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「嬉しい?」
「うん」

「早々に婚約者が決めれるとはなあ。パパ悲しい!」
「女の子だからお嫁に行っちゃうわよ。」

「けどっ婿をとって、ずっと家に居てくれるって可能性も!」
「そのうち、パパが嫌いって時期がくるわよ」

「そんな」

「お父様」

「アンネ、まだお父様好きだよね?」

「お部屋に帰ってます。」

「アンネー!!」

後ろから聞こえるお父様の声。お母様に任せるのが一番だわと部屋に戻った。


「今日は、お休みの日だから出された宿題をしないと。」

『立派な淑女は一日にしてならずで御座いますよ』

「先生の言う通りだわ。お茶会にお呼ばれしているし、大人の方と話す機会も増えるもの。」


「お嬢様はご立派ですわ。しっかり休憩なさるのも必要な事ですわ。」

「わかったわ。」


そうして胸に引っかかっている事が口に出てしまった。


「他になんて…」
「どうされましたお嬢様。」


「婚約者が決まって嬉しいかって、はいの他になんて答えるのが正解かしら?」

「メイドとしてお喜び申し上げるところですが…マーサはお早い決定ですねと思うばかりです。」

「令嬢としては、喜ばしいのよね?」

「ええ。長い間の交流ができれば、その後も心穏やかに過ごせるでしょう。」

「そう。私、恋愛はしないでしょうね。」


「特別、必要とするものでもありません。」

「そうなの。お母様の本では、女の子はみんな恋に落ちるらしいわ。穴に落ちるのかしら?」

「お嬢様、物の例えでございますよ。必ず落ちる物でもありませんし。劇のような波乱に満ちたものもなかなかない物です。」


「そうなのね。まあ、このヒロインのようにはなりたいと思わないけど。」


『王子様、私は愛のために皆さんに助けてもらってここまで来ました。

ですが、私の愛を受け取ってはくださらないのですね。この涙も、伸ばした手とってくださらないなんて。
貴方は非情な方です!私は貴方を愛しているのに。どうしたら伝わるのですか?』


「そして、氷の王子様の心を溶かすんだけど。まず王族に女学生が愛の告白?
泣いてからって、手を取る立場じゃないし、なんで他の子息も手伝ったの。招待状もない女学生なのに。」


「お話として作られているから、変だなって事があるのよ。」

「楽しいんですか?」

「んー。学生生活というのが面白い設定かな。流行っているからって貸してくれたけど。
ちょっと女学生に同情できないかしら。」

「招待状もないのに、パーティへ行くのは失礼ですよね」

「そうね、ルールを守るのは必要よ。」


私はひとつ、賢くなったのです。
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