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城の重鎮は、あの若い男を引き止める策を立てていた。

姫が気にいる男がやっと現れたと気合いが入る

右大臣と左大臣
「皇女様が気に入る若い男が現れないものか。」
「年下の可愛い男が良いとは、どういう男なんだか。」

ギルド長に聞き出そう。

このギルド長、質問に答えつつギルドの利になるように、
話を展開して行く。なかなかの収穫だったのでゼルの意向は守るように動く。

結婚したいと成人した男でしてね

そういう根性のある若者を是非城で召し上げたい。

しかし彼の依頼を見ると、城勤めには向かないですなあ。
冒険者にしては、落ち着いているのですが身軽さが強みでしてね


やはり姫のおめがねに叶うだけはあるのだな

彼の奥さんも良い方らしく、落ち着いた
早速の登録をしたいと


なんとか、お偉方に諦めさせようと説得したが
効果はあったかわからない。やらないよりマシだっただろう。

情報がなかったから強制した
となれば、皇女様の威光にも差し障る。


ごっついおっさん兵士に勧誘され近寄られ、僻地したゼルは案内された部屋でへばっていた。

「どーするよ」
「城勤めだぞ?」

金払いが良いが、規則は厳しい。そもそも、城勤めなんて考えたことない。
森で、その恵みを受けて生きていきたい。アンナと一緒に。

「オレは冒険者でいる!」

「別に、冒険者しながら雇ってもらうとかできるんじゃないか?」
「気に入られたんなら、できるかもなあ。」

「あの服着て過ごすんだぞ?」

邪魔そうな装飾をつけた兵士の服。
丸っこい男たちが酒に肴にと食事をしている姿は、パツンパツンの丸い男達。

「卵みたいだな」
突けば転がりそうな体系で、かためて置いてあったのを思い出した。


城勤めになったらと盛り上がる2人に本音をこぼす。

「雇われるなんて、面倒そうだ」
「お前狙いだろ?」

ゼルが熱心に誘われていたのには気づいている。

「オレには、アンナがいるの!」

結婚させたいみたいな話も出された。勝手に決めようとしやがって。
ギルド長は媚び売ってやがるから、味方かといえば疑問だ。

オレが供物になっちまう?


「逃げちまおうか。」
「酒飲んで、退散しようぜ。」

「堅苦しいのは性に合わんな。」

でも酒は飲むらしい。ちょうど良い、撹乱してもらうか。
それぞれ案がないか聞いた。

「ただ酒が飲めるっつって冒険者を呼び込む。」
「やってくれ」

「じゃ、オッサン共は任せて今回参加したやつにも話を通すか。」
「城勤めしたい奴もいるかもな。」

「いや。物珍しいからで、来るだろ。」


混乱と騒ぎに紛れて、ゼルは出て行くことにした。
残るんなら勝手にやってくれ。


オレは、食事を準備しているところにさりげなく寄って
大勢くるらしいと噂話として広めた。

ついでに、城で必要になる木の実とかキノコを聞く。
そのうち城への依頼も受けるかもな。



夜まで待った。


庭の木に隠れて捕まらないようにして過ごし、
どんどん冒険者がきたら決行した。


ひとりの冒険者が
「帰ります」と手紙とも言えないメモを置いて、消えた。
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