妖精の末路 

BBやっこ

文字の大きさ
上 下
2 / 6

家の妖精

しおりを挟む
「どうして?彼を好きになっただけなのに」

『泣かないで』
『悲しまないで』


家で女の子が涙し、妖精が慰めます。

お屋敷で「魔女だ!」と大人に言われた後、家に逃げ帰りました。
それから男の子とは会えず、仕事もさせてもらえません。

それどころか、「この町から出て行け」と言われています。

女の子には身寄りがおらず、天涯孤独の身です。

「何処に行けっていうのかしら?」

そう呟くように女の子が言うと、妖精達が騒がしくなります。

『出て行っちゃうの?』
『なんで?』
『行っちゃ嫌だ!』

『ここに居て』

女の子は困ってしまいます。
長く住んだこの家に思い入れはありますが、仕事がなければ

食べていけないのです。

そんな時、

「どなたかいらっしゃいますか?」

現れたのは、お屋敷に来ていた大人の1人です。
すっぽり身体が隠れるローブを来ています。

フードをとると、優しげなお爺さんでした。

「こんにちは、お嬢さん。少々お庭を見せてもらえませんか?」

その後ろには、お屋敷のメイドをしているおばさんがいました。
追い返すわけにもいかず、家に招きます。


「おや、妖精がたくさんいるね。居心地が良いのかな?」

お爺さんには妖精が見えるようです。
メイドのおばさんにお茶を出し、お爺さんにも勧めます。


「お嬢さんは妖精と仲が良いのかね?」
周りの皆は妖精が見えないので、妖精たちの話をするには初めてです。

「はい。いつも話し相手になってくれます。」

「そうか。では妖精の悪戯に悩まされていないかね?」

「悪戯ですか?」

お菓子を食べてしまったり、飲もうとしたお茶に花が浮いていたりとちょっとした悪戯
はあるものも、お爺さんの深刻な顔に黙ってしまいます。

「妖精は人とは違う。付き合い方は考えたほうが良い。」

そう言い残して、帰ってしまいました。
メイドのおばさんは、様子を見にきてくれたようですが


仕事はまだ休んでいるように言われてしまいます。
夕食のおかずを届けてくれたのでお礼を言って、別れました。


「これからどうしよう?」

誰も居なくなった部屋で女の子が呟きます。
仕事を変えなければならのでしょうか?

町を出ていくことになったら…。



『なら、何処へも行けなくなれば良いよ』


女の子の足が、動かなくなりました。


しおりを挟む

あなたにおすすめの小説

校長室のソファの染みを知っていますか?

フルーツパフェ
大衆娯楽
校長室ならば必ず置かれている黒いソファ。 しかしそれが何のために置かれているのか、考えたことはあるだろうか。 座面にこびりついた幾つもの染みが、その真実を物語る

エロ・ファンタジー

フルーツパフェ
大衆娯楽
 物事は上手くいかない。  それは異世界でも同じこと。  夢と好奇心に溢れる異世界の少女達は、恥辱に塗れた現実を味わうことになる。

マッサージ師にそれっぽい理由をつけられて、乳首とクリトリスをいっぱい弄られた後、ちゃっかり手マンされていっぱい潮吹きしながらイッちゃう女の子

ちひろ
恋愛
マッサージ師にそれっぽい理由をつけられて、乳首とクリトリスをいっぱい弄られた後、ちゃっかり手マンされていっぱい潮吹きしながらイッちゃう女の子の話。 Fantiaでは他にもえっちなお話を書いてます。よかったら遊びに来てね。

女子高生は卒業間近の先輩に告白する。全裸で。

矢木羽研
恋愛
図書委員の女子高生(小柄ちっぱい眼鏡)が、卒業間近の先輩男子に告白します。全裸で。 女の子が裸になるだけの話。それ以上の行為はありません。 取って付けたようなバレンタインネタあり。 カクヨムでも同内容で公開しています。

おっとりドンの童歌

花田 一劫
児童書・童話
いつもおっとりしているドン(道明寺僚) が、通学途中で暴走車に引かれてしまった。 意識を失い気が付くと、この世では見たことのない奇妙な部屋の中。 「どこ。どこ。ここはどこ?」と自問していたら、こっちに雀が近づいて来た。 なんと、その雀は歌をうたい狂ったように踊って(跳ねて)いた。 「チュン。チュン。はあ~。らっせーら。らっせいら。らせらせ、らせーら。」と。 その雀が言うことには、ドンが死んだことを(津軽弁や古いギャグを交えて)伝えに来た者だという。 道明寺が下の世界を覗くと、テレビのドラマで観た昔話の風景のようだった。 その中には、自分と瓜二つのドン助や同級生の瓜二つのハナちゃん、ヤーミ、イート、ヨウカイ、カトッぺがいた。 みんながいる村では、ヌエという妖怪がいた。 ヌエとは、顔は鬼、身体は熊、虎の手や足をもち、何とシッポの先に大蛇の頭がついてあり、人を食べる恐ろしい妖怪のことだった。 ある時、ハナちゃんがヌエに攫われて、ドン助とヤーミでヌエを退治に行くことになるが、天界からドラマを観るように楽しんで鑑賞していた道明寺だったが、道明寺の体は消え、意識はドン助の体と同化していった。 ドン助とヤーミは、ハナちゃんを救出できたのか?恐ろしいヌエは退治できたのか?

蘇生魔法を授かった僕は戦闘不能の前衛(♀)を何度も復活させる

フルーツパフェ
大衆娯楽
 転移した異世界で唯一、蘇生魔法を授かった僕。  一緒にパーティーを組めば絶対に死ぬ(死んだままになる)ことがない。  そんな口コミがいつの間にか広まって、同じく異世界転移した同業者(多くは女子)から引っ張りだこに!  寛容な僕は彼女達の申し出に快諾するが条件が一つだけ。 ――実は僕、他の戦闘スキルは皆無なんです  そういうわけでパーティーメンバーが前衛に立って死ぬ気で僕を守ることになる。  大丈夫、一度死んでも蘇生魔法で復活させてあげるから。  相互利益はあるはずなのに、どこか鬼畜な匂いがするファンタジー、ここに開幕。      

【完結】病院なんていきたくない

仲 奈華 (nakanaka)
児童書・童話
病院なんていきたくない。 4歳のリナは涙を流しながら、なんとかお母さんへ伝えようとした。 お母さんはいつも忙しそう。 だから、言う通りにしないといけない。 お父さんは仕事で家にいない。 だから迷惑をかけたらいけない。 お婆さんはいつもイライラしている。 仕事で忙しい両親に変わって育児と家事をしているからだ。 苦しくて苦しくて息ができない。 周囲は真っ暗なのに咳がひどくて眠れない。 リナは暗闇の中、洗面器を持って座っている。 目の前の布団には、お母さんと弟が眠っている。 起こしたらダメだと、出来るだけ咳を抑えようとする。 だけど激しくむせ込み、吐いてしまった。 晩御飯で食べたお粥が全部出る。 だけど、咳は治らない。 涙を流しながら、喉の痛みが少しでも減るようにむせ続ける。

RUBBER LADY 屈辱の性奴隷調教

RUBBER LADY
ファンタジー
RUBBER LADYが活躍するストーリーの続編です

処理中です...