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顔を洗い、自身の顔を見る。


心から笑ったのは、いるだったか。もう遠く昔のような気がする。
私は、いつもの微笑みをして鏡の前から退いた。


隙を見せず、いつも毅然と余裕を。

次期王太子妃の教育は、そう私に教え込んだ。


この、どろっとした疲れはなんだろう。
怠堕で足はいつも通りに進む。そこには意識は消え、いつも通りにと言葉を繰り返す。

呪いになっている。

私を動かすのは、何だろうか?

王に、王妃。婚約者である王太子妃。

駒を動かすが如く、私が王太子妃になった。一番、条件が良かったからだ。

それを光栄に思えという事らしい。
ただ義務として、仕事として受け入れていたけど。

「もう無理ね。」

私だけでは手に負えないから。
せっかくの王妃教育を、最期に使って終わりにしましょう。

私が駒を、いえ私が動いて終盤にするの。


さしずめ、王妃になり損なった女。


いいえ。王妃にならなかった私よ。
私はそう決めたから。
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