【完結済み】当主代理ですが、実父に会った記憶がありません。

5-1

「よお。」

「あ」

朝方、
セリが薬草を換金しに来た冒険者ギルドにいたのは、バリスだった。
買い出しにこの町に来たようで、ラフだが装備をしている格好。

いつも通りの様子にいつもの調子で声をかけることができた。
「元気？」

「まあな。メインの夕食のオーダーが入らなくてな。時間が余ってる」

セリュートの食事がいらないせいかそんな事を言うが、
出かける時は言って出たからな
食材は余らないようにしてくれただろう

腕の良い料理長だから。

この再会というには仰々しいが、戻る頃合いかと察する。
ぐしぐしとバリスに頭を撫でられセリはそう思った。


「乗ってくか？」と馬車をさすに、
「いや、馬で戻るよ」馬で並走する旨を伝えた。

その前にとばかりに、バリスに冒険者ギルドの受付に連れてかれる。
「カードは作れないが、適性を見とけ」
と顔を覚えたお姉さんに、話しかけすぐに水晶玉に手を乗せ

“水属性”の魔法に適性があると知れた。

“給水魔法”と言われる初級パーティで1人はいた方が良い魔法。
魔道具を買えれば、お役御免の中級パーティに入らないという中途半端さは、
攻撃が強い訳でもない

『微妙と冒険者内で言われる属性。』とセリは知っていた。

しかし、
魔導具とは相性が良く、制御を学ぶのに良い属性と初期の魔法の練習に使われる。


セリュートにとっては良かったかもしれない。
ヴェーネン家は水属性が優位だ。魔法が得意な後方支援の位置づけでもある。

それ故に攻撃手段がないとも言われるが。

セリにとっては微妙だ
攻撃の決定打ない。今後は、
遠距離の弓矢を工夫する方面に伸ばす事になるだろう。


魔法付与されたアクセサリーを使うことも考える

バリスの買い出しの手伝いをして、泊めてもらっていた孤児院へ向かう。

教会のシスターにお暇を告げる。荷物は全部持っているため子供達に挨拶せず出ていく。
お礼に、手持ちのお金で買った香辛料を渡しておいた。
スープに合うだろうと先ほど買ったものだ。

バリスが寄進をしているのを見る。大人の挨拶が交わされて、

これで
家出の終わりを意味していた。


バリスの時間があるらしいので、
武器屋に寄って武器の相談をした

素振りしている片手剣は重く、森では使いづらいと言えば
ナイフを薦められた。使い方を教えてもらう約束も忘れない。

微弱だが風の付与のあるダガーナイフなど
近距離や離脱用のものを検討しつつ、

煙玉を見た。
この単純なものなら作れそうだ。

今のセリに必要と考える物は、
攻撃手段を増やす
状態異常を狙う
逃げるための一手

単独では考えなかった
誰かを逃す手段や共闘の方法を考えるようになった。

今回の学びのひとつだ。

偶然に会ったり、
冒険者登録できる年齢になるまで準備がしたい
という気持ちが湧いていた。

バリスに冒険者時代のことを聞きながら
街道を進む。

途中鳥の魔物が鬱陶しかったので
弓矢で追い払った

「腕上がったじゃねーか」
褒められ、気を良くする。



屋敷へ着けば、

「お帰りなさいませ」

怒ってるとは一見わからないだろう、専属執事の出迎え。
「セリ様、執務室へどうぞ？」強制連行。



「しばらくは屋敷にいるように」

「はい」

という会話で執務室の会話は終わった。


しばらくは大人しく、庭の散歩で止める。



他の職業というものに興味を持ったセリ、7歳だった。