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願い
この時間だけ
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迎えに来れば、
待っていた番が花咲くように笑う。
俺を待つ姿も良い。
常に側に居たいが、それももう少しの辛抱だ。
時間を奪っては嫌われる。
興味が色んなとこに向く時期だとはいえ、少々もどかしい。
俺のことばかり考えてはくれないが。
それでも俺に向く感情が
俺に向けてくれるその眼差しが嬉しい。
手を繋ぐ
もどかしい距離も番が“嬉しい”と伝えてくる手は心地よいもんだな。
本能は、唇を奪ってさっさと巣に篭りたいんだが。
キスできない今も。
この時間だけのものと思えば、受け入れられる。
俺の理性に我慢も強いるが。
今日くらい、夜は俺との時間になるんじゃないか?
香るような番の成長に、変な虫がつきたしないかと気がきじゃない。
あの犬、ちゃんと護衛できてんだろうな?
ふいっと視線の先にいた犬(狼と言わなきゃ怒るが知るか)はこっちを見たが、
すぐに視線を外した。
俺と番の時間だからな!良い判断だ。
さっさと借りている家に先に進んで行った姿を見送る。
のんびり、陽が沈んできた道を
人通りもなく木々が風でざわめく。
強まった手の力に、寒いのか不安を感じたのか
わからないが、指を絡め握りなおした。
向ける顔には、驚きと狼狽え。
自然と、距離が少し開けられてしまった。
嫌がっている反応ではないがな?
視線を送ってもこちらを見ない。
繋いでいた手の甲にキスする
バッ!と振り返った番の、驚く顔も可愛い。
歩くスピードが速くなったが、巣にすぐ着くのも良いだろう。
俺の忍耐は、番の前ではペラペラですぐに破けるくらいだからな。
早く暴きたい気持ちもあるが
のんびり歩調を合わせ、同じ方向に歩いていく。
待っている狼が見える。
てめえで開けれるだろうに。
その気はないようだ。
アイツへ番の意識がいったのが気に入らない。
素早く、番を抱き上げとっとと扉を開ける。
先に入った狼など知らないが、番をそのまま扉をくぐった。
何故か赤面の番。
(結婚した後住居に抱き上げて入る風習があるんだとか、俺は知らねえが)
潤んだ瞳に、つい唇を合わせるキスをする。
プシューと音がなりそうな蹲り方をしたが、おろして欲しいと言われて、そうした。
俺の頬に手を添え、ぽそりと言葉を発した。
俺は入り口に立ち尽くす。
“後でね”の意味は、どの後だろうか?
今すぐにでも、連れて行きたいところがあるんだが。
番の足元、狼が戯れついている。
せめて、食事をした後と言う流れか。
なら、準備を手伝って、さっささと狼を追い出そう。
少し、呑んでも良いな。
俺は機嫌よく、番の後ろに立って振り向くのを待った。
頬を寄せれば、撫でる手にもっとを求めてしまうが。
お楽しみは食後だ。
待っていた番が花咲くように笑う。
俺を待つ姿も良い。
常に側に居たいが、それももう少しの辛抱だ。
時間を奪っては嫌われる。
興味が色んなとこに向く時期だとはいえ、少々もどかしい。
俺のことばかり考えてはくれないが。
それでも俺に向く感情が
俺に向けてくれるその眼差しが嬉しい。
手を繋ぐ
もどかしい距離も番が“嬉しい”と伝えてくる手は心地よいもんだな。
本能は、唇を奪ってさっさと巣に篭りたいんだが。
キスできない今も。
この時間だけのものと思えば、受け入れられる。
俺の理性に我慢も強いるが。
今日くらい、夜は俺との時間になるんじゃないか?
香るような番の成長に、変な虫がつきたしないかと気がきじゃない。
あの犬、ちゃんと護衛できてんだろうな?
ふいっと視線の先にいた犬(狼と言わなきゃ怒るが知るか)はこっちを見たが、
すぐに視線を外した。
俺と番の時間だからな!良い判断だ。
さっさと借りている家に先に進んで行った姿を見送る。
のんびり、陽が沈んできた道を
人通りもなく木々が風でざわめく。
強まった手の力に、寒いのか不安を感じたのか
わからないが、指を絡め握りなおした。
向ける顔には、驚きと狼狽え。
自然と、距離が少し開けられてしまった。
嫌がっている反応ではないがな?
視線を送ってもこちらを見ない。
繋いでいた手の甲にキスする
バッ!と振り返った番の、驚く顔も可愛い。
歩くスピードが速くなったが、巣にすぐ着くのも良いだろう。
俺の忍耐は、番の前ではペラペラですぐに破けるくらいだからな。
早く暴きたい気持ちもあるが
のんびり歩調を合わせ、同じ方向に歩いていく。
待っている狼が見える。
てめえで開けれるだろうに。
その気はないようだ。
アイツへ番の意識がいったのが気に入らない。
素早く、番を抱き上げとっとと扉を開ける。
先に入った狼など知らないが、番をそのまま扉をくぐった。
何故か赤面の番。
(結婚した後住居に抱き上げて入る風習があるんだとか、俺は知らねえが)
潤んだ瞳に、つい唇を合わせるキスをする。
プシューと音がなりそうな蹲り方をしたが、おろして欲しいと言われて、そうした。
俺の頬に手を添え、ぽそりと言葉を発した。
俺は入り口に立ち尽くす。
“後でね”の意味は、どの後だろうか?
今すぐにでも、連れて行きたいところがあるんだが。
番の足元、狼が戯れついている。
せめて、食事をした後と言う流れか。
なら、準備を手伝って、さっささと狼を追い出そう。
少し、呑んでも良いな。
俺は機嫌よく、番の後ろに立って振り向くのを待った。
頬を寄せれば、撫でる手にもっとを求めてしまうが。
お楽しみは食後だ。
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