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外出禁止も解けた。

森に行く頻度が高くなり、早朝浅いところを周ることもある。
それぞれ仕事に支障をきたすので、朝早いうちは誰かと行くわけにもいかず

誓約をして
セリュートの朝の習慣となった。

その誓約は、”体調の異変があれば、辞めること。“

「自分の体調管理をすること」というガイサスおじさんの言葉と、

「冒険者の資本は自分の体だ。いかなる時もって言いてえとこだが、
お前にはまだはやい!休める時に休めよ。」

とバリスに頭を撫で?振り回された。
首が少し痛い。

今日は、畑の見回りだけにしよう。

見かけたドムお爺ちゃんに手を振り、
鼠の魔物を仕留めようとした。

矢が外れる。


すばしっこい鼠の魔物は
矢を避ける。進行方向に射っても当たらない。

(どう避けているんだろう?)

目が見えていない筈だ。
夜の闇でも走り回るのに、薬で殺すしか方法がない
とドムお爺ちゃんも言っていた。


“魔物の特徴を観察しろ”

小さい体に矢を当てるのは難しいが、できなくはない。
避けられる理由を…?


木を避ける様子に、
直前じゃなく範囲があるのか?

止まっている鼠の近くに矢を射る。
タン!矢の到達前に逃げる

見えていないなら、感じている

『気配察知』というスキルのひとつだった。
自身を中心にドーム型の空間に入ればわかる能力


セリュートはその知識を知らず
観察でたどり着いた。


突破方法を考える。

気づく間合いに達した時に…

反応より速く射る?今の筋力じゃ無理だ。
混乱させる

どうやって?

何か工夫が必要だと分かった。


朝食を終えてから
書庫で魔物辞典を見る

聴覚は物の位置を音の反射で感じ取る。

音なら邪魔できないだろうか?他の音で。


矢が風を切る音
そこに何か足してみようと思った。

屋敷にある物を探す。

笛はつけると重い、だめだ。
私の弓矢の腕では射れなくなる。

切実に、筋肉が欲しくなった。

バリスに相談すると
「ああ?ネズミどもか。対策ぅ?

「天敵をテイムしても、次から次へと増えるんだよなあ。
低ランクの仕事にもあるぞ。

あ、対策な。
罠、鳥の魔物、薬草を植える、毒って程度だな!」

「弓矢で始末したい。」

「わざわざ?すぐ増えるけどなあ。
矢の細工で鳥の鳴き声みたいな音が出るのがあるらしい。
うちにはねーよ。

後は、魔力付与か?どっちも採算合わねえな。」

屋敷でも鼠の魔物はやっつけたいものらしい。

「装備にはが金かかる!
採れる素材ってのが儲けってもんだ」

“お金をかけない、工夫ってものもある”

がドムお爺ちゃんの教えだ。

森の地図を頭の中で展開する。
別に屋敷で探さなくても

森の恵を借りればいい。
枝を拾えば、即席の矢が作れて魚を獲れる。

何か


あの木の実をとってこようと決める。
「森の東のほうに行ってくる!」

「おう?あ、薬草とって来てくれ!これとこれな。」


ついでに用事を兼ねて動くのも大事だと、籠を持って出かけて行った。
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