屋敷に戻れた。


時刻は昼頃。
ガイサスおじさんの手がしているかメイドに聞いてもらい
ささっと昼食えお補給した。

少しずつ話したら
矢の細工にとりかかろう。

ドムお爺ちゃんに相談してから
細工できた矢をバリスに見せよう。

良い助言が得られるかも。

「セリ様、執務室にご案内します。」
会えるようなので、残りの紅茶を飲み干し
ガイサスおじさんの所へ向かった。


報告の後
「位置はここか?」と地図を見せられる。
重要な情報のひとつで、地面の高低差までわかる精密なものだ。

ヴェーネン家で作って守っている情報らしい。

セリは、地図に指差して示した。
その場所に納得し、
「行軍で使うポイントだ。見回りを増やそう。」
「お願いします」

これで安心できる。
すぐに退出して、矢の方に意識が移ったセリだった。


その後の執務室…
「失礼します。」


地図を広げていたガイサスに近寄る執事。

「この地点の警戒を強めるぞ。巡回を確認してくれ」
「わかりました。」上官からの命令を受ける様子から

執事の顔になる。

「出過ぎたことと思いますが、いつまであの子をあのままに?」


意図を読もうとサディスの顔を見るガイサス。


「もう当主としての自覚を促しても良い時期でしょう?あのように自由にして…」

貴族の教育を施していないことを危惧している。

「自由ではないさ。我々が引き止めている。
彼女の行く道をな。」


それ以上、2人の話は進展しなかった。
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