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奇妙な

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爽やかな朝、ながらも。やはり人がいない。

「旦那様も見かけませんね。」

執務室に誰かが居た形跡はあるものの、朝もいない。
確認済みだった。今は朝食に台所へ来た。


「数人が食事したみたいですよ」

昨日にスープがなくなり、食料庫から、肉が減っている。

「獣が食べたとかではなさそうね?」


「使用人が来たのかしら?」
「そうでしたら、何処にいるのでしょうか。」

物音も、人の気配もしないが。確かに誰か台所に来ていた。



「置いてかれた?」
「軟禁でしょうか?」

「縛られててもいないのに軟禁はないでしょう。」
「ですが」

森の中だ。2人では何もかもが不便であるし、未だよく知らない旦那様の屋敷。

「他の部屋も見ましょう。」

それに賛成して屋敷を見て回る。
流石に前日は個人の部屋は開けなかったが、どこも使った跡がない。

「執務室にも入りましょう。」

鍵を見つけ、それで入ったものの。書類が積んでいるだけだった。


「獣避けを持って行けば、森を少しは安全に出れるでしょうか?」

「危険よ?!」
「お嬢様よりは、森になれております。」

野をかけ回っていたから、私はそこらの令嬢よりは歩ける。
けど、レナよりは遅い。

「ここに残して行くのは心配ですが。」

「行動に移さないとね。」ギリギリまで馬車が来ないか待つ。

旦那様は使用人が来るようなことを言っていたけど。
その本人に聞こうにも会えていない。


レナと食事をし、街まで行くのに使えそうなものを準備していた。
そうこうしてたらお昼頃…


馬のいななきだ。玄関へ出迎えに行く。

旦那様か?使用人の方達か?


どうにもそうではない。
「どちら様でしょうか」

「ここの旦那に用があるんだ。」

男が2人。格好は狩人だけど、雰囲気が胡散臭い。


約束があって来たと言われては、追い返せない。
私達ではわからないのだ。


「執務室にいるかもしれません。」


とにかく、油断しないように知っている部屋へ案内した。
いないと証明できれば帰ると思ったのだ。
しかし…


「「旦那様?!」」

居た。今朝は確かに居なかったのに。

「予定通りか?」
「ああ。順調だ。」

何かの打ち合わせを始めたので、お茶を用意しに下がる。

「ここら辺の狩人かしら。」2人が何者か気になる。

「それにしては装備が真新しく、変です。」

「旦那様と知り合いだったのは、確かね?」

普通に会話していた。緊張していたかな?


「まったく。お嬢様にお茶を淹れさせるなんて、メイドではないんですよ!」

レナはそう言うが、
やっと妻らしい行動かもしれなかった。
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