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3人の王子様

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精霊の守る土地では、
自然に囲まれ、人々に気まぐれに恵みを与える存在が信じられていた。

そんな土地のひとつには、
土地の精霊と共に、そこを治める王の一族がいた。

当代は3人の男児がいる。

それぞれが精霊の祝福を受け、魔物の脅威から民を守り、
森の恵みを人々に届け、常人には見えない存在と仲睦まじく暮らしている。

森の中に建てられた屋敷があり、
その裾にあたる町では、商いが盛んに行われ領土が栄えていった。

その恵みに嫉妬し
欲に塗れた心で土地を奪おうとした者達は、土地の精霊に拒絶される。
精霊に嫌われれば、他の存在にも遠巻きにされた。

精霊に愛される者と、他の存在を害さない人間だけが恩恵を受けられる。

そんな王の子たちは、今、
王妃を求めていた。

3人の王の子

土地の精霊に愛され、王族に愛される女を王妃とする。
王の子供達は、精霊に告げられた言葉に添うような女を探している。


この土地の精霊は、人が好きだ。
あきないを活発にし、人の営みを感じるのが好き。

森の恵みが配られ、皆が笑顔になるのが好き。

その好意は、裏切られたと感じることがあれば
苛烈なほどの怒りを見せる。

人外となれば、ことわりも違う
その差を埋めるように、交流を持つのが王の一族だったのだ。

精霊は歌を好んだ。
踊りを好み、祭りを楽しんだ。
恋の歌を聞いた、幸せと子の成長を殊の外、嬉しいと言った。

穏やかなこの土地の精霊は、王の一族と仲睦まじく過ごしていた。

王の“裏切り”があるまで。

前の王は、精霊を怒らせた。
妃を不幸にして、彼女の涙が流れた。

いなくなった女と、別の女を受け入れた王。
その事を認めない精霊。

恋を見た、祝福した。子が生まれ成長した。
王が他の女を迎え入れた…


なぜ王妃ではないのか?
精霊に愛された女。愛しく守ってきた妃。

他の女など、受け入れられるものか!!

王は怒りを浴び、の土地を追放された。
女とともに、生まれた土地を去った。

その後、
血を継ぐ3人が王の役目を負う。
土地の精霊に認められ、森の中にの屋敷に住んでいる。

森に接する、領主とも王とも言われる血族。
精霊と共に生きる彼らは、成長し縁談が舞い込むようになる。

“我らが迎え入れる妃となる女は、精霊に愛される者だ。”

そのような女は、なかなか現れなかった。

時は過ぎ、

異世界から来たという女がいた。
精霊の導きできたと思われる、怪しげな人物。
「婚活中に日本から来た」と訴える見たことのない服を着た人物が、

精霊の泉に立つ。
それを迎えたのは、3人の王子たち。


長兄は武力を奮い、土地を魔物から守る。

次兄は知力で、人を治め森の恵みを管理する。

末っ子は次代の王に必要な力を担えよと、
精霊や気まぐれな隣人と会話する。

王妃は精霊に愛される者
そして王族から愛される女。

そんな土地のお話。
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