2 / 2
そんな事ある?
しおりを挟む
「ああ、お前さんも出てくんか。」
「うん。出てけって言われたからね。」
「なんか食ってけ。」
そう言って、コックはスープを火にかけて温めてくれる。
アタシとってはラッキーだ。
少し夜食の時間には早いけど、隣の宿舎に帰って荷物をまとめて。
朝には、家に帰ろう。
今いる若い方の執事とは仲が良くないけど、メイドの何人かは挨拶がしたい。
会いたくないのもいるが、出て行くんだ。嫌味くらい受けてやるさ。
やっとどうするか決められて、落ち着いて腰掛ける。
なんとなしに、キッチンを眺める。
火のついたカマド、コックは減りがらんと寂しいがあの頃を思い出せる。
そして火の近くのカゴに違和感を感じよく見ると
坊ちゃんがいた。
冷たいキッチンに一人で?
「なんでえ?坊ちゃんがこんなとこに??」
「ああ、子供部屋を暖めるのに薪をケチっててな。
あそこよりは寒くないと思って、ここにいる。」
「赤子が?乳母は?」
「婆さんは帰っている。お世話係は女の方のがご褒美が良いらしくてな。」
「信じられない!こんな寒い日に、火がないのっ!」
冷え込む部屋に、火がないのはツラい。
温かいスープを飲みながら考えた。
ここも夜食を作り終えたら、火を落とさなければならない。
「一緒にくる?」
私の部屋のが、暖かい。何より一人にしたくなかった。
勝手に連れてったら、誘拐だ。でも
「あ~う」
承諾は得た。
懐にいれれば、2人も温かいよ。
暖かくして眠った翌朝、出て行く前にアタシは密かにメイド長にお願いされて
奥様のご実家まで現状を知らせに行くことになった。
その時は、アタシの家で坊ちゃんは過ごしてもらったよ。
温かいし、母さんが赤子に世話はできて近所の目もあって安全だ。
それでやっと、職場環境が正された。
アタシは坊ちゃんのお世話係になって、メイド見習いとして頑張っている。
「幸せな職場だ。」
コックとそう話して、アタシは坊ちゃんにおやつを持って行くのでした。
「うん。出てけって言われたからね。」
「なんか食ってけ。」
そう言って、コックはスープを火にかけて温めてくれる。
アタシとってはラッキーだ。
少し夜食の時間には早いけど、隣の宿舎に帰って荷物をまとめて。
朝には、家に帰ろう。
今いる若い方の執事とは仲が良くないけど、メイドの何人かは挨拶がしたい。
会いたくないのもいるが、出て行くんだ。嫌味くらい受けてやるさ。
やっとどうするか決められて、落ち着いて腰掛ける。
なんとなしに、キッチンを眺める。
火のついたカマド、コックは減りがらんと寂しいがあの頃を思い出せる。
そして火の近くのカゴに違和感を感じよく見ると
坊ちゃんがいた。
冷たいキッチンに一人で?
「なんでえ?坊ちゃんがこんなとこに??」
「ああ、子供部屋を暖めるのに薪をケチっててな。
あそこよりは寒くないと思って、ここにいる。」
「赤子が?乳母は?」
「婆さんは帰っている。お世話係は女の方のがご褒美が良いらしくてな。」
「信じられない!こんな寒い日に、火がないのっ!」
冷え込む部屋に、火がないのはツラい。
温かいスープを飲みながら考えた。
ここも夜食を作り終えたら、火を落とさなければならない。
「一緒にくる?」
私の部屋のが、暖かい。何より一人にしたくなかった。
勝手に連れてったら、誘拐だ。でも
「あ~う」
承諾は得た。
懐にいれれば、2人も温かいよ。
暖かくして眠った翌朝、出て行く前にアタシは密かにメイド長にお願いされて
奥様のご実家まで現状を知らせに行くことになった。
その時は、アタシの家で坊ちゃんは過ごしてもらったよ。
温かいし、母さんが赤子に世話はできて近所の目もあって安全だ。
それでやっと、職場環境が正された。
アタシは坊ちゃんのお世話係になって、メイド見習いとして頑張っている。
「幸せな職場だ。」
コックとそう話して、アタシは坊ちゃんにおやつを持って行くのでした。
11
お気に入りに追加
28
この作品の感想を投稿する
あなたにおすすめの小説
あなたのことを忘れない日はなかった。
仏白目
恋愛
ノウス子爵家には2人の娘がいる
しっかり者の20歳の長女サエラが入婿をとり子爵家を継いだ、
相手はトーリー伯爵家の三男、ウィルテル20歳 学園では同級生だつた とはいえ恋愛結婚ではなく、立派な政略結婚お互いに恋心はまだ存在していないが、お互いに夫婦として仲良くやって行けると思っていた。 結婚するまでは・・・
ノウス子爵家で一緒に生活する様になると
ウィルテルはサエラの妹のリリアンに気があるようで・・・
*作者ご都合主義の世界観でのフィクションでございます。

【完結】美しい家庭教師を女主人にはしません、私は短剣をその女に向けたわ。
BBやっこ
恋愛
私は結婚している。子供は息子と娘がいる。
夫は、軍の上層部で高級取りだ。こう羅列すると幸せの自慢のようだ。実際、恋愛結婚で情熱的に始まった結婚生活。幸せだった。もう過去形。
家では、子供たちが家庭教師から勉強を習っている。夫はその若い美しい家庭教師に心を奪われている。
私は、もうここでは無価値になっていた。


王子に婚約破棄され生贄になった私ですが、人外愛されスキルで神様の花嫁になれました。
coco
恋愛
王子により婚約破棄され、生贄になった私。
愛人の聖女の代わりに、この国の神に捧げられるのだ。
「お前など、神に喰われてしまえ!」
そうあなたたちは言うけど…それは大丈夫だと思います。
だって私には、人外愛されスキルがあるんだから。
昔から何故か人には嫌われるけど、不思議なものには愛されてた。
だから生贄になっても、きっと幸せになれるはず─。

貧乏子爵令嬢ですが、愛人にならないなら家を潰すと脅されました。それは困る!
よーこ
恋愛
図書室での読書が大好きな子爵令嬢。
ところが最近、図書室で騒ぐ令嬢が現れた。
その令嬢の目的は一人の見目の良い伯爵令息で……。
短編です。

【コミカライズ】今夜中に婚約破棄してもらわナイト
待鳥園子
恋愛
気がつけば私、悪役令嬢に転生してしまったらしい。
不幸なことに記憶を取り戻したのが、なんと断罪不可避の婚約破棄される予定の、その日の朝だった!
けど、後日談に書かれていた悪役令嬢の末路は珍しくぬるい。都会好きで派手好きな彼女はヒロインをいじめた罰として、都会を離れて静かな田舎で暮らすことになるだけ。
前世から筋金入りの陰キャな私は、華やかな社交界なんか興味ないし、のんびり田舎暮らしも悪くない。罰でもなく、単なるご褒美。文句など一言も言わずに、潔く婚約破棄されましょう。
……えっ! ヒロインも探しているし、私の婚約者会場に不在なんだけど……私と婚約破棄する予定の王子様、どこに行ったのか、誰か知りませんか?!
♡コミカライズされることになりました。詳細は追って発表いたします。

【完結】「お前を愛することはない」と言われましたが借金返済の為にクズな旦那様に嫁ぎました
華抹茶
恋愛
度重なる不運により領地が大打撃を受け、復興するも被害が大きすぎて家は多額の借金を作ってしまい没落寸前まで追い込まれた。そんな時その借金を肩代わりするために申し込まれた縁談を受けることに。
「私はお前を愛することはない。これは契約結婚だ」
「…かしこまりました」
初めての顔合わせの日、開口一番そう言われて私はニコラーク伯爵家へと嫁ぐことになった。
そしてわずか1週間後、結婚式なんて挙げることもなく籍だけを入れて、私―アメリア・リンジーは身一つで伯爵家へと移った。
※なろうさんでも公開しています。

実在しないのかもしれない
真朱
恋愛
実家の小さい商会を仕切っているロゼリエに、お見合いの話が舞い込んだ。相手は大きな商会を営む伯爵家のご嫡男。が、お見合いの席に相手はいなかった。「極度の人見知りのため、直接顔を見せることが難しい」なんて無茶な理由でいつまでも逃げ回る伯爵家。お見合い相手とやら、もしかして実在しない・・・?
※異世界か不明ですが、中世ヨーロッパ風の架空の国のお話です。
※細かく設定しておりませんので、何でもあり・ご都合主義をご容赦ください。
※内輪でドタバタしてるだけの、高い山も深い谷もない平和なお話です。何かすみません。
ユーザ登録のメリット
- 毎日¥0対象作品が毎日1話無料!
- お気に入り登録で最新話を見逃さない!
- しおり機能で小説の続きが読みやすい!
1~3分で完了!
無料でユーザ登録する
すでにユーザの方はログイン
閉じる