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時は流れ

「入園おめでとう」

「学園での入学パーティとは。さすが王都の学園ね。」


私、アンネは8歳になっていた。入学して来た7歳の彼が、何人か目の彼女を横に連れている。

「貴女の婚約って破棄されたのかしら?」
「まだだったと記憶してる。一年先輩で、迎える場面でなければ顔も合わせたくない。」

関係悪化していたまま。


「俺は、アンネとの婚約を破棄する!」

先生のお祝いの言葉の直後、乱入して言い放った」


「やらかしたわね」
「こんなところで。」


今日の主役は、新入生でこのバカな婚約者も入るけど。
「俺は真実の愛目覚めたんだ!」

婚約者である私への当て付けのために舞台へ上がるとは。酷い振る舞い。

「運命?のじゃあ、私とは偽物の愛だったのね。」

少々、悲しげにする

「大丈夫?」
「その方が味方が多いので。」

伯爵令嬢を騙せるくらい、私は演技派のようだ。

「婚約破棄は承諾致しますが、私の父と貴方の父上との契約もあるでしょう。
ここでの発表は甚だ疑問ですが、お受け致しますので舞台から降りてください。」

“何トンチンカンな事を

反対しないし、惜しいとも思わない関係だから

ささっと消えてください。マナーしらずな男。”


この学園に貴族的な言い方をわからない者はいない。

嘲笑う声、私の言いようはウケた様子だ。入学式の座興みたいになったけど、私を哀れな女にはしない。
堂々と、言い負かすのも強さ、貴族の嗜みだ。


「あのっ彼を責めないでください!」

「責めているように、聞こえましたか?」

隣にいた女生徒が口をはさんだ。
“あんな口撃程度でやられる男なのか”言う意味だ。

「わたしのせいなんです。わたしが彼を好きになったから。」


意味が通じなかったらしい。
誰だろう、この子。

「子爵家に養女に入った令嬢ですわ。」

友人が知っていた。伯爵令嬢って記憶力も情報もすごいのね。


「私、興味がないから貴女の事を知らないのですけど。」
「ひどいわ!彼の事好きだからって、意地悪言って。」


「今の言葉のどこが酷いんですか?」
「子爵家だからって、いじめるんでしょう?」

「話になりません。誰か、通訳してもらえませんか?」
「ちゃんと話してるじゃないですか!わたしとは話さないって事ですか?!」

「待ちなさい。別室で話を聞こう。」
流石に教師が入った。別室で話す様子。


「私も必要でしょうか?」

「いいや、あの子だけで良いよ。前から発言が変な子でね。被害妄想気味なのが。
今回は、指導をしっかりするので、気に病まないようにな。」


「そういえば、婚約破棄を発表されたのでした。」
「アンネ、ついでのように言ってますが。醜聞にならないでしょうか?」

「大丈夫なように手はうっておきます。私の手落ちではないので心配いりませんよ。」
「頼りになりますわね。なぜあの婚約者がアンネの相手だったのでしょうか」


「私にもわかりません。偶然、たまたまなんでしょう。」

妙なイベントになってしまったが、無事終わった。
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