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あるスパイ

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「はっ楽な仕事だったな。」

定期連絡で、そろそろ自国に戻れと暗号を受け取った。

つい独り言を言ってしまう。

周囲に気配はないが、お喋りはこの界隈じゃあ長生きできないぜ。


こんな小国に、どんな情報を求めたんだか。
上の方は、俺しか人を送り込まなかった。


とりあえず、送っとくかで3年この国にいたのか?
まったく、神経を使う仕事なんだぜ。


国に入り込み、馴染み情報を見極める。
穏やかな人柄を作り、関わり合う奴らへ親切にする。

これも情報収集のためさ。つまらない愚痴も、安酒も裏の仕事のため。


何回か嫁をもらったらどうだと紹介されそうになった。
お陰で俺は、片思いに破れた傷心な男さ。


さて、引き上げるなら居もしないお袋に危篤になってもらおう。

「その前に、大きな事をやれねーかな?」
凄腕の俺は、ある計画を立てた。
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