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やるのよ、命令よ!

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「身代わり作戦よ」

「わたしですか。」

淑女教育用のドレスを着たティンがいた。

「今日の婚約者との交流の時間に、貴女が代わりに会いに行くの!
反応を引き出しなさい」

「無反応ですからね。」

お茶の時間に
挨拶はしている。

2人には礼儀正しいとうつっているんだろうが。

「お父様から聞いた話だと、
活発でやんちゃなくらい

あたしには照れてるって。

まあ?あたしの美しさに声も出ないと

親交を深められない。

お母様は女の子の方の
だんまり相手に口を割らせないと!


「良かったです、薪で殴ると言い出さなくて。」

割ると殴るを混同させていて

殴るのね?やり返すわよ!

と涙目で薪を持っていた姿が強烈だった。


やんちゃな令息の売り言葉を買った形だったが。
それから、武器として扇の扱い方をマスターしつつある。


令嬢教育

お母様に褒められている。

「あたしは、扇の使い方が堂に入っている!って褒められたけどね?

オーホッホッ!」

「お似合いです。」

と正直に言った。



庭にて。

お茶会の準備を他の子に頼み

「お姉様から頼まれごとがありまして、お願いできますか?」

で、「大変ね」と笑って変わってくれた。

良い使用人の方達ばかりだ。


その婚約者は、“網にかかった”。


「君可愛いね?」


ナンパされた。





「あの男、あたしの前じゃなければあんなの、なの?」

庭を探索していた風のティンに、声をかけまくっている。
正直、ひく。

「侯爵家を背負って立つんだ。」


(あんたは次男だし、婿養子でしょう?)

「恋人のキープをしておこないと僕なんて、優良株だよ!」


ティンが扇で、隠れていたあたしに今の気持ちを伝えてくる。

『ナイ、です』

「同意見」
頷いたあたしの出番に、生垣から飛び出した。


「そこまでよ!」

葉っぱが頭にあろうと決めポーズはバッチリだ。

ティンがささっと葉っぱをとり、少々乱れたドレスも整えた。
(これぞメイドスキル)日頃の鍛錬の賜物だ


「よくまわる口じゃない?
あたしとのお茶会は、あんだけダンマリだったのにねー?」


セリフも顔も、悪役だった。

婚約者(笑)は膝が震えながらも、口を開く

「こんな可愛い子を隠してたのか!彼女との婚約が良い」

口をずっと、開かなくてよかったのに。
ちっと舌打ちをした。


「妹分よ!遠縁なのっあんたなんかにやるかっ!」

大声の押収に、他の家人が様子を見にくる。
側に立ってタイミングをはかるも

言い合いだけのようなので、遠巻きだ。

どちらかが呼ばれるまで、まだかかりそう。
ティンの腕を掴んだ。

“淑女の腕を掴むとは何事か?!”


「ガツン!とやっておしまい!!

お姉様の許可があったので、扇で拒絶する。
「チャラい男は嫌ですの」

ニッコリと淑女の笑顔が教育の賜物だった。

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